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富士通、流通業界に特化したIoTプラットフォーム「SMAIVIA」をリリース

2018年2月23日(金)五味 明子(ITジャーナリスト/IT Leaders編集委員)

富士通は2018年2月20日、流通業界での活用に特化したIoTプラットフォーム「FUJITSU IoT Solution SMAVIA」を発表した。同社のデジタルビジネスプラットフォーム「MetaArc」上で稼働する業種業務に特化したインダストリープラットフォームの一つで、すでに提供されている金融向けの「Finplex」、製造業向けの「COLMINA」に続く第3のインダストリープラットフォームに位置づけられる。

 富士通は2018年2月20日、流通業界での活用に特化したIoTプラットフォーム「FUJITSU IoT Solution SMAVIA(以下、SMAVIA)」の販売開始を発表した。基幹システムなどに蓄積されている業務データと、物流倉庫や作業員の生体状況など現場で収集したセンサーデータをクラウド上で統合し、販売や在庫の状況、物流コスト、作業効率などを分析、人手不足や売上の最大化といった多様化する流通業界の課題を解決することを目指す。

流通業界特有の課題と多様化するニーズにAIやIoTのパワーでもって支援することが「SMAVIA」の狙い
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富士通 流通ビジネス本部 流通ビジネス推進室長 松本良浩氏

 富士通 流通ビジネス本部 流通ビジネス推進室長 松本良浩氏は「SMAVIAは我々から流通業界に向けた課題解決のアプローチ。今まで取ることができなかったセンサーデータなどが取れるようになり、それらをビジネスの価値に変えていくことで、流通業界のデジタル革新を支援していきたい」と語る。

 SMAVIAは富士通が提供するデジタルビジネスプラットフォーム「MetaArc」上で稼働する業種業務に特化したインダストリープラットフォームの一つで、すでに提供されている金融向けの「Finplex」、製造業向けの「COLMINA」に続く第3のインダストリープラットフォームとして位置づけられる。なお、MetaArcは基盤となるクラウドプラットフォームに富士通が開発する「K5」を採用しており、SMAVIAも同様にK5上でデータ収集/分析を行う。分析には作業員動線解析や最適ルート解析など流通業界に特化したAPIが多数用意されており、これらのAPIと富士通が開発するAI技術を体系化したAIエンジン「Zinrai」を組み合わせ、サプライチェーンの横断的なデータ利活用を推進する。

SMAVIAは富士通が提供するインダストリープラットフォームの第3弾。いずれもK5をベースにしたデジタルプラットフォーム「MetaArc」上で展開される
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SMAVIAの全体像。データ収集から分析までを行う「SMAVIAプラットフォーム」と、その上で動く3種類のデータ活用サービスが用意される。将来的にはさらにニーズを特化したSaaSオファリングを拡充する考えもあるとのこと
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 今回、富士通はデータ収集から分析までを行う「SMAVIAプラットフォーム」(月額55万円から)のほかに、SMAVIAプラットフォームをベースに特定のニーズに対応するデータ利活用サービスとして以下の3種類を提供する。

  • SMAVIA倉庫作業員パフォーマンス … 倉庫管理データと、作業員の位置や動線といったセンシングデータを組み合わせて可視化/分析し、業務効率の改善を図る。作業員1人あたり月額3000円
  • SMAVIA店舗在庫探索アシスト … RFIDを活用して店舗の在庫を店頭とバックヤードごとに管理/閲覧することで、過剰在庫や販売機会のロスを防ぐ。個別見積もり
  • SMAVIA質問回答アシスト … 店員がスマートフォンに搭載されたAIチャットボットとテキストベースでやり取りし、店頭での顧客からの質問にスムースに回答することを支援する。個別見積もり

 なお、顧客の既存のシステム(ERPやHadoopなどのデータ基盤)とSMAVIAをSIにより連携させることも可能となっている。

 SMAVIAの最大の特徴は、生産拠点、物流倉庫、輸配送、販売店舗といった複数の流通拠点で発生する「現場センシングデータ」と「業務システムデータ」を一つの基盤上に集約/統合できるという点だ。たとえば物流倉庫には作業動線や現場環境の状況を示す現場センシングデータがリアルタイムに発生する一方、業務システムデータとして倉庫管理データが日々蓄積される。輸配送の現場であれば配送トラックの移動所在やドライバーの生体状況などがリアルタイムデータとして収集され、それらを管理する輸配送管理データが業務システムデータとなる。このように複数の拠点で発生する、タイプの異なるデータを一括して集約することで、リアルタイム分析やインサイト発見などを迅速に実現できるようになる。

富士通 イノベーティブIoT事業本部 リテール&ロジスティクス事業部長 後藤博之氏

 「これまでの流通向けソリューションでは、現場をまたがったデータをつなげることが難しかった。現在、流通業界は深刻な人手不足に悩まされており、IoTで業務を効率化させることは必須だが、本質的な改善を図るには現場のデータだけでは無理がある。倉庫管理や湯配送を最適化するには業務システムデータと結びつけることが必要で、それを複数の現場にまたがって実現したプラットフォームがSMAVIA。搭載されているアルゴリズムも、富士通がこれまで蓄積してきた流通業界特有のノウハウが詰め込まれており、粒度やリアルタイム性が異なるデータであっても適切に分析できる点も強み」(富士通 イノベーティブIoT事業本部 リテール&ロジスティクス事業部長 後藤博之氏)とする。

 富士通は製品やサービスを顧客に提供する前に自社内で実践/活用し、その効果を公開することが多いが、今回も同社の倉庫内ピッキング作業におけるSMAVIAによる改善例を示している。倉庫の現場データと業務システムデータをSMAVIA上で統合し、可視化したことで特定の作業員の移動距離や時間が大きく異なる事象を発見、その原因としてピック作業に必要なトレイを置き場所まで毎回取りに行くという無駄があることを確認し、対策としてトレイを取るタイミングに関して模範作業員の手法を全作業員に適用したところ、35人の作業員全員の平均で、対策前より14分/日の改善が見られたという。これは1カ月で換算すると160時間分の削減効果が得られたことになる。

富士通社内でのSMAVIA活用事例。倉庫作業員のピック作業時間を大幅に削減し、業務効率改善を実現している
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 「(IoTやAIが)ようやくバズワードではなく、現実的なソリューションとして人々に受け入れられてきていると感じる。この機運を逃さずに、顧客とともに日本の流通業界を変えていきたい」(松本氏)──。日本の産業全体が人手不足と向き合っている現在、流通業界も同様にその影響は深刻であり、サプライチェーンにかかわるすべての企業がIoTやAIによる業務効率化の必要性に迫られていると言っても過言ではない。そうした社会的ニーズに応えるためのソリューションとして、SMAVIAのような業界特化型のIoTプラットフォームが登場したことは、日本のIoTビジネスが次のフェーズに入ったことを物語っているといえるだろう。

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