[市場動向]

AWSジャパン、2027年までの5年間で2兆2600億円を日本に投資、5兆5700億円の経済効果を見込む

2024年1月19日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は2024年1月19日、説明会を開き、2027年までの日本市場での投資計画と経済効果の見込みを発表した。2023年の実績を含む2027年までの5年間で149億6000万米ドル(2兆2600億円)を投資する。これによる経済効果を368億1000万米ドル(5兆5700億円)のGDP(国内総生産)と算出し、3万500人以上の雇用創出を見込む。

写真1:日本での投資計画と経済効果の見込みについて説明する、アマゾン ウェブ サービス ジャパン代表取締役社長の長崎忠雄氏

 AWSジャパンは、2027年までの日本での投資計画と経済効果の見込みを発表した。2023年の実績を含む2027年までの5年間で149億6000万米ドル(2兆2600億円)を投資する。これによる経済効果を368億1000万米ドル(5兆5700億円)のGDP(国内総生産)と算出し、3万500人以上の雇用を創出するとしている。

 過去(2011年~2022年)の日本市場への投資額は100億米ドル(1兆5100億円)、GDP効果は97億米ドル(1兆4600億円)、雇用効果は7100人以上という。2027年までの投資計画と合わせた16年間を合計すると、249.6億米ドル(3兆7700億円)の投資計画となり、GDP効果は16年間で465億1000万億米ドル(7兆3000億円)を見込む。

 投資の内容は、データセンター自体やネットワークなどの接備投資、データセンターの運用費や保守費、これらに関連した投資などで構成する。「AWSのインフラへの投資が日本全体に与える経済効果は大きい。部材の調達や運搬などサプライチェーンにも大きく影響を与える」(社長の長崎忠雄氏、写真1)。

プロセッサなどのインフラからAIモデル活用支援まで提供

 説明会では、直近の2023年に発表した製品面のトピックも紹介した。これらは米Amazon Web Services(AWS)が同年11月27日~12月1日に開催した年次プライベートイベント「AWS re:Invent 2023」で発表している(関連記事サーバーレスでスケールを確保する分散DB、LLMを活用した開発環境など─AWS re:Inventでの主な発表)。

 トピックの1つは、サーバーCPU向けARMプロセッサ「AWS Graviton」の進化である。最新版「AWS Graviton 4」と、これを用いた「Amazon EC2 R8gインスタンス」のプレビューが始まっている(図1)。

図1:ARMプロセッサの最新版「AWS Graviton 4」と、これを使ったインスタンス「Amazon EC2 R8gインスタンス」の概要(出典:アマゾン ウェブ サービス ジャパン)
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 Graviton 4は、Graviton 3と比べて処理性能が30%高く、コア数が50%多い。EC2 R8gは、R7gと比べて3倍のvCPUとメモリー容量を提供する。同社はGravitonのユーザーとして独SAPを紹介。「SAP HANA Cloud」の稼働基盤としてGravitonベースのインスタンスを利用することで価格性能比を35%向上させているという。

 衛星通信の「Project Kuiper(カイパー)」も紹介した。3236基の衛星群を通じてインターネットアクセスのカバーエリアを拡大する取り組みである。地上590km、610km、630kmの3つの軌道を持つ。2023年11月に2基の試作衛星を打ち上げており、2026年にコンステレーション(衛星群)の50%を運用開始する予定という(動画1)。


動画1:衛星通信「Project Kuiper」の紹介動画(出典:米AWS YouTubeチャンネル)

 生成AI関係のトピックでは、AIの基盤モデルと大規模言語モデル(LLM)の学習を高速化するアクセラレータチップの新版「AWS Trainium 2」に触れた。Trainium 2は、現行のTrainiumと比べて学習処理が4倍高速に、メモリー容量は3倍に増えている。エネルギー消費効率は最大で2倍に向上している。

 API経由で各種の基盤モデルを利用可能な「Amazon Bedrock」の事例も紹介した。例えば、医薬品メーカーの米ファイザー(Pfizer)は、Bedrockを導入して今後18カ月で19種類の医薬品を開発する目標を立てている。また、竹中工務店は、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)構成によって建設業の専門知識を利用した回答が得られるシステム「デジタル棟梁」を構築した(関連記事竹中工務店、建設業ナレッジ検索「デジタル棟梁」を生成AI「Amazon Bedrock」で構築)。

 LLMの開発を支援する「AWS LLM 開発支援プログラム」にも触れた。現在10社以上が参加している。ユーザーの1社がリコーで、3カ月で独自のLLMを開発した(関連記事AWSジャパン、LLMの開発を技術/財政面で支援するプログラム、最大10社程度を支援)。

関連キーワード

AWS / Amazon EC2 / 衛星通信 / Bedrock / 生成AI / 大規模言語モデル

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