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産学官連携によるAI活用を強力に推進中!
企業がビジネス拠点を札幌市に置くメリットとは?

新たな文化・ビジネスの共創に向け、地域全体で人材育成に取り組む

2018年3月22日(木)工藤 淳(フリーランスライター)

新たなビジネスの可能性を追求する人々の間で、今もっともホットなキーワードといえばAI(人工知能)だろう。そのAIの活用に現在、産学官連携で取り組みを進めているのが北海道 札幌市だ。現在の札幌におけるAIビジネスの特色や状況について、札幌AIラボ ラボ長/北海道大学教授の川村秀憲氏と、調和技研 代表取締役の中村拓哉氏、そして札幌市経済観光局 立地促進・ものづくり産業課長の水野栄二氏にそれぞれ伺った。

“AIビジネスの発信拠点“を目指して生まれた札幌AIラボ

札幌AIラボ ラボ長/北海道大学教授の川村秀憲氏札幌AIラボ ラボ長/北海道大学教授の川村秀憲氏

 札幌AIラボは2017年6月、産学官連携によるAI産業の活性化を目指し、北海道大学等の研究者や札幌市およびさっぽろ産業振興財団、そしてAIに関心を持つIT関連業界団体や企業によって設立された。もともと札幌には北海道大学を始めとする先端テクノロジー研究の蓄積と、全国有数の規模を誇るIT産業という2つの優れたリソースがあり、これらをもとに2016年8月、産学官連携による「札幌市IoTイノベーション推進コンソーシアム」が発足。本稿で紹介する札幌AIラボは、同コンソーシアムのAIに特化した専門部会として位置付けられた新しい組織だ。

 AIラボ設立の背景について、川村教授は「札幌は1980年代から、高い技術力を誇るIT関連産業の集積地として知られてきました。しかし大手企業の下請け・孫請けに組み込まれている企業が多いこともあり、ここからの脱却が大きなテーマとなっていました。その突破口として、昨今のAIの可能性の急速な拡がりに着目したのです」と明かす。

 AIのビジネス活用と一口に言うが、その実現は容易ではない。最先端かつ高度な技術力が必要な分野だけに未知数も多く、これを企業のプロジェクトとして採算ベースで行うことはまだまだ難しい。そこで研究開発は大学が担い、そこから生まれた成果のビジネス化は企業と自治体が連携して進めるという「産学官連携」の発想が生まれたという。

 「学術研究とものづくりを分担・連携することで、急速に進化するAIの最前線を捉え、その研究成果をビジネス化していく。時代のニーズに応える“本物のAI”を、札幌から発信し続ける土壌作りが可能になると考えています」(川村教授)。

研究者と企業そして地域を結ぶコミュニティの創出を目指す

札幌AIラボ ラボ長/北海道大学教授の川村秀憲氏

 札幌AIラボの重要な役割の一つに、「大学、自治体、企業を結ぶ地域コミュニティの創出」がある。分野や目標の異なる三者を結びつける場が継続的な組織として立ち上げられた結果、これまでにない新たなメリットがもたらされたと川村教授は評価する。

 「企業が自分たちのビジネスにAIを活用しようと考えても、最先端の分野だけに、どこの誰に相談すべきか行き詰まるケースも少なくない。それが、まずはラボに相談してみるという選択肢が生まれたのです」(川村教授)。

 大学にとっても、企業との交流チャネルが生まれるメリットは大きい。研究者が企業との連携に関心を持っても、個人ではなかなか機会を作り出せない。特に研究成果のマネタイズはハードルが高いが、ラボを仲立ちにすることで“ヒト=研究者”と“カネ=資金”とのスムーズなリンクが可能になったという。

 さらに東京など他の地域から新しいものを求めてくる人々との交流ポイントとして、将来的にラボがAIに関心を持つ人々の学際的、業際的なクロスポイントに育っていけば、最終的にはそれが札幌地域の活性化や産業創生の新しい風を吹き込むと川村教授は期待する。

 もう一つ、札幌AIラボが目指しているのが、新しい技術や知見を持った人材の育成だ。わが国の少子高齢化が進む中、働き手の確保が難しくなり、企業の生産性にも大きな影響をおよぼし始めている。中でも広大なエリアに都市が点在する北海道では、人手不足は深刻な問題だ。せっかく北海道には観光などの魅力ある地域資源が数多く存在するのに、肝心の人がいないのではどうしようもない。川村教授は限られた人材をAIを使って支援することで、こうした地域資源をアピールする新たな仕組み作りが可能だと考えている。

 さらに人材育成にあたっては、さまざまな国や地域に対応できる柔軟性を強く意識したいと付け加える。

 「AIによる情報活用は人間の作業を省力化・効率化するだけでなく、これまでになかった新しい付加価値を生み出します。たとえば世界でもっとも少子高齢化が進んでいる日本での課題解決にAIを活用し、それを今後少子化が進む外国に先端事例として発信できれば、大いに歓迎されるでしょう。そうした発想のできる人材を育てることも、札幌 AIラボの大切なミッションです」(川村教授)。

