【Special】

本格化するビッグデータ活用を牽引するオープンソースのプラットフォーム

ホートンワークスとユーザーが語る「現在と未来」

2017年10月30日(月)

IoTやクラウド、AIといった技術の登場で、ビッグデータをビジネスに活用する動きが加速している。もはや、ビッグデータ分析はどの企業にとっても喫緊のテーマだ。2017年10月に開催された「Data Platform Conference Tokyo 2017」の基調講演では、オープンソースに立脚したデータプラットフォームを手掛けるホートンワークスのキーパーソン3名と、データ活用に果敢に挑む4社が登場。その講演内容から、ビッグデータ活用の最新動向をレポートする。

 基調講演で最初に登壇したのは、ホートンワークスの日本法人の社長を務める廣川裕司氏だ。「当社は“次世代データプラットフォームのデファクトスタンダードを提供する”という目的の下、2011年に誕生しました。データプラットフォーム、IoT基盤に続き、2017年にはサイバーセキュリティプラットフォームも手がけ始めています。まだ6年目ですが、“世界で最もホットなソフトウェア会社”です」と自社プロフィールを紹介すると共に、テクノロジーがビジネスの可能性を押し広げている時代にシンクロした事業を手掛けていることをあらためて強調した。

ホートンワークスの日本法人で社長を務める廣川裕司氏

 同氏は続けて企業がビッグデータ分析基盤を必要としている理由について、次のように言及した。「2013年当時で、世界中の企業が保有するデータは4ゼタバイトほどでした。それから毎年40%ずつデータは増加し続け、2020年の予測は44ゼタバイト。10倍にも膨れ上がったデータを活用しようとしても、従来のテクノロジーのままでハンドリングすることは到底無理なのです」。

 そうした状況のなか、新たなニーズに応える技術革新の場となり、アイデアや具体的なソフトウェアを次々と生み出しているのがオープンソースのコミュニティである。熱意と技術力に溢れる世界中のエンジニアが英知を結集させて、壁を打破し、ソフトウェアに磨きをかけているのは周知の通りだ。その最先端の技術をミッションクリティカルな部分にも活用できるよう性能・機能を保証しているのがホートンワークスであり、ビッグデータ活用に取り組む企業が続々と出てくるのに従って、同社の存在感もまた日増しに大きくなっているのである。

オープンソースのプラットフォームが大きな可能性をもたらす

 廣川氏に続いてステージに立ったのは、ホートンワークスでチーフアーキテクトを担うSanjay Radia氏。高速分散処理による分析基盤として注目される「Apache Hadoop」の開発でも、プロジェクトマネジメント委員(PMC)として参加する人物だ。

ホートンワークスでチーフアーキテクトを担うSanjay Radia氏

 Radia氏は「IoTと機械学習によって、自動車の故障を検知し製造工程の改善に反映していくといった“これまではできなかったこと”が可能になってきました。テクノロジーが顧客価値やビジネス価値を新たに創り出す好例といっていいでしょう。私たちが使命としているのは、そこに欠かせない基盤を提供することです」と来場者に訴えかけた。

 同氏はビッグデータの分析にはデータレイクが欠かせないことを挙げ、データがサイロ化されることなく、静的データも動的データも包括的に管理されている必要があることを指摘。「データレイクは、多種多様なシステムがプラットフォームを介してつながることで実現されます。ベンダーが開発した特定のソリューションに依存せず、常に中立的なポジションで取り組むことが有利にはたらきます。だからこそオープンソースが最適なのです」(Radia氏)。

 自身の講演の締めくくりとして「新しいHadoopのパフォーマンスは、現在必要とされる範囲を大きく超えています。それだけのイノベーションが、オープンソースコミュニティから生まれている」とし、「オープンなプラットフォームを軸にパートナーシップが広がれば、特定のベンダーにロックインされることもなくなる」とユーザーにとってのメリットを強調した。

ビッグデータ分析には、セキュリティの見直しも欠かせない

 次に、ホートンワークスでセキュリティアーキテクトとして活躍するDave Russell氏が進行のバトンを受け、ビッグデータに対応したサイバーセキュリティプラットフォームについて解説した。

ホートンワークスでセキュリティアーキテクトを担うDave Russell氏

 Russell氏は、「爆発的にデータが増加していくなかで、日々大量に発生するアラート一つひとつをつぶさに確認することは非現実的。フィルタリングをしてもなお管理者に何万件というアラートが送り付けらる状況下、データの安全性まで確認しようとすれば、データ分析のリアルタイム性が失われてしまいます。これこそが、データレイク構築上の大きなネックとなっていたのです」と問題点を整理した。

