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[データマネジメント2024]

これからのMDMには“迅速さ”が不可欠。LLMによるデータ活用がトレンドに!

2024年4月19日(金)

DX、さらにデータ活用の下準備としてマスタデータ管理に対する企業の関心が大きな高まりを見せている。その支援で豊富な実績を誇るのがJSOLだ。2024年3月8日に開催された「データマネジメント2024」(主催:日本データマネジメント・コンソーシアム〈JDMC〉、インプレス)のセッションに同社の松井泰生氏が登壇し、「従来型」と「未来型」のデータ活用における“今”と“これから”を、同社の知見を基に解説した。
提供:JSOL株式会社

今、改めてMDMが関心を集める理由とは?

 データの利活用はDXの核となる活動だ。その推進に向け、マスタデータを全社で統合し、品質を維持する、マスタデータ管理(MDM)に対する関心が、多くの企業で改めて高まっている。

 その理由は明らかだ。マスタデータとは、「社内システムで利用する、一貫性と統一性のある識別子」だ。ただし、各種システムの個別最適化や人手でのデータ運用によるミスなどが原因で、本来は同一であるべきマスタデータに違いが生じることも現実的に数多い。

 JSOL 法人ビジネスイノベーション事業本部 データ&インテリジェンス事業部 事業部長の松井泰生氏(写真1)は、「この状況では、マスタデータの違いからシステム連携が難しくなり、非効率な業務プロセスをデジタル化で改善するのも困難です。加えて、マスタデータがシステム別に異なる意味を持つため、データ品質や分析精度も必然的に低下してしまいます」と解説する。

写真1:JSOL 法人ビジネスイノベーション事業本部 データ&インテリジェンス事業部 事業部長の松井泰生氏

 例えば、味の素製油とホーネンコーポレーション、吉原製油の合併により2004年に誕生したJ-オイルミルズでは、3社の基幹システムを継続利用することで同様の問題に直面した。打開策として同社が実施を決断したのが、JSOLのMDMツール「J-MDM」を中核とする基幹システムの再構築である(図1)。

 「基幹システムの再構築には一般に統合型ERPが用いられますが、このプロジェクトでは、生産や販売などの業務パッケージを用い、それらが共通利用するマスタデータをJ-MDMで統合する手法が採用されました」(松井氏)

図1:J-オイルミルズでは、「J-MDM」により複数システムで共通利用可能なマスタを整備し、新たな基幹システムを構築。システム間の連携により業務効率化も図られている
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 同プロジェクトにおいてJSOLはJ-MDMによるマスタデータ統合を担当。統合マスタのみならず運用プロセスも整備することで、システム連携による業務効率化やデータ活用、ひいてはDXのためのIT基盤が実現したのだという。

 松井氏によると、DXが進む中でのデータ活用の高度化に伴い、MDMの取り組みでは社内外の多様なマスタデータの統合/更新の一層の迅速化がより強く求められるようになっているという。

 「その点、J-MDMはローコード開発が可能な点が大きな強みです。基本的な画面遷移など各種設定のみで行え、それだけ短期に作業が完了します。Javaコードによる個別の拡張も可能です」(松井氏)

高度化を続ける「従来型」データ活用

 企業のデータ活用を概観すると、事業横断のデータ活用を狙いに、まずは多様な社内システムからデータを抽出し、DWH(データウェアハウス)で統合したうえで、人の知見を基にBIツールなどで分析する手法が現時点では主流だ。松井氏は、「従来からの手法ですが、データが急増する中、やり方は高度化を続けています」と語る。

 高度化の一例として松井氏は「360度ダッシュボード」(医薬メーカー向け)を紹介した(図2)。顧客との接点が人(リアル接客)やメール、Webサイトなど、オムニチャネル化する中、各チャネルで分散管理してきた顧客情報を集約し、顧客一人ひとりを多角的に把握できるようにするものだ。「360度ダッシュボード」を活用すれば、全チャネルを連動させて、最適と見込まれる手法やタイミングでの情報提供が可能となり、情報の付加価値を着実に高められる。

