[市場動向]

「クラウドでサイクリングパラダイスを」愛媛県と日本マイクロソフトが連携

2014年4月22日(火)五味 明子(ITジャーナリスト/IT Leaders編集委員)

愛媛県と日本マイクロソフトは2014年4月22日、愛媛県が展開する「愛媛マルゴト自転車道」を推進するために連携すると発表した。その成果の第一弾として「愛媛マルゴト自転車道サービスサイト(https://ehime-cycling.jp/)」を公開した。同サイトの基盤は、マイクロソフトのクラウドサービスであるMicrosoft Azureを採用。サイクリストが投稿したブログや写真などのコンテンツ管理は、顧客管理サービスであるMicrosoft Dynamics CRMの機能を利用する。

写真1:「サイクリングパラダイス」の実現に向けてパートナーシップを強調する中村時広知事と樋口泰行社長
写真1:「サイクリングパラダイス」の実現に向けてパート
ナーシップを強調する中村時広知事と樋口泰行社長

 発表会で挨拶した愛媛県知事の中村時広氏は、「『瀬戸内しまなみ海道』など、絶景を堪能できる愛媛県の自動車道は世界に誇れるコンテンツだ。スピードや競技性だけでなく、健康や、生きがい、友情を軸にした自転車文化を愛媛県に根付かせる。そのために、日本マイクロソフトの力を借りたい」と語った(写真1)。

 日本マイクロソフトの代表執行役社長である樋口 泰行 氏は、それに応え「今回の連携はマイクロソフトが展開する地域活性化プログラムにおける13番目のプロジェクトになる。単に地方が抱える悩みを解決するだけでなく、『クラウドですべてのコミュニケーションを行う』ための、前向きな協業として取り組んでいきたい」と、協力を惜しまない姿勢をアピールした。

 今回立ち上げた愛媛マルゴト自転車道サービスサイトは、愛媛県内にある26の自転車道について、コースごとの全体図や高低図、コースレビュー、グルメポイントや景観ポイントなどを紹介するためのもの。情報を提供に加え、県民やサイクリストによる情報の投稿や、Twitter/Facebookといったソーシャルサービスとの連携も図ることで、双方向型のコンテンツ集約・発信サイトを目指す。

写真2:愛媛マルゴト自転車道サービスサイトの概要。Azure上に構築し、コンテンツはDynamics CRMで管理する

写真2:愛媛マルゴト自転車道サービスサイトの概要。Azure上に構築し、コンテンツはDynamics
CRMで管理する


 サイクリストが、サイクリング中にスマートフォンなどから投稿した写真や動画を、リアルタイムに反映する機能がある。現在はAndroidだけの対応だが、今後は対応デバイスを増やす予定だ。サイトはHTML5で書かれているため、HTML5対応ブラウザであれば閲覧できる。

 愛媛県は現在、県をあげて「サイクリングパラダイス」の実現に取り組んでいる。世界一の自転車生産台数を誇る台湾メーカーとの協業や、国際サイクリング大会の実施などを積極的に推進している。中村知事は、「一発花火的なイベントを誘致するだけではダメ。愛媛県が本当の意味でサイクリングパラダイスになるためにはITの力が欠かせない。観光客誘致は、それからの課題だ」とした。

サイクリングロード周辺のWi-Fi環境も整備

 本サイトの運営は、NPO法人「愛媛県IT推進協議会」が立ち上げた「えひめICT利活用推進コンソーシアム」が中核になっている。サイトは、同コンソーシアムプロジェクト推進メンバーであるマイスターとエス・ピー・シーが開発した。前者が、クラウドをベースにしたアプリケーション開発を、後者はコンテンツ作成をそれぞれ担当した。

 今回、本サイトのオープンに合わせ、NTTメディアサプライとNTT西日本が、Wi-Fiサービス「DoSPOT」を愛媛県下のサイクリングロード周辺の店舗や観光地に展開していく計画を発表した。10月26日に開催予定の「瀬戸内しまなみ海道・国際サイクリング大会」までに接続環境を整備したい考え。NTT西日本愛媛市店長の大橋 大樹 氏は、「誰でも使える、簡単に使える、そして使いたくなる。そんな快適なインターネット接続環境の推進に努め、国内外の観光客誘致に貢献したい」と話す。

 本サイトの構築・運用基盤であるAzureは、投稿情報の受け入れや写真・動画を管理するストレージサービスと、認証やソーシャルサービスとの連携、地図サービス(Bing Maps)との連携などの機能を担っている。モバイルやPCから投稿された情報の管理・分析、観光情報の提供などはDyanmics CRMが担う。Dynamics CRMは、不動産物件など人以外の情報管理においても実績が多々あるという。

 フロントエンドにモバイル、バックエンドにクラウドとCRMを使った仕組みは、米サンフランシスコや英ロンドンなどが住民と行政を結び付けるためのシステムでも採用されている。「どんなデバイスから、どれだけ多くのアクセスがあっても、クラウド上ですべて受け取り、管理するためのテンプレートが出来上がっている。クラウドこそが多様なアクセスに耐えうるインフラだ」と、樋口氏は強調する。愛媛県でも同様のテンプレートを使って運営されているとみられる。

 愛媛県と日本マイクロソフトとの提携期間は1年間。この期間内に「クラウドのパワーでこれまでにない地域活性化のモデル」(樋口氏)を両者で実現したいとしている。

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