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[データマネジメント2024]

「おもてなしDX」の推進で、財務データを活用したITコスト最適化に臨む

2024年4月25日(木)

限られた予算でDXを推進していくためには、ITコストの最適化が欠かせない。そのためには、時に財務データを効果的に活用することも重要となる。2024年3月8日に開催された「データマネジメント2024」(主催:日本データマネジメント・コンソーシアム〈JDMC〉、インプレス)に、三越伊勢丹システム・ソリューションズ 経営企画部 経理担当 担当長の中西正幸氏と、ICTサービス事業部 部付の藤本忍氏が登壇し、同社が進めるDXの取り組みのポイントと財務データを活用したITコスト最適化について解説した。
株式会社三越伊勢丹システム・ソリューションズ

“特別な”百貨店を中核とした小売グループを目指す

「お客さまの暮らしを豊かにする、“特別な”百貨店を中核とした小売グループ」を目指す三越伊勢丹グループでは、グループ全体でデジタル変革「おもてなしDX」を推進している。その取り組みをテクノロジー面から支えているのが三越伊勢丹システム・ソリューションズ(IMS)だ。

 同社 ICTサービス事業部 部付の藤本忍氏は、小売業を取り巻く環境について、富裕層の拡大と衣料品消費の減少といった所得と消費における二極化の加速、ミレニアル世代の台頭や少子高齢化といった顧客構造の変化、非対面・非接触サービスの拡大などオンラインの加速、ITによる環境の変化などがあるとした。

株式会社三越伊勢丹システム・ソリューションズ ICTサービス事業部 部付 藤本忍氏

「そうしたなか、高感度上質、個客とつながるCRM、連邦戦略に重点をおいて、日本の誇り、世界への発信力を持ち、高感度上質消費において最も支持される、最高の顧客体験を提供することを目指しています」(藤本氏)

 同社ではDX推進の一環として、顧客ごとに3D計測したデータで靴をつくる「YourFIT365」、接客の履歴をカルテとしてプロによる提案を行う接客活動、内製のPOSシステム「POS by IsetanMitsukoshi」などを開発してきた。デジタルの会員証をタッチポイントとして、1つのIDで複数のECサイトを含めさまざまなサービスを受けられる仕組みも整備した。

「お客様とどうつながるかという点から、カスタマープログラムによるCRM、提携カードやデジタル会員での個客化、店内・レシート・EC・キャンペーンなどによる集客に取り組んでいます」(藤本氏)

「おもてなしDX」実現に向けてモダナイズ実行

 こうした「最高の顧客体験の提供」を実現するために、フロントエンドでは柔軟なタッチポイントを作る必要があり、バックエンドでは多種・多量データを一元的に管理するデータ基盤が必要だ。また、運行コストを最適化して、取り組みを持続可能にすることも求められる。そうしたシステム基盤を実現するにあたって課題があったという(図1)。

図1:最高の顧客体験の提供を実現するために必要なことと実現する上での課題(出典:三越伊勢丹システム・ソリューションズ)
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「サイロ化されたシステム・機能・データをモダナイズすること、レガシーシステムの運行コストを最適化することが必要でした。モダナイズによるコスト最適化の方針としては、変更の頻度や新規開発の必要性などから現状維持、マイグレーション、機能追加、機能縮小の4つの領域にわけ、アプリケーションモダナイズ、クラウドネイティブでのデータ基盤整備、クラウドへのマイグレーションを進めました(図2)。さらに、APIを使ったビジネスプラットフォームをつくり、新サービスや既存システムと連携できるようにしました」(藤本氏)

図2:モダナイズによるコスト最適化は構築してきたシステムを4つの領域に分けて進められた(出典:三越伊勢丹システム・ソリューションズ)
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 藤本氏によると、DXを推進するためにはICT改革が不可欠だ。

「今までのウォーターフォール開発だけでなく、アジャイル開発やDevOps、内製化の仕組みが必要です。組織や人、プロセスを変え、スキルを獲得してエンジニアを育てていくことも求められます。IMSではデジタルの推進に取り組みながら、ITコストの削減にも取り組み、2018年から2021年までに50%超のシステムコスト削減を実現しました」(藤本氏)

