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[調査・レポート]

3分の1の企業でインボイス制度対応に課題、経理1人あたり月8.5時間の業務増─Sansan調査

2024年1月26日(金)日川 佳三(IT Leaders編集部)

Sansanは2024年1月25日、請求書関連業務に携わる1000人のビジネスパーソン(経理部門700人、経理以外300人)を対象に、インボイス制度対応の実態調査の結果を発表した。2023年10月施行から3カ月が経過したが、いまだに3分の1以上の担当者が制度への対応に課題を抱えていることが分かった。課題を抱える企業では、経理は1人あたり月平均8.5時間、経理以外の部門では9時間業務時間が増えている。

 Sansanは、請求書関連業務に携わる1000人のビジネスパーソン(経理部門700人、経理以外300人)を対象に、インボイス制度対応の実態について調査した。2024年1月17日・18日にオンライン調査を実施した。

 2023年10月施行のインボイス制度では、受け取った請求書が「適格請求書」の要件を満たしていない場合、原則として仕入税額控除の適用を受けられない。そのため、企業は制度を正しく理解して対応する必要がある。

経理は1人あたり月8.5時間、非経理は月9時間の業務増

 請求書関連業務に携わる1000人に対し、2024年1月時点でのインボイス制度への対応状況を聞いたところ、「問題なく対応できている」の回答は66.4%、「課題が発生している」は33.6%だった。いまだに3分の1以上の担当者が対応に課題を抱えている(図1)。

図1:2024年1月時点のインボイス制度への対応状況(出典:Sansan)
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 課題が発生しているとした回答者に、制度対応に伴う業務増加時間を聞くと、経理部門では1人あたり月平均8.5時間だった。また、経理以外の部門では1人あたり月平均9時間で、経理部門をやや上回る結果となった。「請求書業務に不慣れな非経理部門での混乱が続いている」(Sansan)ことがうかがえる。

 制度対応で作業時間が増えた項目の1位は「適格請求書の要件を満たすかどうかの確認」(64.8%)で、「不備があった場合の修正対応」(63.4%)が続いた(図2)。

図2:インボイス制度対応で作業時間が増えた項目(出典:Sansan)
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従業員への説明と経理業務のデジタル化が有効

 一方、インボイス制度に問題なく対応できているとした回答者に、円滑に対応するために取り組んだことを聞いた。最多は「従業員へのインボイス制度に関する説明・周知」(36,3%)で、外部サービスの導入などによる「経理業務のデジタル化」(35.3%)が続いた(図3)。

図3:インボイス制度に順調に対応できている企業が取り組んだこと(出典:Sansan)
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 各社の取り組みは企業規模によって異なる。従業員数1001人以上の企業は「経理業務のデジタル化」、従業員数101人~1000人の企業は「従業員への説明・周知」、従業員数100人以下は「顧問税理士など外部からのアドバイスをもらう」が最多だった。

 Sansanは、「従業員が多い企業ではシステムを導入するなどして業務のデジタル化を図っている。一方、従業員100人以下の企業では経理業務を顧問税理士に委託しているケースも多いことが読み取れる」と説明している。

図4:企業規模別:インボイス制度に順調に対応できている企業が取り組んだこと(出典:Sansan)
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 また、円滑対応のための具体的な取り組みとして、「社内勉強会を開催、Q&Aサイトを設置(IT・情報通信)」「二重チェックの体制を作り判定を強化(公共機関・非営利団体)」「社員への周知徹底を行い、間違えているものは申請者自身に修正対応をしてもらい意識を高めてもらっている(製造・メーカー)」など、各社ごとの工夫が挙げられた。また、「受け取った請求書を自動判定するサービスを導入して確認作業を自動化した(運輸・物流)」など、外部サービスを導入した人も多く見受けられたという。

●Next:制度対応を機に経理業務をデジタル化、体感したメリットは?

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