[松岡功が選ぶ“見逃せない”ニュース]

2016年11月の3本:MicrosoftがERPとCRMを統合したSaaSを開始/みずほ銀行が次期勘定系システムの開発完了を再延期/富士通とNECが国内SE子会社を再編

2016年12月8日(木)松岡 功(ジャーナリスト)

2016年11月のニュースから松岡功が選んだのは、「MicrosoftがERPとCRMを統合したSaaSの『Dynamics 365』の提供を開始」「みずほ銀行が次期勘定系システムの開発完了を再延期」「富士通とNECが国内SE子会社を再編」の3本である。

MicrosoftがERPとCRMを統合したSaaS「Dynamics 365」を提供開始

 米Microsoftが11月1日、従来のERP製品「Dynamics AX」とCRM製品「Dynamics CRM Online」を統合した業務アプリケーション「Dynamics 365」の提供を開始した。同社のクラウドサービス「Microsoft Azure」上で稼働しSaaSとして提供する。日本でも同日、提供を始めた。

 Dynamics 365は、図1に示したように「営業」「マーケティング」「財務会計」など7つの機能からなる。

図1:Dynamics 365が提供する7つの機能図1:Dynamics 365が提供する7つの機能
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 同社はDynamics 365の特徴について、以下の4つを強調する。(1)目的に合わせて必要な機能サービスからスタート可能、(2)業務の生産性を上げるために全機能のUX(ユーザーエクスペリエンス)を統一、(3)AI(人工知能)技術やBI(ビジネスインテリジェンス)機能を標準装備、(4)既存のシステム環境も含めてビジネスニーズに柔軟に対応できる。オフィスアプリケーション「Office 365」と連携できる点も生産性向上のポイントに挙げる。

[選択理由]

 Dynamics 365はERPとCRMを統合しており、ユーザー企業にとっては基幹業務アプリケーションの新たな選択肢になり得るからだ。Dynamics 365のグローバルなマーケティング責任者であるMicrosoftの沼本健クラウド&エンタープライズマーケティング担当コーポレートバイスプレジデントは「これまでERPとCRMの製品が分かれていたのは、ベンダー目線によるもの。当社は新たにユーザー目線で両分野を統合した製品を提供する」と強調する。そのユーザー目線が前述した「4つの特徴に反映されている」(同)という。

 とはいえ、ERPおよびCRM市場におけるベンダーの勢力図を見ると、グローバルでは独SAP、米Oracle、米Salesforce.comといった競合が立ちはだかる。日本では国産ベンダーも競争相手になってくる。そうした中で、MicrosoftがERPとCRMを統合したのは、勝負する“土俵”を変えようという意図がうかがえる。Dynamics 365が企業に幅広く受け入れられれば、基幹業務アプリケーション市場のありようも変わる可能性がありそうだ。

みずほ銀行が次期勘定系システムの開発完了を再延期

 みずほフィナンシャルグループ(FG)が11月14日、2017年3月期の中間決算発表において、みずほ銀行の次期勘定系システムの開発完了時期が数カ月程度遅れることを明らかにした。当初は2016年12月としていたが「一部の確認作業が期間内に終了しない可能性が高くなったため」(みずほFGの佐藤康博社長)と説明している。

 次期システムについては2014年に、当初2016年3月としていた開発完了時期を9カ月間先延ばしした経緯があり、今回が2度目の延期となる。次期システムの開発完了の遅れに伴い、投資額が計画より数百億円増えて3000億円台後半に膨らむ見通しを、佐藤社長は11月22日に開いた投資家向け説明会で示した。

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