[木内里美の是正勧告]

東日本を襲った大災害にITは機能したのか?

2011年5月16日(月)

米国で悪夢のような光景をみせた9.11テロ事件からまもなく10年。それを上回る1000年に1度と言われる3.11大災害が日本で起こった。東日本大震災は途方もないエネルギーで関東から東北地方を襲い、地震と津波が広域大災害をもたらした。

想定をはるかに超える非常事態が起こった時、社会システムの問題が一気に噴き出した。地震の規模や震源地は分かったが、現地の状況がほとんど分からない。空撮映像がテレビに流れるようになって初めて、壊滅的な実態を知らされた。

非常事態が起きた時、社会インフラがどれだけ健全かが問われる。交通、電力、ガス、水道、金融、政府・行政サービス、医療、物流などの分野である。仙台空港は津波で冠水して機能を喪失し、鉄道は線路被害と安全確認で運休した。比較的タフな東京の地下鉄も深夜まで復旧できなかった。高速道路網も同じだ。道路がずたずたで物流が途絶え、被災地に入れないから物資が届かない事態も起きた。

電力に至っては原子力発電所が被災し、電力を供給できないどころか放射能の脅威が広域に拡散した。それは農産物や飲料水にまでも影響を及ぼすこととなった。「国家のBCP(ビジネス継続)」という観点で見ると、計画策定も継続的改善もモニタリングも運用も、社会システムとしてあまりに未熟な実態を露呈した。

ITも脆弱性を露呈

ITも社会や企業の活動基盤=社会インフラの1つだ。時折、セキュリティや技術的な脆弱性を指摘されながらも革新の切り札として広がってきた。だが今回の震災で、課題が明らかになった。電話は輻輳で繋がらないし、SMS(ショートメッセージサービス)も同じく受け付けられない。携帯メールは、送信できることはあっても遅延がひどく、レスポンスが期待できない。被災地ではない東京でさえも、家族の安否を確認できないのだ。筆者が確認できたのは地震発生から7時間後の徒歩での帰宅途中である。被災に遭った人たちの安否確認が相当困難であったことは、想像に難くない。

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