[河原潤のITストリーム]

元HPマーク・ハード氏がオラクルの新社長に。電撃就任のいきさつと期待される役割:第23回

2010年9月8日(水)河原 潤(IT Leaders編集部)

ヒューレット・パッカード(HP)のCEOを辞任したマーク・ハード氏が、オラクルの社長に就任するというニュースが業界を駆け巡りました。さて、その背景には何があったのか。新天地で氏はどんな役割を果たすのか…。

 2010年9月6日(米国時間)、元従業員からのセクシャルハラスメントの訴えに基づく調査で行動規範違反とされ、先月6日にヒューレット・パッカード(HP)のCEOを辞任したマーク・ハード氏がオラクルの社長に就任することが明らかになりました。

 先週、デルとの交渉合戦の末、ストレージ・ベンダー3PARの買収合意を勝ち取ったHPの取締役会ですが、ハード氏が、今やハードウェアも扱う直接の競合であるオラクルの社長職に就くというニュースに、ボードメンバーの面々は大変な衝撃を受けたに違いありません。

 辣腕経営者としてのキャリアに傷が付いたとはいえ、巨額の退職金を手にしての、わずか1カ月での“華麗なる転職”。これは、単なるグッドタイミングではなく、オラクルにとっては悲願のタイミングだったのかもしれません。ハード氏辞任の報を受けて3日後、オラクルCEOのラリー・エリソン氏は、「かつてアップルの取締役会がスティーブ・ジョブズ氏を更迭して以来の、最悪の人事決定である」との声明を出して、HPの取締役会を痛烈に批判しています。

 推測になりますが、この時点でエリソン氏は、ライバル企業の経営者であり、プライベートでは友人でもあるハード氏を擁護するのと同時に、同氏をオラクルの幹部として招聘する目算も立てていたように思えます。

 そんな推測は、ハード氏の社長就任発表と同日に公開された、現社長チャールズ・フィリップス氏の退任発表のプレスリリースを読んでのことです。リリースによると、オラクルの事業戦略の要を長年担ってきたフィリップス氏は、2009年12月の時点でエリソン氏に社長職の退任を申し出ていたものの、エリソン氏からは、サン・マイクロシステムズの統合が完了するまでは社長を続けてほしいと依頼されていたようです。

 突如起こったライバル企業でのCEO辞任劇は、サンの統合を成し遂げ、フィリップス氏の後任人事が佳境を迎えていたであろうオラクルの取締役会にとって、ある意味、千載一遇のタイミングだったのではないかと思うのです。

 さて、ハード氏がオラクルの新たなリーダーとして期待される役割はあまりにも明確です。それは、同社が目指している垂直統合モデル、すなわち、データベース、アプリケーションの提供で培ってきたソフトウェア技術とサンのハードウェア技術の融合-。そのあり方を肌で知っているリーダーとしての役割です。

●Next:ハード氏の手腕が生かされるとしたら

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