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グローバル企業のデータ保護対策に―クラウドストレージBoxの新サービス

2018年6月1日(金)杉田 悟(IT Leaders編集部)

GDPR(EU一般データ保護規制)が2018年5月25日に施行された。EU域内に限らず、各国のデータの取扱いに関する規制は厳しいものとなっており、グローバルにビジネスを展開する企業にとって「データをどこに置くか」は、重要なテーマとなっている。特にクラウドサービスは、GDPRをはじめとするデータ保護規制の対象とされやすく、注意が必要だ。クラウドストレージサービスを提供する米ボックス(Box)は、そのような世の中の動きに対応した新たなデータ保管サービス「Box Zones with Multizones」の国内提供を同年6月1日に開始した。

 Box(旧称:Box.net)は、DropboxやGoogle Drive、OneDriveなどと同様の、オンラインストレージサービス。米国では多くの大企業に採用され、日本でも着実にシェアを拡大している。個人ユーザーに多く利用されている他のサービスと異なりエンタープライズ向けに特化しているため、管理機能やセキュリティに優れている点が大企業の採用につながっているといわれている。

最大6カ所にデータを保存

 新サービスのBox Zones with Multizonesは、データの保存場所を世界7カ所に用意された地域から最大6カ所まで選択できるオンラインストレージサービス。同じユーザーエクスペリエンスを確保しつつ、複数の国にまたがって各所のルールに基づいた管理が行えるようになる。

 Boxが2018年3月に発表した「Box Zone」では、従来のクラウドストレージサービスでBOXの本社がある米国のサイトに保存していたデータを、海外で保存できるようになった。日本の場合、プライマリーを東京に、バックアップを大阪に置けるようになった。Box Zones with Multizonesでは更に一歩進めて、企業が海外展開で得たデータを、取得先に近いところで保存できるようになった。

写真1:Box Japan 執行役員 マーケティング部長 中村晃氏

 Box Japan執行役員の中村晃氏(写真1)によると、「地域によって、データのレジデンシー(置き場所)の要件、プライバシーの保護の要件が異なっている。Boxとしてはそれぞれの地域の要件に適合したサービスを提供する必要があったためスタートしたのがBox Zones」だという。

 Box Zonesでは、ユーザーはそれぞれの地域ごとに契約を結び、管理する必要があった。Box Zones with Multizonesでは1つの契約で複数のゾーンにまたがったデータの管理、保管やコラボレーションが可能になった。

図1:Box Zones with Multizonesの仕組み
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 まず、デフォルトとなるゾーンを指定し、デフォルトを含めた最大6カ所までコンテンツを保存するゾーンを選択する。各ゾーンには、プライマリーストレージとバックアップストレージが用意されている。

 選択できるのは、欧州が「英国(ロンドン)/ドイツ(フランクフルト)」と「ドイツ(フランクフルト)/アイルランド(ダブリン)」の2パターン、アジアは「日本(東京)/シンガポール」と「日本(東京)/日本(大阪)」の2パターン、カナダが「カナダ(モントリオール)/アイルランド(ダブリン)」と「カナダ(モントリオール)/カナダ(トロント)」の2パターン、豪州が「豪州(シドニー)/豪州(メルボルン)」の1パターンの計7つのゾーンからとなっている(図1)。

写真2:Box Japan パートナー&テクノロジーSE部 部長 石川学氏

 管理者は、特定のユーザーを適したゾーンに管理コンソールあるいはAPIで割り当てることができる。パートナー&テクノロジーSE部部長の石川学氏(写真2)によると、「少人数の場合は、管理コンソールからひとりひとり割り当てられるが、大人数の場合難しくなる。その場合はAPIを使う」のだという。例えば、欧州ブランチの名簿からメールアドレスを抽出して、その分だけ変更する、という処理を一括のプログラム処理でできるようになる。

 ユーザーが異動で国を移った場合、データが元の国に残っていたのでは、ガバナンス上問題がある。Box Zones with Multizonesでは、一度割り当てたゾーンを、管理者が管理コンソールを使って自由に変更することも可能となっている。ゾーンが変更されると、そのユーザーに紐づいたコンテンツも同じゾーンに変更され、現地の規制に準拠される。変更前のゾーンにはデータが残らない。

他国のユーザーともコラボレーション

 また、Boxが提供するユーザーエクスペリエンスのひとつとして、「コラボレーション」がある。Box Zones with Multizonesでは、各国をまたいだコラボレーションが可能となる。

 Boxには、ゾーンを割り当てられたユーザーが、そのゾーンでフォルダを作成すると、そのフォルダ単位でゾーンに保管されるというルールがある。例えば、日本のゾーンを割り当てられているユーザーがフォルダを作成すると、そのフォルダ内のデータはすべて日本のゾーンに保管される。

 日本のユーザーがカナダのユーザーを招待すると、カナダのユーザーは日本のユーザーのフォルダに書き込みができるようになる。カナダのユーザーが日本のユーザーのフォルダ内で処理を行った場合、そのデータは日本のゾーンに残る。データの保存先を明確にし、各国のコンプライアンスに対応したコラボレーションが可能になる(図2)。

図2:国を跨ったコラボレーション:日本支社のユーザー②がカナダ本社のユーザー①を招待、ユーザー①がユーザー②が作成したフォルダ②に書き込むと、そのデータはフォルダ②のある日本のゾーンに残る
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 個人レベルだと、手軽に使えるのがオンラインストレージの強みだが、エンタープライズ利用、しかも国を跨いだ利用となると、その手軽さが仇となりかねない。世界的にデータの取り締まりが厳しさを増す中、特に海外展開を行う企業においては、管理者がデータの保存先を確実にマネージすることが、重要なリスク対策となる。Boxがエンタープライズユーザーに支持される最大の要因はそこにあるといえる。

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