図2:「360度ダッシュボード」では、各チャネルで管理されてきた顧客データの集約により、多角的な顧客の可視化による営業やマーケティングなどでの包括的な情報収集を実現する
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 同様に、オムニチャネルのデータを基に、例えば売り上げが伸びてきた営業スタッフに共通する行動パターンの洗い出しを通じて、営業スタッフの行動変容や活動効率化に向けて推奨されるアクションをダッシュボードなどに表示する「レコメンドソリューション」も実現可能だ。

 さらに松井氏は高度化のもう一つの例として食品消費財メーカーの例を紹介した。自社商品が世の中にどれほど流通しているか。これはメーカーにとって大きな関心事だ。ただし、メーカーの製品マスタとPOSデータは現状、紐づけいていない。業界VAN(特定業界に特化したEDI)のデータなどによって店舗までの商品流通の可視化は進められているものの、店舗での商品の売れ行きの把握までは困難な状況にある。

 「J-MDMを使ってデータを統合すれば、この問題に対応を図れるだけでなく、店舗周辺の商圏や気象などのデータも組み合わせることで、店舗をハブにデータを立体的に統合する『店舗デジタルダッシュボード』も現実のものとなります」(松井氏)

非構造化データのベクター化でLLMでの活用が可能に

 その上で、松井氏は今後、データ活用の手法は、次の2点を満たす形で「未来型」に進化を遂げると解説する。1つ目は構造化データとテキストや画像などの非構造化データのデータ統合。2つ目は大規模言語モデル(LLM)との連携だ(図3)。

 非構造化データはリレーショナルデータベースによる管理が技術的に難しく、人手でのフォルダー管理が一般的だ。ただし、データの急増に伴い、目的のデータへのアクセスが一筋縄ではいかなくなっている。だが、非構造化データの埋め込みデータ化(ベクター化)により、構造化データと同様のDBによる統合管理がすでに技術的に可能になっているという。

 「埋め込みデータ化によって非構造化データでもLLMによる検索が可能になります。結果、LLMとの連携により、ユーザーは自然言語による指示(プロンプト)で、構造化/非構造化を問わない必要なデータへのワンストップでの容易なアクセスが可能となります」(松井氏)

図3:「未来型」のデータ活用では、構造化/非構造化を問わないデータの統合管理が実現し、LLMとの連携により自然言語によるワンストップでのデータアクセスが可能になる
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今後、LLMのデータ活用は「当たり前」に?

 未来型のデータ活用では、LLMがプロンプトを基に必要なデータを判断することで、臨機応変に情報を変更しつつ表示させることが可能になるという。例えば、とある顧客との直近の商談履歴のサマリーと、そこで話題となった自社商品の売上推移を表示するよう指示した場合、LLMはSFA(営業支援ツール)の活動データの要約とともに、併せて売り上げDWHから検索した売上推移を表示する。松井氏は、「活用法の進化により、データの利用シーンが格段に広がります」と力を込める。

 ただし、その業務利用にあたっては現状、課題も多く残されている。LLMを基に文章を生成する仕組みの代表がChatGPTなどの生成AIだが、普及しているChatGPT-3.5では、「とある企業の担当者数」といったシンプルな問い合わせには対応できるが、異なるテーブル間のデータを関連付ける必要のある複雑な問い合わせには対応できない。最新のChatGPT-4ではこの問題は解決されているが、専門用語を含む問い合わせへの正確な返答はいまだ困難だ。

 ただ、LLMやChatGPTにおける現在進行形での急速な進化はJSOL内での検証により確認できており、近い将来、現場利用で問題のないレベルにまで課題が解消されるのは確実な状況だという。

 最後に松井氏は、企業のデータ活用の成功に向け次のようにアドバイスし、講演を締めくくった。

 「データ活用で成果を得るには、業務に根差した優良なユースケースと、良質な業務データを基に仮説検証を繰り返す必要があります。そのためにも、IT部門はビジネス現場との協働に向け、円滑な関係構築に今からでも力を入れるべきです」(松井氏)


●お問い合わせ先

JSOL株式会社

URL:https://www.jsol.co.jp/

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