[調査・レポート]

企業のIT要員は過去5年で最高の増加傾向―JUAS「企業IT動向調査2018」

2018年2月23日(金)杉田 悟(IT Leaders編集部)

企業のIT要員は増加傾向―日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が2018年2月22日に発表した「企業IT動向調査2018」の速報値によると、IT要員の増加傾向は過去5年で最高値に達しているという。特に金融業界の中途採用においては、半数以上が増加させると答えている。

 「企業IT動向調査」は、1994年度から実施されている調査で、「2018」の調査期間は2017年9月25日から10月17日、調査対象は東証一部上場企業とそれに準じる企業のIT部門長、有効回答数は1087社だった。今回発表した速報値は、主にIT要員の採用に関するもの。

IT要員の増加傾向強まる

 企業内のIT部門、事業部門、情報子会社それぞれにIT部門の要員数の増減傾向を聞いたところ、多くの企業が人員増を図っていることが分かったとしている。

 図1は、「ここ数年の増減傾向」を前年度(2016年度)結果と比較したものであるが、いずれの部門でも増やす割合が増えている。グラフでは顕著な差がわかりずらいが、「増やす」割合から「減らす」割合を差し引いたDI(ディフュージョン・インデックス)値を算出すると、IT部門では前年の6.1から3.3ポイント増の9.4ポイント、IT情報子会社では19.8から2.5ポイント増の22.3ポイント、「増やす」が前年割れしている事業部門でも2.0から0.4ポイント増の2.4ポイントと増加していることがわかる。

(図1)IT要員数のここ数年(2~3年)の増減傾向(出典:JUAS「企業IT動向調査2018」
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 ちなみに、2年前の「企業IT動向調査2016」(2015年度調査)にIT部門の増減傾向の推移を過去数年分まとめたものがあるので見てみると、2011年度と2012年度のDI値マイナスから2013年度にプラスに転じているが、この時のDI値が4.9ポイントだった。2014年度にいったんDI値は下がっているが、その後は増加傾向が続いている。「増加」自体が2013年以来前年比プラスを続けており、企業におけるITの存在感が年々高まっている傾向が見て取れる。(図2)

(図2)IT要員数のここ数年(2~3年)の増減傾向(出典:JUAS「企業IT動向調査2016」)
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 次に、IT部門の新規要員の採用手段を見ると、新卒採用を増やすと答えたのは全体の12.9%、中途採用を増やすと答えたのは24.0%で中途採用優位という結果が出た。DI値も新卒採用の8.0ポイントに対し、中途採用は2倍以上の19.8ポイント。業種別では、金融の採用に対する積極さが際立っている。特に中途採用では、半数以上の54.2%が増加と答えており、DI値も43.8ポイントと他の業種を大きく引き離している。(図3)

(図3)業種グループ別 IT部門の新規・中途採用におけるここ数年(2~3年)の増加傾向(出典:JUAS「企業IT動向調査2018」)
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中途採用者の傾向は

 ここからは中途採用に絞った結果が並んでいる。中途採用者にどのような業務を期待しているか1位、2位を聞いたところ、1位2位の合計が一番多かったのが「運用管理・運用担当」で35.4%だった。1位がもっとも多かったのは「開発担当」で21.2%、合計でも31.9%で2位だった。(図4)

(図4)中途採用に求められる人材タイプ(出典:JUAS「企業IT動向調査2018」)
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 「働き方改革」や「攻めのIT経営」に直結する「業務改革推進」や「IT戦略」が少なかったことについてJUASでは、これらの担当者には社内業務知識や経験の豊富な既存人材を登用し、その補充として外部から即戦力となる開発・運用担当を採用しているのではないかと分析している。

 中途採用で重視するのは「経験・実績」が圧倒的に多く、1位63.2%、2位19.7%で合計82.9%。人柄の合計42.9%、業務知識の41.3%を大きく引き離す結果となった。かつて優勢を誇った「保有資格」については、合計で8.2%と選択肢中最低だった。資格よりも現場経験を重視する傾向が顕著となっている。(図5)

(図5)中途採用での重視点(出典:JUAS「企業IT動向調査2018」)
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 中途採用者の年齢層については、一般の企業では若ければ若いほど良い傾向があり、20代が優位といわれているが、IT部門に限っては即戦力かつ、入社後も長期にわたって活躍が期待される30代が1位64.4%、2位と合わせると90.1%と圧倒的支持を集めている。20代は合計55.8%、40代は37.9%、50代はやはり厳しくわずか3.5%という結果だった。(図6)

(図6)中途採用者に多い年齢層(出典:JUAS「企業IT動向調査2018」)
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