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[調査・レポート]

5人に2人は時間外労働が常態化、残業で生産性は上がるのか?─Slack調査

2024年2月15日(木)神 幸葉(IT Leaders編集部)

組織とオフィスワーカーにとって「残業=時間外労働」は大きな課題であり続けている。残業に取り組めば一定の成果が得られるかもしれないが、長期的な見方で生産性はどうだろうか。業務生産性やAI活用の実態把握を目的とした米Slackの調査レポート「Slack Workforce Index」(2023年12月発表)は、オフィスワーカーのウェルビーイング/満足度と業務時間の相関を示している。

時間外労働と業務生産性の関係

 「Slack Workforce Index」は、米セールスフォースの一員である米Slack Technologiesの調査研究部門、Workforce Labが発表したグローバル調査レポートである。調査対象はオフィスワーカーで、フルタイム雇用(週30時間以上勤務)の経営幹部、管理職、シニアスタッフ、専門職の担当者と、「データの取り扱い、情報の分析、創造的な思考」に携わる従業員。調査期間は2023年8月24日~9月15日で、米国、オーストラリア、フランス、ドイツ、日本、英国の1万333人(うち日本は1075人)が回答している。

 同調査を統括した、米Slack ユーザーインタフェース/ユーザーエクスペリエンス担当シニアバイスプレジデント(SVP)のクリスティーナ・ジャンザー(Christina Janzer)氏(写真1)が調査結果の説明にあたった。

 冒頭、ジャンザー氏は以下のように問題提起を行った。「経営者はより多くの生産性を従業員に求め、従業員はそれに応えるために業務時間にこなしきれなかった仕事を時間外労働で補おうと考える。しかし、時間外労働は本当に生産性を高めることにつながるのだろうか」──。

写真1:米Slack ユーザーインタフェース/ユーザーエクスペリエンス担当SVPのクリスティーナ・ジャンザー氏

プレッシャーを感じて残業、5人に2人は時間外労働が常態化

 調査に答えたオフィスワーカーの37%は「時間外労働が常態化している」、うち半数以上が「自らの選択ではなく、プレッシャーを感じて残業をしている」という。プレッシャーを感じて残業している従業員の生産性は、グローバルで20%(日本は40%)低下している。

 プレッシャーを感じて残業にあたる従業員は、「仕事関連のストレスが2.1倍多い」「職場環境全般に対する満足度が1.7倍低下」「燃え尽き症候群になる可能性が2倍高い」といった悪影響を生み出していることも明らかになった(図1)。なお例外として、自分の意志で残業を選んだ場合は、逆に生産性は若干高くなる傾向にあるという。

 では、なぜ残業が発生してしまうのか。最も多い回答は「1日の時間が足りないから」だ。次いで、27%が「会議に時間を使いすぎている」、25%が「メール対応に時間を費やしすぎている」、20%が「同僚と交流する時間が十分でない」と回答、時間配分に苦労していることがうかがえる。

 「時間が足りないということを明確に提示し、周りに支援を求めたり、優先順位や時間配分を再検討したりすることのできる組織文化や環境にあるかどうか。そういった風土が事業そのものや従業員によい影響を与えることが分かっている」(ジャンザー氏) 

図1:プレッシャーを感じた残業が従業員に与える影響(出典:Slack)
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調査対象国中、最も休憩を取らない日本

 勤務時間中の休憩は、オフィスワーカーの生産性やウェルビーイングの向上につながる。しかし、調査では半数が「休憩をほとんど、あるいはまったく取らない」と回答している。この場合の休憩とは「15分ぐらいPCから離れて、一息つくこと」を指している。

 労働時間の長短は、その人の優秀さとは関係がない、とジャンザー氏は指摘。調査では定期的に休憩を取る従業員は、62%が「ワークライフバランスが取れている」、43%が「ストレス管理能力がある」、43%が「全体的な満足度がある」と回答している。また、休憩を取らない従業員に比べて生産性も13%高いという結果が出ている(図2)。 

図2:定期的な休憩がもたらす効果(出典:Slack)
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 ジャンザー氏は「アスリートは睡眠や休憩を取ることを1つの重要なルーティーンと認識している。オフィスワーカーも同様で、生産性を高めるためには休憩が重要だ」と強調した。なお、日本は63%が休憩を取らないと回答している。これは調査対象国の中で最も高い数値という。

●Next:オフィスワーカーが陥る「午後のスランプ」と、AIによる業務効率化への期待

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