[市場動向]

ITでフードロスを減らせ─元料理長とWebディレクターが開発した「TABETE」

あらためてRubyのポテンシャルを知る─Ruby bizグランプリ2018より(1)

2019年3月19日(火)Ruby bizグランプリ実行委員会

日本発のオープンソースのプログラミング言語として知られる「Ruby」と、その開発フレームワーク「Ruby on Rails」。これらを使ったアプリケーションやサービスの開発が定着して久しいが、企業ITの世界では、その実態が意外にも知られていない。そこで、「Ruby bizグランプリ2018」で大賞に選ばれた2つのサービスを2回に分けて紹介する。今回は、フードロス(食品ロス)問題に焦点を当てた「TABETE」(開発:コークッキング)である。

 システムやサービスを迅速に開発・提供するのに、どんなプログラミング言語を用いるか。JavaやPython、PHPなど数多くある中で、日本発の「Ruby」の存在感は大きい。シンプルさと高い生産性を備えるオープンソースのプログラミング言語であり、海外でも高いシェアを持つ。生産性をさらに高められる「Ruby on Rails」というフレームワークもこの言語の魅力をさらに高めている。

 そんなRuby/Ruby on Railsの利用と普及をさらに促進するため、島根県(Rubyを世に出したまつもとゆきひろ氏の活動本拠である)が中心になってRuby bizグランプリ実行委員会を組織し、2015年から「Ruby bizグランプリ」を実施している。審査委員長はほかならぬ、まつもと氏自身が務める。

 名称のとおり、Rubyを使って開発されたビジネス用途のシステムやサービスを表彰する。Ruby bizグランプリ2018の結果発表が2018年12月に行われ、2つの大賞を含む10のサービス/企業が受賞した。ここでは大賞に選ばれた2つのサービスについて、2回にわたって紹介していく。今回は、フードロスという社会課題の改善に努める「TABETE」である。


Ruby bizグランプリ2018大賞
TABETE 
https://tabete.me/
開発概要:食品のフードロス問題を緩和させるアプリケーション
開発企業:株式会社コークッキング
Rubyを採用した理由:
・スタートアップに要求されるスピード感に満たす言語だった
・将来の増員がしやすい(技術者を見つけやすい、教育コストが低い)
・日本語による活用ノウハウが豊富にある

元料理人とWebディレクターの出会いがきっかけ

 まだ安全においしく食べられる状態の食品なのに廃棄してしまう「フードロス」。季節商品である恵方巻などの大量廃棄、発注ミスや直前のキャンセルなどによる大量在庫などは話題にもなり、よく知られるようになった。しかしフードロスはそれだけではない。正規の価格、正規のルートに載せられないものが色々あり、それらも日々、廃棄されているのである。

 もちろん製造工程で発生してしまう規格外の商品を、例えば「割れせんべい」や「割れチョコ」といった形で流通させる取り組みはある。しかし、飲食店で揚げた「リングにならなかったオニオンリング」など、一度に少量しか発生せず、しかも賞味期限の短いものはそうはいかない。そこで、コークッキング(東京都港区)がフードロスを減らすべく開発・提供したのが「TABETE」というサービスだ。

写真1:TABETEを開発したコークッキングの榊原徹哉氏(左)と樋浦瑞樹氏(右)

 コークッキングは、食をテーマにしたイベントやワークショップなどの事業を展開する、2015年12月設立のスタートアップベンチャー。CEOの川越一磨氏は元料理人であり、フードロスに問題意識を持っていたが、いわゆるIT企業ではなかった。それでも料理のワークショップを開催する中で、余った食品や食材という課題に再び直面したという。

 その川越氏と、前職でwebディレクターを務め、食品問題に問題意識を持つCOOの篠田沙織氏が、あるイベントで出会ったのが新事業のきっかけだった。2018年の初めに2人が中心になってTABETEをスタートさせた。

食品が余った店舗と消費者を結びフードロスを減らす

 TABETEとはどんな仕組みでフードロスを減らすのか。対象にするのは飲食店や食品販売店におけるフードロスである。

 店舗側では、閉店時間やランチタイムの終わり、商品の入れ替え時間、閉店時間が近づくと、余った食品が明確になる。それをTABETEに登録すると、情報を見た側(主に個人)が食品をネット上で購入し、期限までに店頭に取りに行く。そのためWebサイト経由でアクセスすると駅名選択があり、スマホアプリなら位置情報から現在地から近い店舗が表示される。後は指定した引き取り時間にお店に向かい商品を受け取り、おいしく食べれば完了だ。

 これがTABETEの事業概要であり、廃棄される可能性のあった食品を割安で一般に提供する。安全においしく食べられるのに、捨てられる運命にある食品を廃棄から救うという意味で、同社はこの取引を「レスキュー」と呼んでいる。レスキューするには、Webまたはスマートフォンアプリから商品を選び、指定された時間内で引き取り時間を指定し、決済を行う。

画面1:TABETEのトップページ(https://tabete.me/)
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 実際に出品された商品を見ると、パンや自然食からステーキ肉までさまざまだ(画面1)。少量だが一定量以上作ったほうが美味しく出来上がるもの、設備の事情などにより一度に作れる個数が決まっているため余りが出てしまうもの、何らかの事情で売れ残ったものなど、通常売られているものと同質のものを、買い手は割安で購入できる。売り手としてもフードロスを防げるし、売上げの補填にもなる。

●Next:Ruby on Railsをどう活用したのか

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