研究室での成果のソリューション化に加え、人材育成にも尽力

株式会社調和技研 代表取締役の中村拓哉氏株式会社調和技研 代表取締役の中村拓哉氏

 札幌AIラボを企業の側から支えているもう1人のキーマンが、株式会社調和技研 代表取締役の中村拓哉氏だ。同社はもともと川村教授が指導する調和系工学研究室で、「研究室での成果を社会実装しよう!」との意気込みで、北海道大学発の学内ベンチャーとして2009年にスタートした。最初に立ち上げた札幌の地域情報Webサイト「びもーる」は大きな人気を集め、ピーク時には月間約1万件のイベント情報が集まったという。

 「この情報サイトは、もともと地方の隠れた情報を関心のある人に推薦発信しお出かけを促進する事で地域を活性化したいという『興味解析エンジン』の研究がベースにありました。その後、学生達とSNSの炎上予測や会話エージェントの研究を手掛けたのが、本格的に AIに取り組むきっかけになりました。そのうち3~4年もするとあちこちの企業から問い合わせがくるようになったのです」と、中村氏は振り返る。同社の技術論文などを目にした企業から、「機械学習について知りたいので、いっしょに何かやりたい」といった要望が寄せられることが増え、2015年からはAI の研究受託も本格的に開始した。

 調和技研の従業員は12名。うち11名が技術者というエンジニア集団だ。「調和技研には、川村先生の調和系工学研究室の出身者が多いのですが、中には東京に就職した後、また札幌に戻りたくて帰ってきたスタッフや、大学院まで名古屋で過ごし大手メーカーに勤めた後、AIに関心を持って転職してきたスタッフなど、様々な人がいます」(中村氏)。

 設立当時はまだ世の中のAI のスキルセット自体が確立されておらず、AI技術者の育成にはかなり苦労したが、その蓄積のおかげで最近は、ある程度基本のある人なら短期間で一人前に育てられるようになったと中村氏は語る。現在は札幌市のITイノベーション人材育成事業を活用し最先端技術を学びたいと飛び込んで来た社員の教育に力を入れている。

 「セミナーを各地で開催しており、回を追って参加者が増えていることからも、AIを自分で手がけてみたい人の裾野が拡がっているのを実感します。私たちも、そうした方々と企業を結ぶインタフェースとして、これからも貢献できたらと願っています」(中村氏)。

IT人材が集積する札幌市、ビジネス創造へ向けた支援体制も充実

 札幌AIラボだけにとどまらず、札幌ではIT人材を育成する取り組みが産学官の連携によって以前から積極的に行われてきた。この背景には川村教授や中村氏が指摘する地域の課題解決の取り組みがあるが、一方ではもともとこうした「人材を育てる」風土があったことも大きいと、行政の視点から水野氏は説明する。

 「札幌では30年以上も前から、IT 産業を基幹産業に育てようという試みが、産学官のネットワークを通じて継続的に行われてきました。とりわけ北海道大学を始めとする教育機関が毎年多くの優秀な人材を輩出して、地元企業の活動基盤を支えていることが大きな支えになっています」(水野氏)。

 また札幌の学生は地元志向が強く、道外進学者にもUターン希望者が多いうえ、全国の都市の中でも札幌は「住んでみたい街」としてトップの人気を誇り、他の地域からのIターンも少なくないと水野氏は言う。

 この他、札幌では産学官連携ネットワークを基盤に、札幌を“共創の場”として盛り上げていこうという動きも活発だ。その代表例ともいえるビジネスイベント「No Maps」は、先端技術に関するコンテンツをメインに、人々の交流促進と新たなビジネス創出を目的として2016年から毎年開催されている。また2017年10月には、ブロックチェーン技術を金融市場以外の分野で活用する実証実験など、意欲的な取り組みが多数行われている。

No Maps「No Maps」は北海道および札幌を新たな文化・ビジネスの発信拠点とするための複合事業

 新たな文化・ビジネスの創造に「ALL SAPPORO 体制」で取り組む札幌は、ビジネスの地方進出・地方展開を考える企業にとって、最適なフィールドと言えよう。最近では世界最大級のコンサルティング企業であるアクセンチュアが、札幌にAIやIoTなど最先端のITサービスを提供できる体制を築く構想を発表。2020年までに200人体制を目指して準備を進めているという。

 AI人材の育成や、先端技術の社会実装に街を挙げて取り組む札幌市が、地方進出を検討する企業にとって有力な選択肢であることは間違いない。同市では、そうした札幌へ進出する企業を対象にした「企業立地に関する各種補助金」や、人材確保、企業間連携などの支援を積極的に行っている。関心のある企業は、ぜひ下のWebサイトで詳細を確かめてみてはどうだろう。

●SAPPORO企業進出総合ナビ「NEXT SAPPORO」 http://www2.city.sapporo.jp/invest/

SAPPORO企業進出総合ナビ「NEXT SAPPORO」
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