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グローバル展開を打ち出すソラコム、2つの新サービスを発表

2016年7月15日(金)杉田 悟(IT Leaders編集部)

IoT(Internet of Things:モノのインターネット)用デバイス向けインターネット通信サービスを提供するソラコムが、2016年7月13日に開催されたプライベートカンファレンス「Discovery」で新サービスの「SORACOM Door」と「SORACOM Gate」を発表した。これで同社のサービスは、計8つとなった。

 ソラコムは、NTTドコモの基地局とAmazon Web Services(AWS)のクラウドインフラを使ってバーチャルキャリアを構築、ここから6つのサービスを提供してきた。最初のサービス「SORACOM Air」はSIMカードを使ったモバイルデータ通信サービス。「SORACOM Beam」は、SIM搭載のIoTデバイスやタブレット、スマートフォンなどから得たデータを、認証や暗号化、プロトコル変換などによりセキュアなデータ転送を支援するサービスだ。

 「SORACOM Canal」はプライベート接続サービス、「SORACOM Direct」はAmazon Web Services(AWS)の「Direct Connect」を利用した専用線接続サービス、「SORACOM Endorse」はデバイス認証サービス。そしてデバイスから直接クラウドサービスにデータを転送する「SORACOM Funnel」というのがこれまでのラインアップとなっている。

 今回新サービスとして発表した「SORACOM Door」(図1)は、ユーザーシステムとSORACOMプラットフォームの接続を、SORACOM Directのような専用線ではなく安価なインターネットで行いたいというユーザーの希望に沿う形で開発された、VPN(Virtual Private Network)を使った仮想専用線接続サービスだ。

(図1)SORACOM Doorの仕組み(提供:ソラコム)
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 SORACOM Doorの利用により、SORACOM Airで接続されたデバイスからユーザーのシステムへのトラフィックをVPNで、セキュアにルーティングできるようになる。SORACOM Directと併用すれば、専用線とVPNを組み合わせた冗長構成の構築も可能になる。

 もうひとつの新サービス「SORACOM Gate」(図2)は、SORACOM Airでつないだデバイスに外部からセキュアにアクセスできるようにするためのデバイスLAN接続サービスだ。

(図2)SORACOM Gateの仕組み(提供:ソラコム)
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 SORACOMのネットワークポリシーでは、外部ネットワークからデバイスに直接通信しようとすると、その通信は遮断されてしまう。そこで、ユーザーの任意のデバイスとサーバーだけが自由に通信できるようにするため、デバイスとサーバーを、1つの大きな仮想サブネットでつなぐことにした。サブネット内では、サーバーからデバイスへ、デバイスからサーバーへの相互通信が、1つのLANでつながっているかのように自由に行えるようになる。

 今回のカンファレンスでソラコムの玉川憲社長は、2016年5月に参入を発表したLoRaWAN事業についても言及した。LoRaWANは、乾電池で数年稼働する超省電力性を持ち、免許不要で数キロメートル飛ばすことのできる通信規格。通信速度は遅いため適用範囲は限られているが、大量のセンサーデータを飛ばす必要のあるIoT分野での活用には十分とソラコムでは判断している。今回、基地局、モジュール、トレーニング、コンサルティングを含んだLoRaWANの実験キットである「LoRaQWAN PoCキット」の発売を発表した。

 また、ソラコムへの出資を発表している三井物産、トヨタ自動車からは、ソラコムへの期待と、ユーザーとしてソラコムのサービスをどう活用していくかの説明が行われた。

 三井物産とは2016年5月に資本提携および業務提携を発表している。三井物産は、自社の持つ幅広い事業分野でIoT事業に取り組んでいくことを戦略としてあげており、そのグローバルな通信プラットフォームとしてソラコムの活用を考えているとしている。

 トヨタ自動車は、同社が出資している未来創生ファンドが2016年7月6日にソラコムへの出資を発表したことを受けて、KDDIと進めているコネクテッドカー向けグローバル通信プラットフォームへのソラコムの採用を明らかにしている。

 トヨタが進めているテレマティクスサービスのグローバル通信インフラは、先進国向けにはJasperやEricsonなど大手通信ベンダーのインフラを活用している。一方、ローコストが必須とされる新興国向けのインフラとして、高速ローコスト開発が可能なソラコムを活用するとしている。

 また、自社のIoTプラットフォーム「Lumada」を2016年5月に発表したばかりの日立製作所は、Lumadaにおける、業務システムおよび製造業の現場システムからのデータを吸い上げる「共生型接続バス」の部分でソラコムを活用する考えを示している。

 これらグローバルで活躍する大手企業との協業の背景について同社は、グローバル戦略を挙げている。海外進出のための資金調達を積極的に実施、2016年6月にはシンガポールに現地法人SORACOM INTERNATIONALを設立し、本格的なグローバル展開への取り組みを開始している。

 新たに、ソラコムのグローバル用SIMが、海外の複数の通信キャリアとの契約により120カ国以上の国と地域に対応した。三井物産、トヨタ自動車、日立はいずれも事業のグローバル展開の中でのソラコムの活用を検討しており、グローバル対応を拡大したソラコムの利用価値が高まっているといえる。

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