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Pivotal Cloud Foundryがコンテナサービス統合を含む大型アップデート、アプリケーション開発は"Kubernetesファースト"な時代に

2018年3月9日(金)五味 明子(ITジャーナリスト/IT Leaders編集委員)

Pivotalジャパンは2018年3月8日、同社が提供するアプリケーションプラットフォーム「Pivotal Cloud Foundry」のポートフォリオを再編し、「2.0」へとアップデートした。Kubernetesのサポートを強化したことで、クラウドネイティブなアプリケーション開発はもちろん、オンプレミスやレガシーなワークロードにも対応可能となったことに注目が集まる。

 Pivotalジャパンはアプリケーションプラットフォーム「Pivotal Cloud Foundry」のポートフォリオを再編、従来まで提供してきたPaaS機能を「Pivotal Appliation Service(PAS)」にリブランディングし、加えて商用Kubernetesサービス「Pivotal Container Service(PKS)」と、2018年中にリリース予定のサーバレスプラットフォーム「Pivotal Function Service(PFS)」を統合したプラットフォーム「Pivotal Cloud Foundry 2.0」へとアップデートした。

Pivotalジャパン カントリーマネージャ 正井拓己氏

 Pivotalジャパン カントリーマネージャ 正井拓己氏は「Pivotal Cloud Foundry 2.0は、これまでで最大のアップデート。日本にオフィスを構えてから今年で5周年を迎え、その間、開発生産性の劇的な向上に注目する多くの企業に導入していただいた。中でもエンタープライズでの伸びは大きく、全社規模のアプリケーション開発基盤として使っている企業も多い。今回のアップデートではKubernetesサポートを強化したことで、クラウドネイティブなアプリケーション開発はもちろん、オンプレミスやレガシーなワークロードにも対応可能となり、より統合的なDevOpsを実現する」と語り、急速に普及が進むKubernetesがDevOps界隈に大きな影響を与えていることをあらためて印象づけている。

ポートフォリオを再編した「Pivotal Cloud Foundry 2.0」では単なるPaaSから拡張し、コンテナ運用までを広く視野に入れたアプリケーション統合環境に
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 PaaS(Platform as a Service)として提供してきたPivotal Cloud Foundryを、CaaS(Container as a Service)、FaaS(Function as a Service)も含めた統合プラットフォームへと大幅なポートフォリオ変更を行った背景には、前述したようにKubernetesがコンテナオーケストレーションのデファクトスタンダードとなり、アプリケーション開発/運用の現場で急速に普及しつつあることが挙げられる。PivotalとVMwareは2017年8月の「VMworld 2017」において、Googleとともに開発を行ってきた商用KubernetesサービスとしてPKSをリリースし、業界に大きな反響を呼んだが、今回のアップデートでは"Kubernetes指向"をさらに進め、PKSをPivotal Cloud Foudryを構成する主要パッケージに位置づけている。

 また、クラウドネイティブなアプリケーション開発だけでなく、エンタープライズからのニーズが大きいレガシーなワークロードをカバーしやすいこともPKSを統合した理由の一つだ。クラウドシフトが進んでいるとはいえ、エンタープライズではいまだに多くのアプリケーションがオンプレミスで動いている。Kubernetesはクラウドとオンプレミスが混在した環境においてもハイブリッドな運用が容易であるため、既存の資産のマイグレーションもしやすい。エンタープライズビジネスを強化しているPivotalがKubernetesへとシフトするのは当然だといえるだろう。

「開発者に選択肢を提供する」設計思想を貫きつつ
ポートフォリオを再編

Pivotalジャパン リードプラットフォームアーキテクト 市村友寛氏

 ここであらためてPivotal Cloud Foundry 2.0の全体像を見ていこう。説明を行ったPivotalジャパン リードプラットフォームアーキテクト 市村友寛氏は「2.0はこれまでにない大きなアップデートではあるが、Pivotal Cloud Foudnryの設計思想そのものは変わっていない」と強調する。その設計思想とは「開発者に選択肢を提供する」(市村氏)ことで、多様なアプリケーションが動くだけでなく、アプリケーションを支えるさまざまなサービス - たとえばデータベースサービスやマシンラーニングサービスなど - をニーズに応じて柔軟に提供できるようにすることも含まれている。また「幅広いインフラの選択肢」(市村氏)もPivotal Cloud Foundryの重要な設計思想であり、AWS、Azure、Google Cloudといったメジャーなクラウドプロバイダはもちろん、VMware(vSphere)やOpenStack、ベアメタルサービスなど、オンプレミス/クラウドを問わない環境をサポートする。

