[青木顕子のスウェーデンIT通信]

税務申告もスマートフォンで(Vol.07)

2011年3月31日(木)

給与所得者の多くが自分で税務申告をしなければならないスウェーデン。電子申告を促す動きが活発化する中、iOSやAndroidを搭載したモバイル端末からも申告ができるようになったことが注目を集めている。今回は、そんな話題をお届けしよう。

今年も花粉と共に税務申告の季節がやってきた。スウェーデンでは、毎年の3月半ば~4月前半にかけて、申告書が税務署から自宅のポストに届く。会社勤め(給与所得者)の筆者の場合、申告書に予め入力された数字の正誤確認をし、サインをすれば基本的に手続きが完了する。

今年の申告書を開封してみると、最初のページに目がとまった。申告書の最終受付日の記載に続き、PCや携帯電話などを使った電子申告を促す記述が色つきラインで囲ってあり、相当に目立つ。取り急ぎ17項目の確認を終えて最後の署名欄までくると、またまた赤字で「STOP!署名前に電子申告の是非を確認せよ!」との旨が書いてある。興味本位で、過去数年分の申告書を探し出してみた。その結果、電子申告については2008年から記述があるが、今年の表記はとりわけ力が入っていることが判明した。

当地においては、税務申告の時期が近づくと、様々なメディアが今年の注目点や改善点などを比較的分かりやすくまとめて紹介するのが恒例になっている。そんな中、IT関連ニュースを追う筆者が注目したのは、「iPhone、iPad、Androidからの申告開始!」という話題。どうやらスウェーデンが世界で初めてモバイルアプリからの申告をスタートしたらしい。先駆的でイノベーションを好むお国柄という側面もあるが、高額な納税額や、税務申告対象範囲の広さを考えれば、ごく自然な流れかもしれない。日本でもe-Taxと呼ばれる電子申告方法があるようだが、使い勝手はどのようなものだろう。実際に試したことがないので比較はできないが、ここでスウェーデンの電子申告についてもう少し詳しく説明してみよう。

スウェーデンでは、年間所得1万7935クローネ、日本円で約20万円からが申告の対象となる(なぜ、こんなに細かい数字で刻んでいるのだろう??)。年間利子所得が100クローネ以上あった場合でも申告が義務付けられる。つまり、働いていれば、ほぼ全員が税務申告をすることになる訳だ。電子申告には、電子証明書または税務申告書に記載された識別コード、署名コードが必要となる。話題の新アプリで申告する場合は、まずは税務署のホームページから、iOSまたはAndroidアプリをダウンロード(iOS 4以上, Android 1.6以上が条件)。各種設定が済めば、申告手続きはもちろん、税金の概算、銀行口座の登録、所得控除手続きがすぐにできる。申請後でも、内容を変更したい場合は、再びログインすれば訂正が可能だ。電子申告のメリットは、還付までの期間が多少短縮されることにある。スウェーデンでは、6月末の夏至祭前、つまり夏休み前に還付金を受け取れるか否かというタイミングとなることから必然的に関心は高くなる。

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