[海外動向]

売上高7兆円超のDell Technologiesが始動、旧EMCがソフト/サービス事業を担う

2016年9月8日(木)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

米DellによるEMCの買収統合が、予定よりも1カ月早く完了。2016年9月7日(米国時間)から新生Dell Technologiesとしての活動を開始した。両者で重複する製品群がどう整理されるのかなどが話題になってきたが、統合に向けてDellはソフトウェア/サービス事業を売却し、同分野には旧EMCの事業を、ほぼそのままに継承する形になった。

 例えば、主力のストレージ事業においても、データマネジメント用のソフトウェア開発が中心になり、ハードウェアとしては汎用品の利用率が高まっている。であれば、Dellのハードウェア調達力を生かせば、価格競争力が高められるとの判断だろう。2016年5月のEMC Worldでもデル氏は「Dellがもつサプライチェーンが有力な差異化要因になる」と話していた。

 これはサーバー分野におけるハイパーコンバージド事業においても同様だ。共通のハードウェアを使いながら複数のソフトウェアスタックに対応することで利用企業の選択肢を増やす。Dell自身はこれまで米MicrosoftのAzure StackやOSSのOpenStackを使うハイパーコンバージド事業を展開。旧EMC傘下のVCE(Cisco、EMC、VMwareが2009年に設立した合弁会社)が扱うVMware環境からは一線を引いていた。VCEが今後、VCE事業部として存続し、ハードウェアにはDell製品を採用することもあるとする。

 これら複数ブランドの中で、台風の目になりそうなのが「Virtustream」。当初、VMwareなどの仮想化環境でERPなどのミッションクリティカルなアプリケーションを稼働させるためのミドルウェアとの触れ込みで、VMwareとの統合を模索していた。だが、VMwareとの統合は断念し、旧EMC自身が展開するストレージのプライベートクラウドの基盤ソフトなどとして利用し始めていた。Dell Technologiesの製品体系ではPaaS(Platform as a Service)に位置付けられている(図3)。

図3:Dell Technologiesが提供するテクノロジー領域図3:Dell Technologiesが提供するテクノロジー領域
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 なお、今回の統合発表に併せ、ユーザー企業として米JPMorgan Chaseの会長兼CEOのJamie Dimon(ジェイミー・ダイモン)氏が、パートナー企業として 英Salesforce.comの会長兼CEOのMarc Benioff(マーク・ベニオフ)氏がコメントを寄せている。いずれもデル氏の手腕を評価している点が興味深いので紹介しておく。

ダイモン氏「デルとEMCの世界最大のユーザー企業の1社である当社は、インフラストラクチャーおよびクラウドコンピューティング、ビッグデータ アナリティクス、サイバーセキュリティなどのテクノロジーに年間およそ90億ドルを支出しています。マイケル・デル氏と私は30年来の知り合いですが、彼は倫理的で、社内や業界全体を問わず、仕事をしているすべての相手のことを深く考えている一流の人物です。デル氏と新しい企業の誕生に興奮しているとともに、今後彼らがこれから創り出していくすべてを楽しみにしています」

ベニオフ氏「デルおよびEMCと当社のパートナーシップは、業界全体を通じたイノベーションの推進において重要な役割を果たしています。デル氏は卓越した先見の明を持つ人物であるとともに、業界で最も重要なリーダーの1人です。当社の成功においても、パートナーとしての彼の貢献は非常に大きいです。今回デル テクノロジーズを立ち上げたことで、彼はまたハイテク業界の再形成を進めています」

 ちなみに、買収完了に伴い、EMCの株主は1株当たり約24.05ドルを受け取っている。この中には、VMware事業のトラッキングストック約0.11146株を含む。

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