[河原潤のITストリーム]

基盤、機器、管理ソフトが丸ごと揃う「IIJ IoTサービス」はどのぐらい魅力的?:第53回

2016年7月20日(水)河原 潤(IT Leaders編集部)

インターネットイニシアティブ(IIJ)は2016年7月19日、IoT(Internet of Things)サービス群「IIJ IoTサービス」を発表、同年11月より一部メニューを提供開始します。IoT活用に必要なクラウド基盤/機器/各種管理ソフトをマネージド型サービスとしてオールインワン提供するというもの。発表内容から企業にとっての魅力を確認してみましょう。

マネージドサービスとしてIoTの基本要素をトータル提供

 企業がIoTを活用したビジネスを支援するサービスやソリューションはすでに数多くのベンダーが出荷中ないしは発表済みです。総合的なものでは、2015年3月発表のマイクロソフト「Azure IoT Suite」、2015年9月発表のソラコム「SORACOM」、2016年2月発表のさくらインターネット「さくらのIoTプラットフォーム」あたりが有名どころでしょうか。今回のIIJ IoTサービスの発表は、良く言えば「満を持して」ですが、この分野でのIIJのポジションや提供済みの製品・サービス群を考えれば、やや出遅れたタイミングとも言えます。

 後発であるからには明確な強みが欠かせないということで、IIJ IoTサービスの発表にあたりIIJは、同社のこれまでのインターネット/ネットワーク分野でのノウハウに基づいたオールインワン/マネージドサービス型のクラウドプラットフォームであること(図1)と、今後のIoT市場の発展を見据えた将来のロードマップを描いていること(新サービスはロードマップ全体の端緒)の2つを訴えています。

図1:IIJ IoTサービスの概念図(出典:IIJ)

 オールインワンの強みとしてIIJは、「単体のIoTソリューションとは違い、各種デバイスに搭載されたセンサーに集まる情報の収集から蓄積、可視化、制御・管理の自動化に至るまで、IoTシステムに必要なすべての機能を一体化し、利用量課金型のクラウドサービスとして提供できること」(IIJ クラウド本部 副本部長の染谷直氏)を挙げます。これは、パブリッククラウドの「IIJ GIO」やコンシューマー向けMVNOサービス「IIJmio」、ルーターのレンタルサービス「SEILレンタルサービス」など既存サービス群(図2)に、現在開発中のIoTに特化したサービスや技術を加えて、IoTにまつわる全プロセスをトータルで網羅していく点を指しています。

図2:IIJ IoTサービスのベースとなる既存サービス群(出典:IIJ)

3系統のサービスメニューを、当初は月額1000円程度で利用可能に

 肝心のサービスメニューは、「コネクティビティ」「プラットフォーム」「機器」の3つに大別されています(表1)。コネクティビティメニューは、文字どおりIoTの接続・通信に関するもの。2016年11月のファーストリリース時にはモバイル接続サービスの提供のみであるものの、2017年以降、ユーザー専有型の「プライベートモバイル接続」や、ユーザーの環境とIIJのパブリッククラウドをWAN/VPN閉域接続する「エンタープライズ接続」およびMicrosoft AzureなどのIIJ以外のクラウドと閉域接続する「クラウドエクスチェンジ」などが順次利用可能になります。

 プラットフォームメニューは、IIJのクラウド上に置かれるIoTシステムの制御・管理にまつわるもの。ファーストリリース時はアプリケーションやクラウドへのデータ転送を担う「データハブ」、ストレージへの格納とデータアクセス画面・APIを司る「データストレージ」が提供されます。2017年には、データを可視化しビッグデータ解析などを可能にする「データビジュアライザー」が提供予定となっています。

 機器メニューは、センサー接続/無線接続用のゲートウェイ機器が「デバイスゲートウェイ」としてレンタルで提供されます(図3)。2017年以降には、リモートでの保守管理や双方向通信プログラムに対応した「デバイスエージェント」が利用できるようになる予定です。

2016年11月提供予定

機能 概要
コネクティビティ モバイル接続 低コスト・高品質・安全なモバイル接続・認証
プラットフォーム データハブ アプリケーションやクラウドへのデータ転送
データストレージ ストレージへの格納とデータアクセス画面・API
データビジュアライザー データ可視化、ビッグデータ解析(2017年提供予定)
機器 デバイスゲートウェイ センサー接続・無線接続用ゲートウェイ機器

2017年以降順次提供予定

機能 概要
コネクティビティ プライベートモバイル接続 お客様専有型のモバイルネットワーク接続
エンタープライズ接続 お客様環境とのWAN・VPN閉域接続
クラウドエクスチェンジ Microsoft Azureをはじめとした外部クラウド閉域接続
プラットフォーム デバイスマネジメント デバイスGW機器の監視・管理、リモート設定更新
デバイスコントロール デバイス制御、状態通知、自動管理
機器 デバイスエージェント リモートメンテナンス、双方向通信プログラム

表1:IIJ IoTサービスのサービスメニュー(出典:IIJ)

 11月当初のサービス価格は未定ですが、IIJによると、月額1000円程度で基本的なメニューが利用可能になる模様です。

図3:機器メニューで提供されるデバイスゲートウェイ(出典:IIJ)
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●Next:独自の分散処理基盤を開発中

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