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[インタビュー]

「CIOの役割はテクノロジーの民主化につれて拡大する」─米ガートナーのトップアナリストにCIOとCDO、CSOの関係を聞く

米ガートナー ディスティングイッシュトVP アナリスト アンディ・ラウゼル・ジョーンズ氏

2022年11月16日(水)田口 潤(IT Leaders編集部)

AIやIoT、あるいはブロックチェーンのような先端的なテクノロジーが、やがて特別な存在ではなくなり、多くが日々当たり前に活用するようになることを、「テクノロジーの民主化」と呼ぶ。そんな民主化が進む中で、CIOの役割はどうなっていくのか? 米ガートナー(Gartner)のトップアナリストは、いくつかの条件付きながら、「廃れることはない。むしろ進化し、拡大する」と明言する。そこにはどんな論理があるのか?

写真1:米ガートナー ディスティングイッシュト バイスプレジデント アナリストのアンディ・ラウゼル・ジョーンズ氏

 「CIOの役割は廃れていない。むしろ進化し、拡大している」──。2022年10月31日~11月2日に都内で開催されたGartner IT Symposium/Xpo 2022に登壇したアンディ・ラウゼル・ジョーンズ(Andy Rowsell-Jones)氏(米ガートナー ディスティングイッシュト バイスプレジデント アナリスト、写真1)はこう語った。

 「テクノロジーの民主化」、つまりデジタル技術やその活用が社内に浸透すればするほど、CIO(最高情報責任者)の責務や役割はCDO(最高デジタル責任者)のそれを包含しつつ拡大していくという。

 しかし、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーション(DX)が企業の重要テーマである今日、一般にはCIOよりもCDOに関心が集まる面があるのも事実だ。旧来からの企業情報システムを統括するCIOは、どちらかと言えばその陰に隠れている感もある。どういった理由や背景からCIOの役割は拡大していくのか? あるいは、CIOと、CDOやCSO(最高セキュリティ責任者)などとの関係や位置づけはどうなるのか。ジョーンズ氏に聞いた。

──ジョーンズさんは講演で「CIOの役割は進化し、拡大している」と指摘しました。しかしデジタル化やDXを担うCDOや、サイバーセキュリティなどに責任を持つCSOといった職責を持つCレベルの人材を置く企業が増える中、CIOの役割が限定的になる側面もあると思われます。3つの職責について、どう考えればよいのでしょう。

 CIO、CDO、CSOという3つの役割・職掌は、日米欧などの地域や業種、企業を問わず、少々、混乱している感があります。まず3つのうち最も独立しているのは、CSOでしょう。サイバーセキュリティは今日では役員や取締役会レベルのマター(問題)です。もし何らかのインシデントや被害が発生すれば取締役会の責任になりますから、CSOはCEOや取締役会に対して直接の報告義務を負っています。

 加えてCSOは、セキュリティ監査のような実務的な役割も担います。国や業種によって異なりますが、規制当局からサイバーセキュリティに関する監査を義務づけられているようなケースです。財務監査と同様にセキュリティ監査は広がるでしょうし、それを除いても取締役会やリスク委員会に対する報告義務があります。私の知人にもCIOとCSOを兼務している人がいますので単純ではないですが、独立性は高いですね。これに対してCIOとCDOの関係は、ずっと複雑です。

伝統的なITの領域でもアジャイル開発などが普通に

──しかしガートナーは2015年に「バイモーダルIT(Bimodal IT:2つのモード〈流儀〉のIT)」を提唱しました(関連記事:企業は今こそ「バイモーダルITを」)。CIOやIT部門に向けたものでしたが、伝統的な企業ITであるモード1をCIOが、デジタルビジネスなど新しいITであるモード2をCDOが、それぞれ担うと考えると分かりやすいですし、CIOとCDOの関係はそれほど複雑とは言えないのではないですか。

 バイモーダルITを発表して7年以上が経ちました。この間に世界は進化しています。発表当初は、例えばアジャイル手法で開発されるアプリケーションは明らかにモード2でしたが、今日では違います。アジャイル手法は広く普及し、IT組織が担当する大規模なアプリケーションにも適用されるようになっています。反復的にアジャイルで開発されるアプリケーションが相当な割合を占めつつあるのです。

 しかしIT組織の多くはモード2の必要スキルを備える要員が少ないか、不足している状況です。では、どのように開発が行われているかですが、いくつかのケースがあります。CDOが自身のチームで取り組むものがありますが、マジョリティにはなっていません。それ以外の1つがITの専門人材とさまざまなテーマに関する専門家を集めてチームを編成し、反復的に、アジャイルにアプリケーションを開発するものです。

 これはフュージョン(融合)チームと呼ばれます。もう1つはサプライチェーンやR&D、営業などの事業部門にいるビジネステクノロジストという人たちです。彼や彼女らは基本的にはビジネス側の人材なのですけれども、ITの知識も持っています。

 我々も驚いたのですが、オフィスワーカーを調査すると41%が潜在的なビジネステクノロジストでした。41%はかなり大きな割合だと思いませんか? この人たちは基本的に、ローコード/ノーコードのソリューションを駆使します。一定の訓練を受けるので、セキュリティやデータプライバシーなど規制に対応できるスキルも備えています。これらの融合チームとビジネステクノロジストが増え、CIOやIT部門と協業します。CIOの仕事が複雑化しているわけです。

●Next:CIOとCDOを兼務するリーダー、分業型で取り組むリーダー

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