[市場動向]

オープンデータ活用のための「東京大学情報学環オープンデータセンター」が開設

2018年1月23日(火)杉田 悟(IT Leaders編集部)

東京大学は2018年1月17日、情報学環附属ユビキタス情報社会基盤研究センター内に、政府が推進するオープンデータの活用を推進する「東京大学情報学環オープンデータセンター」を設立した。オープンデータの専門組織は、日本の大学では初となる。

 オープンデータは、政府や自治体、企業などが保有する公共性の高いデータをWeb上に公開し、だれでも2次利用できるようにすることで、新しいビジネスの創造を推進する取り組み。世界各国の政府も、オープンガバメントの一環で取り組んでいる。

 新たに創設されたオープンデータセンターは、前ユビキタス情報社会基盤センター長の坂村健(現東大名誉教授・東洋大学情報連携学部学部長)氏が理事長を務めるオープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構(VLED)と連携し、オープンデータに関する研究、オープンデータ・プラットフォームの開発、オープンデータ人材の育成を行っていく。

 VLEDには、東大、慶應義塾大学、東洋大学、オブザーバーとして内閣官房、総務省、経済産業省、国土交通省などが参加しているほか、富士通、電通、KDDI、日本マイクロソフト、日立、日本IBM、NTT、NEC、三菱総合研究所といった企業からも理事に名を連ねており、オープンデータセンターでも産官学での取り組みが期待される。

 具体的な取り組みとしては、オープンデータに関する教育研究では、IoTやブロックチェーン、P2Pなど、オープンデータに関する最先端技術の研究、オープンデータの分析や可視化、オープンデータライセンスに関する研究、オープンデータを扱う技術スキルセットの検討など。

 オープンデータ・プラットフォームの研究開発では、プラットフォームに関する研究や試験環境の提供、自治体におけるオープンデータ立ち上げ支援など。人材育成は、ハンズオン実習、MOOCs(無料オンライン講座)の提供、アイデアソンやハッカソンの企画・運営など。

写真1:東大大学院情報学環長の佐倉統氏

 開所式当日には、東大大学院情報学環長の佐倉統氏(写真1)が主催者挨拶に立ち「これまでになくデータが重要視される時代には、文系的素養を持った技術者の育成が求められている。様々な学問をつなぐ組織である情報学環として、オープンデータセンターの設立に伴い、データを技術的に扱うだけでなく、データに意味を持たせられる人材の育成に貢献していきたい」と語った。

写真2:東大情報学環オープンデータセンター長の越塚登氏

 センター長には、東大大学院情報学環教授でユビキタス情報社会基盤センター長を務める越塚登氏(写真2)が就任した。同氏は、「オープンデータセンターは、様々な組織との連携の上に成り立つもので、産官学の組織であるVLEDと密に連携して人材教育を進めていく」としている。すでに開所をまたずして、オープンデータを提供する立場である自治体の担当者向けの研修を開始しているという。

 また越塚氏は、オープンデータは使っている企業ほど使っていることを公表したがらないため、利用事例が絶対的に不足していることを指摘、是正を求めた。また、情報学環の経済の専門家がオープンデータがどれだけマクロ経済を押しあげるかを計測したことを明らかにした。その結果、1586から7010億円のGDP押し上げ効果が期待できるとしている。

 政府のオープンデータ推進策に則り、すでにオープンデータ公開に踏み切っている自治体は2017年12月時点で都道府県・市町村を合わせて331団体。国内の自治体数は1788団体あるので、18.5%という割合になる。政府は、東京オリンピック・パラッリンピックの2020年までに100%公開を目標としており、その道のりは遠いといえる。

表1:オープンデータに取り組む地方公共団体数の推移(出典:内閣官房IT総合戦略室調をオープンデータセンターがまとめたものを参照)
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 オープンデータセンターとしては、自治体に対してオープンデータの意義やオープンデータ化の方法などの講習などを行い、公開団体増加に積極的に関与していきたい考えだ。

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オープンデータ活用のための「東京大学情報学環オープンデータセンター」が開設東京大学は2018年1月17日、情報学環附属ユビキタス情報社会基盤研究センター内に、政府が推進するオープンデータの活用を推進する「東京大学情報学環オープンデータセンター」を設立した。オープンデータの専門組織は、日本の大学では初となる。

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