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[GDO、社内システム 刷新への道]

G10プロジェクトのこれまでの歩み

同時進行ドキュメント!GDO、社内システム刷新への道 Part10

2011年3月17日(木)IT Leaders編集部

ゴルフダイジェストオンライン(GDO)が進めるシステム刷新「G10プロジェクト」は現在、システム間結合テストの段階にある。大きな動きがないこの時期を利用して、今回はG10のこれまでを振り返ってみよう。

ITとビジネスの思いが合致

G10の源流をたどると、2008〜2009年にかけてGDO社内で同時発生した3つの動きに行き当たる。1つはIT戦略室による情報流通改革だ。当時、GDOの業務システムと会計システムの間には、データ連携の仕組みがないという問題があった。仕入れ申請や承認といったりん議にワークフローシステムを利用していたが、結果を会計システムに登録するには、仕入れ担当者が記入した紙の伝票を経理担当者がシステムに手入力する必要があったのである。これは業務効率の低下はもちろん、入力ミスの原因にもなっていた。問題を解消するため、IT戦略室は情報流通改革、具体的には新しいワークフローシステムとグループウェアの導入を決めた。

第2は、経理部門における新・会計システムへの動きである。当時、同部門は会計データの精度が低いことを問題視していた。上述の入力ミスなどの結果、販売や在庫管理といった業務システム上のデータと会計データを一致させるための労力がかかっていた。データの粒度もばらばらだった。膨大な受注データを月次で処理するため、複数の売上を1つにまとめて入力することが半ば常態化していたからである。「データの精度を高めなければ、財務情報による経営分析、判断を効率化、高度化できない。それには会計システムの刷新が不可欠」。経理業務を統括するCFOは、こう決断した。

一方でリテール、ゴルフ場予約、メディアというGDOの中核を成す3事業部でも、業務システム刷新の機運が高まっていた。中期経営計画を策定する中で、「現行システムが事業拡大の足かせになりかねない」という危機感が生まれたからである。創業から10年、追加や変更を繰り返してきたつぎはぎだらけの現行システムでは、現場が思い描く将来の業務フローやサービスの強化・拡充、サービス品質を支える業務フローの構築は困難だった。

IT、経理、業務部門におけるこれらの取り組みは、間もなく1本の大河になった。それが全社挙げてのシステム刷新プロジェクト「G10」であり、「次の10年を戦うため」のシステム基盤整備である。

グランドデザインを共有

改めてG10の構成を整理しよう。GDOがネットで提供するサービスは、ゴルフ場予約に加えて、会員登録した人のスコア管理、ゴルフ用品の物販、ゴルフ関連広告など幅広い。そのためG10プロジェクトも、会計/情報流通基盤、EC(オンライン販売)、ゴルフ場予約、会員基盤など8チームから成る(図)。

図 ゴルフダイジェスト・オンラインが進めるG10プロジェクトの体制図
図 ゴルフダイジェスト・オンラインが進めるG10プロジェクトの体制図(画像をクリックで拡大)

会計/情報流通プロジェクトは、ERPとワークフローのほか、DWH/BIシステムの導入も担当する。これらに加えて、プロジェクト全体を統括し、各チームの整合性をとる役割を担う組織として、G10推進チームを設置した。

次にプロジェクトの経緯について。キックオフは1年半前の2009年6月であり、基本構想の立案を経て10月、各チームはまず業務フローの現状(As Is)と、あるべき姿(To Be)を洗い出す業務設計を実施。次に業務設計に基づき、新システムの方針と要件を策定し、それらをRFPまで落とし込んだ。

同年11月には早くもベンダー選定に取りかかる。会計システムにSAP ERP、会員管理にeMplexを採用することなどを2009年中に固めた(表)。これだけ急ピッチで作業を進めたのは、2010年12月を稼働予定としていたからだ。

表 G10の開発対象と、使用する製品
表 G10の開発対象と、使用する製品(画像をクリックで拡大)

ベンダー選定と並行して、G10推進室は社内システムの全体像=グランドデザインを描くフェーズを進めた。新システムの機能と現行システムの機能を棚卸しし、それぞれのカバー範囲や、互いにどのようにインタフェースすべきなのかを巨大な1枚の図にマッピングした。社内に存在するシステム機能の数は、実に1000以上に上った。システム間のインタフェースは、仕入れ先や配送業者、カード決済サービス、販売チャネルの1つであるAmazon、広告出稿先といった、社外とのシステム連携を含めて約500本あった。

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