[新製品・サービス]

IoT活用にとどまらない、タイヤ監視システム「ミシュランTPMS」の創意工夫ポイント

2018年5月1日(火)田口 潤(IT Leaders編集部)

日本ミシュランタイヤは2018年4月26日、タイヤ内空気圧/温度モニタリングシステム「ミシュランTPMSクラウドサービス」を同年6月1日から提供開始すると発表した。長距離貨物用の大型トラックにおけるタイヤのパンクを察知/防止するのにIoTを活用している。新サービスの提供で、トラック運輸業界が抱える人手不足や労働環境改善に貢献し、自社製品の販売増を目指す。本稿では新サービスの特徴に加えて、同社の「X One」タイヤとの相乗効果についても紹介する。

IoTでタイヤの空気圧と温度を常時監視

 新サービスの名称は「ミシュランTPMS(Tire Pressure Monitoring System)クラウドサービス」で、仕組みはこうである。タイヤの空気圧と温度を10分に1回の頻度で計測し、モバイル回線経由でセンターに伝送。異常値と判断すると、ドライバーに警告すると同時にトラックの位置情報を含めて運輸会社の運行管理者やタイヤの販売店、ミシュランが運営する「レスキューネットワーク」にメールで通知する(図1画面1)。対処を迅速化できるため、トラックの運行が遅延するリスクを減らせる利点がある。

図1:ミシュランTPMSクラウドサービスの概要。タイヤの状態を常時モニタリングし、異常があれば複数に通知する(出典:日本ミシュランタイヤ)
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画面1:ミシュランTPMSクラウドサービスのタイヤモニタリング画面(出典:日本ミシュランタイヤ)
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 日本ミシュランタイヤによると、パンクの大半は少しずつ空気が減るスローパンクチャーであるという。早めに察知できれば、トラックドライバー修理工場まで自走するなどできるが、気づいた時には走行不可能であることも多い。

 ミシュランTPMSはこの問題を緩和できるほか、近年トラック運輸業界で増加傾向にある女性ドライバーや若手ドライバーなど、パンクへの対処やタイヤ交換に不慣れなドライバーの安心感を高め、働きやすくする効果もあるという。特に重いトラック用のタイヤを女性が扱うのはやっかいであり、また、慣れていてもドライバー自身がタイヤを交換するのは危険が伴うからだ。

 名称のとおり、このサービスはIoTとクラウド技術で構成されている。日本ミシュランタイヤは、トラックのタイヤ(実際にはホイール)に装着するセンサーデバイスを提供するオレンジ・ジャパン、通信回線を提供するソフトバンクと協業し、2年近くをかけて実用化にこぎ着けた。この間、愛知県や青森県の運送会社の協力を得て、例えば冬の積雪路できちんと異常値を検出できるかなどの実証試験を積み重ねている。

 タイヤではなくホイールにセンサーを装着するので、原理的にはタイヤのブランドやメーカーとは無関係にサービスを提供できるが、当面は日本ミシュランタイヤが販売する「X One」というトラック向けタイヤの装着車に限定して提供する。利用料金は、車載端末などのリース料が1台あたり月額9200円から(別途通信料が980円/月額)。安心料としてはそれなりの金額だが、同社は2018年度で300台分の契約を目指す計画だ。

 これだけなら、トラック業界に関係しない読者には単純なIoTの活用例としか思えないかもしれない。実際、筆者もそうだったが、しかし、日本ミシュランタイヤの説明を聞くと、「X One」というユニークなタイヤ製品とユニークな製品を採用しようとしない風土、それを乗り越えるためのITサービスという、デジタル化が進みにくい日本の状況に対処するヒントがあるとも感じた。どういうことか、もう少し詳しく説明しよう。

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