[インタビュー]

理想像を追い求めていては、いつまでもデータ活用は進まない─Domo幹部

2018年11月12日(月)川上 潤司(IT Leaders編集部)

そもそもデータを組み合わせて分析することを想定していなかった個別の業務システムが社内に散在しているケースは珍しくない。上手く横串を刺して破綻なく活用できることが理想とはいえ、そう簡単なことではない。ここにどう切り込むか。データ活用基盤を提供する米Domo(ドーモ)のベン・シャイン(Ben Schein)氏(データキュリオシティ・イノベーションセンター担当バイスプレジデント)に話を伺った。

 私はかつて米国の量販店大手、ターゲット(Target Corporation)に身を置き、マーチャンダイジングなどの現場でデータを業務上の価値につなげようと色々な取り組みを推進してきました。ですから、企業におけるデータ活用の悩みとか、なかなか超えられない壁であるとか、そういったことを肌身で理解しているつもりです。現実解を探りながら少しずつ効果を上げてきた経験は、少なからず皆さんのお役に立てるのではないかと思います。

写真1:米Domo データキュリオシティ・イノベーションセンター担当バイスプレジデントのベン・シャイン氏

 IT部門の主導で構築するデータ活用基盤の機能や使い勝手と、事業部門のエンドユーザーサイドが望むそれとの間にギャップがあって、思惑どおりに事が進まないというのはよくある話。データを見る側の都合で、既存の定型レポートに新たな項目を追加してほしいというリクエストが上がることは珍しくありません。ここでIT部門が「それは当初に想定されていなかったことで複数のデータベースやミドルウェアに手を入れる必要があるので、少なくとも6カ月の期間と200万ドルの費用がかかります」と言ってくることが間々あります。で、どうなるかというと「じゃあ、いいです。自分達で表計算ソフトでどうにかしますから」となり、こんなやり取りが積み重なることで、両者に感情的なわだかまりが生じてしまうんですね。

 ターゲット時代にも、もどかしい思いをしたことがあります。まだ古いBIシステムを使っていた時、安定性を重視して負荷の高いクエリーを抑えようと、エンドユーザーによる検索に制約がかけられていました。SKU(Stock Keeping Unit:最小管理単位)で細かく分析する際には、対象期間を1つの部門あたり1週間にするといった措置です。もっとも、現場としてはアパレル全体で過去3年間の数字を見ないとはじまらない。各部門で150回レポート出して、担当者が10部門にあたってそれらをかき集め、表計算ソフトに入力し直して集計するなんてことをやっていました。

 もちろん、IT部門の立場もある程度は理解できます。月曜の朝イチなんかは特にクエリーが集中しますから、一定のレスポンスを保つには運用ルールを工夫しなければなりません。そのほかにもシステムの可用性やデータの信頼性/ガバナンスなど、彼ら彼女らの観点で目を光らせなければならないことが多々あります。常に全体を見据えて万全を期すIT部門と、自分達の目先のニーズしか眼中にないエンドユーザー部門との間には、どうしても考え方のズレが生じてしまうんです。

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