 こうしたDXとICT改革のなかであらたな課題も生まれたという。既存コストとデジタルコストのバランスをどう取るか、投資対効果・費用対効果をどう可視化するかなどだ。

ITコストの可視化と最適化に財務データを活用

 デジタル化におけるコストの最適化やさまざまな効果の可視化を目指して取り組んだのが、IT財務データの活用だ。経営企画部 経理担当 担当長の中西正幸氏はこう話す。

株式会社三越伊勢丹システム・ソリューションズ 経営企画部 経理担当 担当長 中西正幸氏

「財務データを活用する狙いは、ITコストの可視化/最適化、経営×事業部門×IT部門の関係性の改善にあります。戦略を進めるには、財務データを見ながら、次に何を進めるか全体を把握していくことが重要です。会計データやプロジェクト管理データ、予算などを可視化するツールを導入し、関係者間で情報を共有し、判断、実行、振返りを行って、継続的な変革に取り組んでいます」(中西氏)

 まず、ITコストに対する考え方を整理した。従来はシステムを中心にコストを考えていたが、投資対効果・必要対効果を中心に成果を考えるようにした(図3)。次に、不透明だったシステムごとにITコストを可視化した。可視化したデータをもとに機会損失の防止や予算の再配置などITコストの最適化に取り組んだ。

図3:ITコストに対する考え方を投資対効果・費用対効果中心にシフトした(出典:三越伊勢丹システム・ソリューションズ)
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「年度予算、着地の可視化を月次で実施し、数値の精度を向上させることで機会損失を減らすことを目指しました」(中西氏)

 こうした取り組みのために採用したのが「TBM(Technology Business Management)」と「ApptioOne」だ。TBMは、米国のNPO法人TBM CouncilがまとめたIT部門経営のベストプラクティスだ。ApptioOneは、ITベンダーの米Appitoが提供するデータの分類、配賦・可視化、レポーティングを行うSaaSサービスだ。方法論(羅針盤)としてのTBMとソリューションとしてのApptioOneで、ITコストの課題解決を図ったという。

担当者が考えを共有しディスカッションしてITコストを最適化

 ApptioOneの導入は、ITコストの可視化の高度化、ITコストの精緻化、ITコストの最適化という3つの段階で進めた。

 ITコストの可視化の高度化では、勘定科目ベースの数値をシステム別に把握するようにしたほか、財務データ以外の不足しているデータを収集し、多軸で分析できるようにした。ITコストの精緻化では、経年で可視化して予算精度を向上させながら、月次で予実差異や見通しを精査する取り組みを行った。そのうえで、ユーザー部門と毎月定例でディスカッションしてITコストの最適化を進めた。

「業務フローを変更し、これまで財務の数値だけを見ていたところを、将来の見通しを考えるようにしました。そのうえで、担当者間で月ズレ、超過とリカバリ方法、予算の再配置、何ができるか、できたかなどをディスカッションし、それをさらにマネジメントがディスカッションして、精緻化していきました」(中西氏)

 Appitoを導入したことで可視化、高度化、考える/会話する、精緻化、最適化のサイクルが回るようになるという。可視化すると担当者が興味を持って詳しく見たくなり、高度化するとズレなどが気になり、考え、会話するようになる。ディカッションで精緻化すると必要性を考えるようになり、最適化に向かう(図4)。IMSでは現状、精緻化まで達しており、今後は適正化まで回していきたいという。

図4:Appitioの導入により可視化、高度化。考える/会話する、精緻化、最適化のサイクルが回るようになる(出典:三越伊勢丹システム・ソリューションズ)
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「具体的な成果としては、システム別コストが明確になったこと、予算精度や見通しが向上し、年度計画や修正が立てやすくなったこと、システムコストの意識が向上したこと、経理作業が効率化したことが挙げられます」(中西氏)

 IMSでは三越伊勢丹で導入した経験をもとに、Apptioを使ったIT財務管理の伴走型支援サービスやDevOps導入支援、マイクロサービス化支援サービスを提供する。中西氏は「三越伊勢丹のシステム会社の経理部門が内製化で導入した経験・ノウハウを提供していきます」とアピールして講演を締めくくった。


●お問い合わせ先

株式会社三越伊勢丹システム・ソリューションズ
URl:https://www.ims-sol.co.jp/index.html

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