[インタビュー]

変革の核はデータアナリティクスだが「デジタル倫理」の考慮が必要、米アバナードのCEO

2016年11月28日(月)志度 昌宏(DIGITAL X編集長)

新興企業によるディスラプション(破壊)を引き金にデジタルトランスフォーメーション(変革)へ取り組む機運が高まっている。米GE(General Electric)のようにIoTを牽引する大企業もある。しかし多くの既存企業は今、デジタル変革に、どう取り込もうとしているおり、何を課題にしているのだろうか。アクセンチュアとMicrosoftが合弁で設立したインテグレーターである米アバナードのCEOであるAdam Warby(アダム・ワービー)氏に聞いた。

 ただ、企業としては今後、データを扱う際の倫理観である「デジタル倫理」に十分に配慮しなければならない。コミュニケーション手段は様々で伝わり方にも違いがある。電子メールの利用状況と電話の利用状況を同じ方法/尺度で比較して良いのかには疑問もある。デジタル化で各種データの取得は容易になる一方だし、データの分析やAI(人工知能)による予測などへの期待はある。だが、すべてがCXのためだと指摘したように、最終的に人の働き方が重要だ。技術的に“できる”ことと実装方法は異なることを、これまで以上に考える必要があるだろう。

 デジタル倫理はDigital Operationにも当てはまる。最近は自動車の運転状況を示すデータを取得・分析し、安全運転をしているドライバーの保険料を割り引くというサービスが始まっている。ドライバーにすれば、安全運転ができている間は良いが、事故に遭遇したら様々な個人データが保険会社や警察などの間で流通することは望まないだろう。

−−デジタル倫理を強調すると、「個人情報を漏えいさせたくないからITの利用を控えよう」といった方向に進む可能性がある。

米アバナードのAdam Warby(アダム・ワービー)CEO

 産業革命期の1810年代に、主に農民が織機などを破壊した「ラッダイト運動」が起こっている。だが、例えば米国では、農業従事者は当時の95%から5%にまで減少したが生産性は最も高くなっている。テクノロジーの変化はさらに速くなっており将来の予測は難しいが、テクノロジーを恐れてはいけない。

 企業がデジタル変革に取り組めるよう当社では「Digital Innovationフレームワーク」を用意し、過去の遺産に囚われることなく新しいことに挑戦することを支援している。デジタル変革による将来像をつかむためのワークショップ「Innovation Day」も提供できる。そこではテクノロジーそのものよりも、どう変わっていくかの“ストーリー”を理解してもらうことに力点を置いている。マイナスの側面ではなく、プラスの側面に注目することが大切だ。

 デジタル倫理をどう社内に採り入れるかに向けても、当社顧客や米ガートナーと共に開発した「デジタル倫理フレームワーク」がある。それをひな形にできる。

−−デジタル変革に取り組み成功している企業に共通点はあるか。

 2つの共通点が挙げられる。1つは、社内の専門分野から人材が集まり「やるんだ」という意識を共有できるチームが結成でいる企業である。そこではIT部門と事業部門が常に一緒に取り組んでいる。なので当社としても、IT部門と事業部門の両部門との対話を心がけている。

 もう1つは、外の世界に目を向けている企業だ。彼らは、社内や業界の都合だけでなく、顧客の考えを社内に取り込もうとする意識が高い。

−−Digital Innovationやデジタル倫理などの各種フレームワークを備え、それを元に改革を提案しているアバナードの活動を聞いていると、親会社であるアクセンチュアの出る幕がない。

 そんなことはない(笑)。当社はアクセンチュアにおけるMicrosoftのテクノロジーに特化した子会社であり、Microsoftテクノロジーの最高の利用者である。同時に、アクセンチュアがサービスを提供できていない顧客層に考え方やテクノロジーを提供する役割も担っている。

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