[インタビュー]

「デジタル時代だからこそ日本でも戦略的な人事施策が成長の要になる」─Workday幹部

2017年7月12日(水)川上 潤司(IT Leaders編集部)

デジタル変革によって競争力を高める──。ここで、最新テクノロジーにばかり目を向けがちだが、すべてのベースとなるのは事業価値を創り出すことに日々知恵を絞る「人」だ。戦略的人事に関わるSaaSをグローバルに手掛けているWorkdayの幹部は、日本の状況をどう見ているのか。同社のAPJ(アジア太平洋地区および日本)担当のプレジデント、デイビッド・ホープ(David Hope)氏に話を伺った。

 デジタルテクノロジーの凄まじい進化が企業経営に多大な影響をもたらすようになったことを皆さんも実感していることだろう。あたかもテクノロジーがビジネスを牽引するような言われ方もしているが、優れた事業モデルを考えるのも人であるし、それを回していくのも人、時々の状況に即して最適な決断を下していくのも人である。この時代だからこそ、従業員一人ひとりにフォーカスし、自己実現を後押しするのはもちろんのこと、企業や組織の価値向上にうまく結び付けていく取り組み、すなわち、戦略的な人事施策、HCM(Human Capital Management)の重要性が際立ってくるのである。

 日本では終身雇用や年功序列の企業文化が根付いており、米国をはじめとする先進諸外国とは事情が違う──。よく言われていることであり、私もかつて日系企業に勤めていた経験があるので実態はある程度知っているが、状況は確実に変わりつつあると見ている。

写真1:Workdayでアジア太平洋地区および日本担当のプレジデントを務めるデイビッド・ホープ(David Hope)氏

 1つにはグローバリゼーションの加速がある。企業規模の大小に関わらず、ローカル市場だけを対象にしていては持続的な成長戦略は描きにくい昨今だ。世界に打って出るにあたっては各国に自社拠点を構えることもあるし、現地の企業と経営統合するといったことも珍しくはない。結果として、拠点のある場所で人を採用し活躍してもらうこととなるが、そこに日本流の人事管理制度を持ち込んでも機能しにくい。採用、能力開発、リテンション……。いずれも“グローバル感覚”に基づいて、様々なことに対処していく必要がある。

 働き手の世代交代が進むことも見逃せない。日本においても、特に若い層を中心として終身雇用や年功序列に魅力を感じる人が減っていると聞く。そもそも、かねてからの習わしが限界に近づいていることを敏感にとらえているのかもしれない。総じて、待遇面などで希望を主張するのが当たり前とするディマンディングな世代だ。自身のキャリア形成のために、より条件のよい企業を見つけてジャンプを重ねるケースが増えてくるだろう。

 今、盛んに叫ばれている「働き方改革」の文脈でも、戦略的人事施策の重要性が浮上してくるはずだ。性別や勤続年数などに依らないのはもちろんのこと、介護や子育てなどの事情を抱えている人も含めて、意欲や才能に溢れる人材を相応のポジションに積極的に登用することが競争力の向上につながる。そうしたフレキシブルな体制と仕組みを築くことが、真の意味での働き方改革を支えることになるからだ。

大手グローバル企業を先陣に日本は大きく動き始めた

 当社はHCMに関わるソリューションをクラウドで提供するベンダーで、その立場から市場の立ち上がり具合やユーザー企業によるツール活用の成熟度を見ていると、米国と日本では7~8年ほどの差があると感じていたが、その差は確実に詰まっている。つまり、HCMソリューションを導入し、うまく活用していこうとの機運が日本でも急速に高まっているというのがここ最近の実態である。

 その第一波に乗ったのは、日立製作所や日産自動車、ソニーといった日本の大手グローバル企業だ。HCMの戦略的本質を理解して、まずは海外拠点で採用して成果を上げた。企業の成長に人事戦略が大きく影響することを強く認識し、グローバル標準として日本サイドにも取り込む動きが活発になっている。

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