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日本テラデータ、刷新した分析プラットフォーム「Teradata Vantage」を提供、データ分析のサイロ化を解消

2018年11月7日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)

日本テラデータは2018年11月7日、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)に、機械学習やグラフデータベースなどのデータ分析エンジンを統合した新製品「Teradata Vantage」を発表、同日提供を開始した。これまで「Teradata Analytics Platform」と呼んでいたものであり、今回ブランド名を刷新した。

 米テラデータ(Teradata)はここ数年、大きく2つのアプローチをとってきた。1つは、製品のカバー範囲を、DWH(データウェアハウス)用途のデータベース管理システムから、データ分析のための基盤へと拡大したことである。これまでのSQLエンジンに加え、各種のデータ分析エンジンを統合してきた。

 もう1つのアプローチは、ソフトウェアとハードウェアを分離し、クラウドサービスや汎用サーバーでソフトウェアを利用できるようにしたことである。クラウドサービスの専任チームも組織しており、運用サービス付きのクラウドサービス「Teradata IntelliCloud」をAWS(Amazon Web Services)の東京リージョンで提供している。

 今回、国内で提供を開始したTeradata Vantageは、データ分析の需要が高まっていることに合わせて提供する新製品である。2017年11月に発表した「Teradata Analytics Platform」をリブランドした製品であり、DBMSの「Teradata Database」と、データ分析基盤の「Teradata Aster Analytics」の技術を統合している(関連記事「“製品”ではなく“解”に投資を」―新生テラデータがアナリティクスポートフォリオを刷新)。

図1:Teradata Vantageのソフトウェア構成とアーキテクチャ(出典:日本テラデータ)図1:Teradata Vantageのソフトウェア構成とアーキテクチャ(出典:日本テラデータ)
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 データ分析を支援するためには、コンサルティングサービスも必要になる。日本テラデータでは、コンサルティング部門「テラデータ・コンサルティング本部」を組織している。構想とアーキテクチャの策定、設計と実装、最適化と運用管理までを総合的に支援する。国内のコンサルティング要員は数百人で、社員の7割を超える。

データ分析環境のサイロ化を解消

写真1:日本テラデータ代表取締役社長の高橋倫二氏写真1:日本テラデータ代表取締役社長の高橋倫二氏
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 データ分析市場は20兆円規模にまで拡大しておりデータ分析の需要は高いが、ユーザーは満足にデータを分析できていないと、日本テラデータ代表取締役社長の高橋倫二氏は指摘する。アンケートでは、74%のユーザーにとってデータ分析の技術は複雑であり、79%のユーザーは必要なデータにたどり着けていないという。「データ分析は手段であって、答えを得ることが目的だ」(高橋氏)。

 ユーザー企業が抱えているデータ分析の課題は、データ分析環境がサイロ化していることである。データを統合することができても、データ分析環境の機能が足りていないため、データを統合したデータベースから一部のデータを切り出して分析している。このように、特定用途の分析環境を個別に構築してサイロ化している。

 データ分析環境がサイロ化する課題を解決するには、複数のデータ分析環境からアクセスできる形にデータを統合することと、複数のデータ分析環境を1つに統合して同じインタフェースで使えるようにすることが必要になる。Teradata Vantageは、これらを実現しているという。様々なデータに対して、ユーザーの好みの言語やデータ分析ツールを使ってアクセスできるという。

 高橋氏は、米Teradataのデータ分析基盤で成果を挙げた事例をいくつか紹介した。オーストラリアのQantas Airwaysは、年間1万9000回のフライトに要する燃料費を1.5%(53億円)削減した。米Verizon Wirelessは、顧客の解約率を下げ、1億5000万人の顧客のうち200万人(2000億円に相当)の解約を防いだ。ドイツのSiemensは、故障予知で稼働率を向上させた。

多様なデータに好みのツール/言語でアクセスできる環境を提供

 Teradata Vantageの初期リリースでは、SQLエンジン、機械学習エンジン、グラフエンジンの3つのエンジンを提供する。これらに対して、SQL言語、R言語、Python言語の3つの言語でアクセスできる。データストアは1つであり、分析エンジンから共通で利用できる。分析ツールとして、Teradata AppCenter、RStudio、Jupyterを利用できる。QueryGridと呼ぶ外部データソースにアクセスするゲートウェイ機能も備える。例えば、SQLで外部のHadoopにアクセスできる。

 「SQLエンジンにアクセスすると、内容に応じて適切な分析エンジンに処理を割り振ってくれる。ユーザーは、目的ごとに明示的に分析エンジンを使い分ける必要がない。分析エンジンごとにデータを切り出す必要もないので、データが重複しない」(日本テラデータのテラデータ・コンサルティング本部でソリューション・アーキテクトを務める大谷森介氏)。

 Teradata VantageをPoC(概念検証)で利用した事例に、米Verizon Wirelessがある。顧客を獲得できるかどうかを予測する用途に利用した。100万件のデータを学習して予測モデルを作成するのに要した時間は20分未満、2億件のデータを予測モデルでスコア化するのに要した時間は30分未満となった。これにより、予測モデルを毎日作り直すことが現実的になった。

 今後のロードマップとして、2019年3月に、Teradata VantageをAWSおよびAzureでクラウドサービスとして提供する。2019年9月には、機械学習ライブラリの選択肢を拡大し、TensorFlowのGPU版を利用できるようにする。将来像としては、データストレージとして、Teradata独自のファイルシステムのほかに、クラウド型のオブジェクトストレージ(Amazon S3、Azure Blob Storage)を使えるようにする。分析ツールも増やし、SAS Institute、Dataiku、KNIMEも使えるようにする。

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