 これに対峙するものとして紹介したのが、Apacheプロジェクトから生まれたデータ分析をサポートするフレームワーク「Apache Metron」だ。「ルーターやDHCPなどのデータを取り込み、95%もの精度でセキュリティ脅威を分析できます。管理者は、“怪しいところ”をリアルタイムに見つけ出せるようになるでしょう。しかもその分析性能は、機械学習によって常に進化し続けます」とRussell氏は語り、実際にApache Metronが活用されている実例を具体的に示した。

国内大手で進むオープンなデータプラットフォームの活用

 基調講演の後半は、国内の先駆的なユーザー事例にスポットが当てられた。いずれもホートンワークスのデータプラットフォームを採用した取り組みで、各社の代表者がそれまで抱えていた改題や解決のアプローチ、今後の展望などを語った。スペースの関係で、かいつまんだ内容になるが、以下に紹介しよう。

 最初に登場したのが、三菱ふそうトラック・バスでCIOを務めるLutz Beck氏。「5年後か10年後には、車も簡単に乗り換えられるただのデバイスになります。そこで重要なのはサービスです。私たちは、世界を走るトラックから走行データや車のコンディションなど膨大な情報を収集しています。それらから、自動運転をはじめとする大きな価値のあるサービスを創り出そうとしています」と言及。デジタル変革は“竜巻のような出来事”と同氏が例えるように、自動車産業は今後激動するであろう業界の代表格だ。それだけに、同社の先を見据えた取り組みには来場者が熱い視線を送った。

 住宅設備で国内有数の事業規模を誇るLIXIL。情報システム本部の部長の菖蒲真希氏が壇上に上がり、同社が力を注ぐ情報分析基盤について、その背景や狙いを解説した。「当社は、5社を統合して誕生した企業です。そのため、重要な情報が社内のあちこちに散在し、その処理も属人的になっていました。この状況を一掃し、意思決定の最適化、ひいては統合のシナジーを最大化するには新たな基盤が必要でした。目下、HadoopやHANAなどで独自のシステムを実装しています」とのこと。グローバルな業績レポートや顧客情報の一元化、営業の活動分析などを高度化する計画である。

 リクルートテクノロジーズは、グループ各社の多様なサービスの価値にさらに磨きをかけるべくビッグデータ解析やAI技術を熱心に応用していることで知られている。ビッグデータ部のユニットリーダーを担う添田健輔氏は、「利便性の高いサービスを通じて、ユーザーとクライアント企業をいかに密接につなげられるかがリクルートグループの成長のカギを握ります。その活動を支えているのが、サーバー200台、月間1億を超えるクエリーを処理できるグループ横断型のデータ基盤。広告やメルマガの最適化、UIのパーソナライズなどに大きな効果をあげています」と紹介した。

 ユーザーによる講演の最後に、ビデオ講演という形でスクリーン上に登場したのが日産自動車でグローバルIT本部本部長を務める木附敏氏だ。「過去に蓄積してきた走行情報などのデータは、電気自動車などの開発にも大いに役立つものでした。ただ、長い歴史がある分、情報のサイロ化も進んでいたのです。こうしたデータを長期に保管すると共に、必要に応じて柔軟で分析できるインフラを検討しており、まさにニーズにマッチしたのがHadoopでした。すでに実業務への適用も始まっています。これからグローバルでデータを活用するための基盤となっていくでしょう」と語った。

リクルートテクノロジーズの添田健輔氏(右)と廣川社長

 ゲストスピーカーの一連の話を聞いて熱気を帯びた会場のステージに廣川社長が再び戻り、「データプラットフォームのイノベーションはまだまだ止まりません。活用している企業も次々と増えています。私たちはこうしたデータ駆動型ビジネスを実現する基盤を提供していきます」と訴求。ビッグデータ活用がどの企業にとっても最重要なテーマであること、アクションを起こす企業を手厚く支援していくことを、あらためて強調しセッションを締めくくった。

 なおホートンワークスは、同社が提唱する「Connected Data Platforms」の具体的内容の解説や、先駆的ユーザー5社の活用事例を取りまとめた資料を用意している。特に各社2ページ単位にまとめられたユーザー事例は読み応えがあり、この中には本記事にも登場した三菱ふそうトラック・バス、LIXIL、リクルートテクノロジーズも含まれいてる。これから、ビッグデータの活用に向けて本格的な検討を始める企業にとってヒントが満載なので、是非、手にとって読み込んでほしい。


 

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