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[海外動向]

【IAITAM ACE 2014 Spring】クラウド、モバイルが本格化する中で重要性増すIT資産管理

2014年6月30日(月)武内 烈=国際IT資産管理者協会

クラウドサービスが普及する中、欧米企業の間では、ハードウェアやソフトウェア、データ、利用するサービスといったIT資産をどう管理していくかが話題になっている。複雑化するIT資産管理に関わる情報を得る格好の場に、「IAITAM(International Association of IT Asset Managers:国際IT資産管理者協会)」が年に2回開催するカンファレンスがある。2014年4月29日から5月1日にかけては米ラスベガスで「IAITAM 2014 ACE(Annual Conference and Exhibition) Spring」(が開催された。同カンファレンスの概要を報告する。

写真3:大手ソフトウェアベンダーが実施するソフトウェア資産管理(SAM)の監査活動の違い写真3:大手ソフトウェアベンダーが実施するソフトウェア資産管理(SAM)の監査活動の違い
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 同講演で面白かったのが、大手ソフトウェアベンダーが実施するソフトウェア資産管理(SAM)の監査活動の違いである(写真3)。それによると、独SAPや米Adobeは極めてアクティブ=厳しい、米マイクロソフトや米IBMはそこまでではないがアクティブ、米オラクルは相対的にアクティブ度合いが弱いという。

 ただ、「いずれにしろ、ライセンスを遵守しないリスクは非常に大きい。賠償額は非常に巨額になる傾向にあるからだ。スマートデバイスなどのアプリケーションも含め、リスク低減に向けたライセンス遵守策が欠かせない」(E&Y)とした。

 そのための方策としてE&Yは、「社員の意識や個人任せではなく、組織の管理プロセスを充実させることがポイントである」と指摘する。ISO規格に準拠したマネジメントシステムを導入することは、その一つの答えだ。

ライセンス最適化のための10のベストプラクティス

写真4:満席だった米Flexera Softwareによる「ソフトウェア ライセンス最適化の成功のための10のベストプラクティス」と題したセッション写真4:満席だった米Flexera Softwareによる「ソフトウェア ライセンス最適化の成功のための10のベストプラクティス」と題したセッション
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 参加者の関心が高かった一般セッションにも言及しよう。米Flexera Softwareによる「ソフトウェア ライセンス最適化の成功のための10のベストプラクティス」がそれだ(写真4)。Flexera Softwareは日本ではそれほど知名度がないが、PCソフトウェアのインストーラである「InstallShield」のメーカーであると言えば、知っている人も多いのではないだろうか?

 Flexera Softwareは、インストーラなどで蓄積したノウハウを基礎に、利用規約のライブラリやソフトウェア資産管理製品も提供している。そんな同社が語る10のベストプラクティスを以下に列挙する。

(1)エグゼクティブスポンサーシップの獲得
(2)現在の状況のアセスメントおよびあるべき姿の検討
(3)内部&外部リソースを含めたチームの構築
(4)段階的プロジェクトの設計
(5)集中購買と資産管理
(6)ソフトウェア リクエスト プロセスの自動化
(7)ベンダーに特化した考慮
(8)ライセンスの回収
(9)契約の交渉
(10)プロジェクト計画の実行と進捗管理

 概略だけで分かりにくいが面はある。だが、一つひとつを見ていくとIT資産管理プログラムのポイントを押さえており、かつIT資産管理業務に新しく携わる担当者にも分かりやすい内容だといえる。「ツールはそれを単独で導入するのではなく、プロセス設計の結果として導入するべきだ」という指摘も、傾聴に値する。

 Flexera Softwareの新サービスである「APP Store」にも言及があった。名前から推察される通り、プライベートクラウドの形で企業がアプリケーションのダウンロードサイトを構築するものだ。ソフトウェアインストールの自動承認とライセンスの管理を手間なく確実に実行できる。日本の資産管理ツールベンダーにはない機能である。

小さくないギャップを埋める必要性がある

 これらのほか、ITAD(IT Asset Disposal: IT資産廃棄)、シートマネジメント(クライアント環境アウトソーシング)、IT資産管理の一環である課金管理の事例、ITサービス管理とIT資産管理の整合性を維持したITFM(ファイナンス管理)の実現事例などのセッションもあった。

 全体として見ると、欧米におけるIT資産管理のスコープはかなり幅広い。ITSM(ITサービス管理)との整合性維持の必要性も大手企業ではもはや常識であることが分かる。企業における情報システム部門の位置づけの変化や目標の進化、外部サービスプロバイダ(アウトソーサー)のサービサーとしての進化の様子がうかがえる。

 例えば情報システム部門の役割は、部門横断的なサービスやBPR(Business Process Reengineering:ビジネスプロセスリエンジニアリング)の牽引役として、サービスのプロバイダへと進化しているようだ。外部のサービスプロバイダは、Flexera Softwareの「APP Store」のように、情報システム部門が求めるサービスを提供する形である。

 日本の現状は、インシデント管理や問題管理が成熟し、ようやく変更管理において構成管理の重要性が理解され始めた段階だ。データセンターにおいては、構成管理の実装におけるIT資産管理プロセスの重要性が認識されるようになったところだろう。ギャップは小さくないが、その差を埋める必要があることは確かである。

筆者プロフィール

武内 烈 (たけうち・たけし)
IAITAM 日本支部長、IAITAM 認定講師/コンテンツ・ディレクター、ITIL認定エキスパート。主に外資系ソフトウェアベンダーにおいて約25年間の経験を持つ。専門分野はネットワークオペレーティングシステム、ハードウェア診断システム、IT マネジメントと幅広く、エンタープライズ Java サーバー (WebLogic、WebSphere)、ESB(Enterprise Service Bus)、SAPやOracleなどのERP製品の経験もある。
その後、IT資産管理ツールベンダーでの経験から、IT資産管理に特化したITサービス管理の戦略コンサルティングにフォーカスするようになり、2011年から現職。IT資産管理のポリシーやプロセスを自動化するテクノロジと結びつけ、IT資産管理プログラムの実行性を高めるコンサルティングを提供している。

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