 こうした設計思想の下で、ポートフォリオを再編したPivotal Cloud Foundryは、大きく以下の3つのパッケージから構成される。

  • Pivotal Application Service(PAS) … これまでPivotal Cloud Foundryとして提供してきたアプリケーション実行環境をPASとしてリブランディング。アプリケーションセントリックなクラウドネイティブプラットフォームを提供。新機能としてWindows Server 2016コンテナのサポート、Azure Stackのサポート、性能監視のための運用管理社向けダッシュボード「Healthwatch」、VMware NSX-Tとの統合、Spring Tool Suite 3.9.2やVisual Studio Code/GitHubのAtom向けプラグインの追加など。
  • Pivotal Container Service(PKS) … Kubernetesを中核にしたコンテナオーケストレーションサービスで、パブリッククラウドからオンプレミスまであらゆる環境での安定したコンテナ運用が容易に。GKE(Google Container Engine)との適合性を維持し、最新のKubernetes(現時点は1.9.2)をつねに利用可能。PAS同様、NSX-Tを同梱し、セキュアなマルチテナントの維持やクラスタ分割も容易に行える。Cloud Foundryの中核技術「BOSH」をベースにしているので、多くのクラウドプロバイダに対応できるほか、Kubernetesの課題である煩雑な管理からユーザを解放し、Kubernetesクラスタの自動運用を実現。マシンラーニングなどGoogle Cloudの各種サービスとの連携も。
  • Pivotal Function Service(PFS) … 今回のアップデートには含まれておらず、2018年中のリリースを予定。オープンソースの「Project riff」をベースにした技術で、サーバレスを実現するイベント処理実行エンジンを提供。RabbitMQ、Kinesis、Kafkaなどメジャーなブローカーに対応し、それぞれの関数はKubernetes上で実行される。
PASとして生まれ変わったアプリケーション実行環境は徹底したクラウドネイティブ指向に。ストリーミングとバッチ処理の両方に対応したほか、データベースやメッセージングサービスとの連携も強化、最新のプログラミング環境のサポートも
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 このほか、サードパーティによるPivotalサービスを提供するマーケットプレイスとして「Pivotal Services Marketplace」が用意される。また、Pivotal Cloud Foundry共通のCI/CDツールとしてオープンソースの「Concource」が使われている。

Pivotal Cloud Foundry共通のCIツールとして、Cloud Foundryでも使われているオープンソースのConcourceを採用、開発者だけでなく運用担当者にも使われることを強く意識している
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 新しくなったPivotal Cloud Foundryでは、やはりPKSの存在感が非常に強い。デジタルトランスフォーメーションが加速し、多くの企業がクラウドネイティブなアプリケーション開発に取り組んでいるが、やはりエンタープライズはレガシーからの脱却がそう簡単にはできない。抽象度を高めて幅広いアプリケーションアーキテクチャをサポートし、レガシーアプリの実行基盤としても利用できるPKSは、レガシーワークロードとクラウドシフトの間で悩むエンタープライズにとって扱いやすい選択肢だといえる。

 また、PKSはCloud Foundryで長年培ってきたリソース管理/デプロイツールのBOSHの上でKubernetesを動かしている。したがってKuberenesクラスタのデプロイ、スケール、パッチ、アップグレードなどの作業が非常に容易になる点も大きな強みだ。オリジナルのKubernetesは可用性やスケーリングといった運用上の課題が多く、クラスタを分割後のケアやマルチテナンシーの維持で混乱が生じやすかったが、PKSはBOSHによってそうした悩みを解決する。運用の徹底的な自動化はDevOpsを推進するためにも欠かせない要素であり、PKSを統合したことでPivotal Cloud Foundryはその優位性をいちだんと高めたことになる。

Pivotal Cloud Foundry 20の目玉であるPKSの構成図。BOSHによる抽象化で幅広いアーキテクチャに対応、さらにKubernetesの課題である運用の自動化を容易にしている
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 「デジタルトランスフォーメーションを加速させていくためには、開発と運用のサイクルをいかに速く回せていくかが大きなカギになる。Pivotal Cloud Foundryで日本の企業のリーンスタートアップを支援していきたい」と正井氏は語っている。そしてデジタルトランスフォーメーションを本当に進めていくには、クラウドネイティブ一辺倒ではなく、レガシーワークロードにも目を向ける必要がある。Pivotalはそうした思想の下、Kubernetesへのフォーカスをより鮮明にしたかたちだ。クラウドファーストからKubernetesファーストへと、アプリケーション開発の世界は大きく変わろうとしているようだ。

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