[技術解説]

高精度化と小型化が進むセンサー技術 (Part 2)

2011年8月9日(火)栗原 雅(IT Leaders編集部) 鳥越 武史(IT Leaders編集部)

テレビや映画の世界でしか成立しないと思っていた夢のシステムが、近い将来、現実のものになる——。 高精度化と小型化が進むセンサー技術は、そんな刺激に満ちている。 パート2では、センチメートル単位の測位を可能にする先端テクノロジーを紹介する。

[GPS]
上空4万キロメートルからピンポイントで場所を特定

衛星「みちびき」
写真2-1 日本のほぼ真上を周回軌道に持つ日本版GPS(全地球測位システム)衛星「みちびき」

「みちびき」という名の“星”が、日本の遥か上空に存在する。そう、文部科学省やJAXA(宇宙航空研究開発機構)が研究開発を進めている日本版GPS(全地球測位システム)衛星だ(写真2-1)。2010年9月にJAXAの種子島宇宙センターから打ち上げられた後、初期機能確認や実証実験を経て、2011年6月に測位信号の提供を始めた。これを受けて、ソニーやデンソーなどの名だたる企業が「みちびき」対応のGPS受信機の開発に向けて動き出している。

「みちびき」は、日本と豪州の上空3万2000〜4万キロメートルを大きな8の字を描きながら、約24時間かけて周回している。日本のほぼ真上を通過する軌道を持つことから「準天頂衛星」と呼ばれ、GPSの電波を遮る構造物が多い日本でも、ほぼ全域を対象に正確な測位が可能になると期待されている。実際、高層ビルが林立する新宿と銀座でJAXAや三菱電機が実施した実験では、現行のGPSと「みちびき」の測位信号を併用することで測位エリアを現在の2〜4倍に広げられることを確認した。

測位誤差の大幅な改善も見込まれている。カーナビや携帯電話に使われている現行のGPSの測位誤差が10メートル程度なのに対し、「みちびき」は2〜3センチメートル程度。ほとんどピンポイントで測位できるようになる。

電波のデッドゾーンが解消し精度も高まれば、さまざまな応用が考えられる。救急車などの緊急車両を呼ぶ時、いちいち住所を口頭で告げなくても携帯電話内蔵のGPSで要請場所をピンポイントで知らせられる。将来的には、1980年代に人気を博した米国のテレビドラマ「ナイトライダー」のように、無人の自動車を好きな場所に呼び出すといった夢も叶うかもしれない。

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