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[市場動向]

社内SNSとユニファイドコミュニケーションツールの最新動向

仕事のツールを見直す Part4

2012年8月28日(火)折川 忠弘(IT Leaders編集部)

これまで主役だったメールと電話を補完する連絡手段が続々と登場している。Web会議やIM(インスタントメッセージ)、チャットなどの様々なツールがあるが、本パートでは、社内SNSとUC(ユニファイドコミュニケーション)の最新動向をまとめる。 折川 忠弘(編集部)

メールの弱点を補い、仕事をテキパキと進めやすくするツールが続々と登場している。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を筆頭に、IM(インスタント・メッセージ)、チャット、ボイスメール、Web会議、UC(ユニファイドコミュニケーション)などバリエーションは多彩だ。

ほかにもオフィスソフト系の機能強化として、例えばマイクロソフトの「Office 365」やグーグルの「Google Docs」は、複数ユーザーがブラウザ経由でファイルにアクセスし、同時に編集することを可能にしている。社外の取引先などと文書や資料を共有できるオンラインストレージサービスもコラボレーションを促進する上で有効なツールと位置付けられる。

本パートでは、ここにきて選択肢が広がっている企業向けSNSとUCに焦点を当てて最新動向をチェックする。

情報の探しやすさに各社工夫
選択肢増える社内SNS

企業向けにセキュリティ機能を高めたSNS製品/サービスは一般的に、日頃の報告・連絡・相談を気構えることなく投稿し、社員間のコミュニケーションや情報共有を自然に促すことに主眼を置いているものが多い。こうした中、その“場”に業務アプリケーションのデータも取り込んでいこうというアプローチが登場し始めた。

その1つがセールスフォース・ドットコムの「Salesforce Chatter」だ。同社のSalesforce CRMやForce.com上に構築したアプリケーションと連携し、更新情報をChatter上に表示する。CRMが管理する案件や企業名をフォローすると、誰かが関連するデータを書き換えた場合に自身のタイムラインに通知される。「膨大な情報の中から業務で必要な情報を集約するのに役立つ。コミュニケーションを活性化することはもちろんだが、業務効率化の手段としてSNSを位置付けている」(執行役員 プロダクトマーケティング 榎隆司氏)。

日本オラクルの「Oracle WebCenter Social」も、業務アプリケーションの更新情報をタイムライン上に表示する機能を備える。

タイムライン上の膨大な投稿の中に、重要な情報が埋もれないようにする工夫も活発だ。

富士通の「知創空間SaaS」は、全投稿の中から頻出するキーワードを自動抽出する機能が備わる。最新情報やタイムリーな話題を把握するのに役立つ。キーワードに関連するコミュニティやユーザーを紹介する機能も特徴的だ。Beat Communicationの「Beat Shuffle」やソーシャルグループウェアの「iSNS」は、投稿内容を読み手が評価する機能を装備。評価の高い投稿を価値ある情報と位置付け、画面上の分かりやすい場所に配置するなどして閲覧を促す。

ソニックガーデンの「SKIP」の場合、共有する複数のファイルの全文検索が可能だ。投稿文章に加えてファイルの中身まで含め、必要なキーワードを含む情報を探し出しやすい。メールのように未読メッセージ数を表示し、読み忘れを防ぐ機能も備える(図4-1)。

図4-1 ソニックガーデンの「SKIP」。未読メッセージ数は、画面左側のメニュー欄に赤く記される
図4-1 ソニックガーデンの「SKIP」。未読メッセージ数は、画面左側のメニュー欄に赤く記される

ロボットを使って社内会議に参加

図4-2 米Anybots社が開発した会議用ロボット「QB」
図4-2 米Anybots社が開発した会議用ロボット「QB」

海外ではコミュニケーション手段の1つとしてロボットを活用する動きも見られる。図4-2にあるAnybots社の「QB」は社内を自由に動き回れ、ミーティングを実施する際には会議室などに移動して会議に参加する。ロボットを操作する当人は遠隔からロボット経由で発言したり、資料を閲覧したりできる。在宅勤務や外出の多い社員が社内で積極的にコミュニケーションを図る用途を想定している。遠隔地で医療活動を支援する用途も見込む。

こうした会議用ロボットはQBのほかに、InTouch Healthの「RP-7i Robot」、VGo Communicationsの「VGo」などがあり、どれもモニタやカメラ、マイクを備え、コミュニケーションを図れるようになっている。

ロボットを使ったコミュニケーションには違和感があるが、価格や機能次第で意外に普及するかもしれない。

多様な連絡手段を連携
種類を問わず過去の履歴可視化も

UC製品は、電話やメール、IM、会議などの連絡手段を集約し、状況に応じてこれらを使い分けることができる。ただし製品によっては一部の連絡手段を備えないもの、あるいは他社製品と組み合わせて提供するものもある。ユーザーインタフェースが異なるなどの操作性に影響するので、どの連絡手段を自社製品として保有しているのかを事前に確認しておくことが望ましい。

UCを活用すれば、連絡手段を適宜使い分けられるものの、利用したツールごとに過去の履歴が分断しかねない。そこでツールの種類に関わらず、過去の履歴を一元的に把握しようと試みるベンダーが登場している。

日本アバイアは人物を起点にして、過去にやり取りしたメールの履歴や共有したファイル、イベント情報などを画面上に表示する「Avaya Flare Experience」を開発中だ(図4-3)。過去の履歴をもとに両者と関連性の深い人物をピックアップすることもできる。今後はポータル「Avaya Aura」に一部の機能を実装していく予定だ。

図4-3
日本アバイアの「Avaya Flare Experience」。任意の人物と当人との間で過去にやり取りしたメールやドキュメントなどを参照できる</div>
図4-3 日本アバイアの「Avaya Flare Experience」。任意の人物と当人との間で過去にやり取りしたメールやドキュメントなどを参照できる

シスコシステムズは電話やIM、会議、在席管理といった各種ツールを利用できるアプリケーション「Cisco Jabber」を用意。WindowsやMacのほか、iPhoneやiPad、Androidといったスマートデバイスからアクセスでき、外出先からでも状況に応じて連絡手段を使い分けられる環境を整備する。

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