[ユーザー事例]

タイムズコミュニケーション、コイン駐車場のトラブルシューティングにWiMAXを使った遠隔モニタリングシステムを活用

2014年10月8日(水)川上 潤司(IT Leaders編集部)

時間貸駐車場などを展開するパーク24グループ。その1社であるタイムズコミュニケーションは、WiMAXを使った遠隔モニタリングシステムを導入し、現場のトラブル解決に役立てている。システムの狙いや概要について、キーパーソンに話を聞いた。

 「快適なクルマ社会の実現」を標榜し、時間貸駐車場やカーシェアリングなどのビジネスを展開するパーク24グループ。その中の1社であるタイムズコミュニケーションは、顧客から寄せられる問い合わせなどに対応するコンタクトセンター事業を主軸に据えている。同社はこのほど、駐車場の運営や管理を高度化する一環として、遠隔モニタリングのためのシステムを導入した。その狙いや、見え始めた成果について、プロジェクトを推進した調査管理室長の浅井雅彦氏に聞いた。


──まず初めに、タイムズコミュニケーションさんの事業内容について教えていただけますか。

タイムズコミュニケーションで調査管理室長を務める浅井雅彦氏

 主な事業は、お客さまからのお問い合わせなどに対応するコンタクトセンターの運営です。案件として多いのは、駐車場を利用していてのトラブルや、機器の不備/故障などの第一報を受け付けて、迅速に対処する業務です。

 皆さん知っての通り、街中には数多くの時間貸駐車場があります。その中で当社グループの「タイムズ」が選ばれるには、トラブルが少なく安心して利用できるという信頼感を醸成していくことが欠かせません。その点で、お客さまから生の声が寄せられるコンタクトセンターは、ビジネス品質を高めるためのフロントエンド。ここに集約される情報を足がかりとして、私たち調査管理室が全社的な改善活動につなげていく重要なポジションを担っています。

──遠隔モニタリング用の新システムを導入し本格活用を始めたとのことですが、どのようなタイプの駐車場に設置しているのでしょうか。

 当社が手がけている駐車場には、大きく2つのタイプがあります。1つは、一定以上のスペースがあり駐車台数も多い「ゲート式」。出入り口に、踏切の遮断機のようなゲートバーがあるものです。もう1つは「フラップ式」で、クルマを所定位置に停めるとその場でロック板がせり上がるタイプ。こちらは比較的スペースの狭い駐車場に採用しています。今回は、「フラップ式」の駐車場で本格活用を始めました。

 ゲート式駐車場の場合は、すでに多くにおいて出口付近を中心にモニタリング用のカメラを設置してあります。一方、フラップ式駐車場にはモニタリング用のカメラは備わっていないところがあります。今回の取り組みは、主にフラップ式駐車場を対象とした遠隔モニタリングの仕組みをリニューアルしたという位置付けです。

現場で何が起こっているかを映像でつぶさに確認する

──映像による遠隔モニタリングの目的は、例えば、車上荒らしや、人為的不正などに対応するため?

 そういったケースもごく希にはありますが、主には機器トラブルを減らし、サービスの質を高めるための措置です。

 時間貸の駐車場は様々な機器から構成されています。高い精度や品質で作られているとはいえ完璧とはいかず、時として不調をきたすことがあります。経年劣化で部品が壊れたり、豪雨豪雪の影響で動かなくなったりする。センサーの感度に不具合が生じ何か物がよぎっただけでロック板が上がってしまうなんてことが起こり得るのです。

 機器には様々なセンサーが内蔵されているので、それらから上がってくるデータを見れば、どんなトラブルが発生しているかがある程度分かります。ただし、現場の実態と照らし合わせないと原因追及できないこともあります。人をずっと張り付かせるわけにもいかず、こんな時に役立つのが、映像を使った遠隔モニタリングの仕組みなのです。お客様がトラブルに遭遇することなく快適に駐車場を使っていただく。その根幹を支える取り組みとして、遠隔モニタリングが欠かせません。

──先ほど、「リニューアル」と仰っていたことから推察すると、以前からも取り組んでいたのでしょうか。

 はい。ビデオカメラで撮影した映像をHDDに保存する装置を社内で開発し、使っていた経緯があります。トラブルが頻発する駐車場があると、その装置一式を設置して記録するのです。それなりに効果はあったのですが、いくつかの問題を抱えていました。

 まず、記録した映像データをチェックするには、HDDから当該データを取り出す必要があり、その作業に多くの手間や時間がかかりました。また、カメラのレンズ向きをコントロールする機能を備えていなかったので、一旦固定すると、記録対象にできる駐車スペースはいぜい2~3カ所でカバー範囲が狭い。カメラや記録部などのパーツがセパレート式だったので配線などが複雑になり、設置に3時間ほどかかることも機動力を削いでいました。こうした問題点の解決を図ったのが今回の新システムです。

写真で赤丸で囲んでいるのが、駐車場に設置された遠隔モニタリングの装置一式
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──新システムの概要やポイントを教えてください。

 ズームやパンができるビデオカメラと無線通信用のルーター、それにバックアップ記録用のHDDを1つの筐体に収めています。今回もパーツをそれぞれ調達して、自社で作り込みました。Parking(=駐車場を対象とした)、Moving(=移動可能な)、Security(=安心安全のための)という意味で、社内では「PMSシステム」と呼んでいます。

遠隔モニタリングを担う「PMSシステム」の概要
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 映像をリアルタイムに確認できるように、無線通信を取り込んだのが最大のポイントです。具体的には、WiMAXです。映像データは大きくなりがちですが、それでも高速な通信ができることを評価して決めました。

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