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岸和田製鋼がコーディングレスの開発環境を使い電炉製鋼業務の基幹システムを刷新

2017年11月14日(火)IT Leaders編集部

大阪・岸和田市に本社を置く電炉による鉄鋼製品メーカーの岸和田製鋼は、基幹システムのレガシーモダナイゼーションを2年間かけて完遂したことを発表した。アトリスの協力により、同社のシステム開発環境「PEXA」を活用して約1年で開発、1年弱の運用で稼働初期の問題や積み残した課題をすべて解決した。

 岸和田製鋼の基幹システム「KCTS(KISI-CON Total System)」は、AS/400プラットフォーム上に開発された、電炉製鋼というコア業務を遂行するためのシステム。財務会計に営業管理、生産管理、品質管理、原材料管理、在庫管理、入出庫管理、購買管理といったサブシステムで構成されていた。

 30年以上前に開発されたものだけに、度重なる改修によるサブシステムの重複や複雑化、運用コストの高騰、データベースの分断による各システム間のデータ連携の非効率化、バッチ処理によるタイムリー性の欠如、AS/400エンジニアの高齢化といった課題が持ち上がっていた。

 これらの課題解決と製鋼品メーカーを取り巻く環境の変化に対応するため、基幹システムのモダナイゼーションを決断、アトリスをパートナーに同社のPEXAを活用した新システム開発に取り組むことにした。2015年7月から要件ヒアリングを開始し、同年12月に開発に着手した。

 PEXAは、ビジネスシステムに特化したの業務分析手法である「PEXA Methodology」に基づいた手順で行うことで生成した「SVOステートメント」というドキュメントを、独自のPEXAエンジンが解釈して実行プログラムを生成する、コーディングレスの開発環境。OSSを基本とした基盤の上で動作可能なアプリケーションが開発できる。

 岸和田製鋼とアトリスは、旧システムではサブシステムごとに分散していたデータベースを統合するほか、業務システムと制御系システムの連携、Excelや帳票でのデータ連携や2重入力の廃止、鉄筋加工業を営むグループ会社の岸和田金属とのマスターデータ統合というモダナイゼーション方針を立てて課題解決に望んだ。

 2015年12月からアプリケーション開発に取り組み、2016年12月に本社システムの運用を開始した。岸和田金属の運用開始は2017年2月。稼働初期の問題や積み残した課題の解消などを1年弱の運用で完了したとしている。

(図1)レガシーモダナイゼーション化の工程(提供:アトラス)
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 その結果、岸和田金属を含めた1つのサプライチェーンシステムが構築され、営業、契約情報・受注情報・生産計画、生産管理、製鋼と圧延生産管理・操業実績・ミルシート等の品質管理、原材料入庫情報・消耗品及び修理品購買、製品在庫、製品出庫、運輸配送、配車、納品、経理、財務の業務を統合でき、最50%作業効率が改善した部門も出たとしている。

(図2)レガシーモダナイゼーション前後のシステム運用イメージ
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 今後は、ビッグデータ分析用システムや会社のどこに課題があるかを可視化するシステムの開発や、生産工程や営業プロセスのビッグデータ分析を通じた業務高度化・顧客サービス強化などを進めていく予定だ。

 アトリスでは、今回の岸和田製鋼および岸和田金属でのレガシーモダナイゼーションへの取り組みをベースに、電炉メーカーと金属加工メーカー向け基幹系システムのコンサルティング業務からシステム開発までをパッケージ化して、同じ課題を抱える他の鉄鋼製品メーカー、金属加工メーカーに提供していく考えだ。

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