[インタビュー]

「安さでパブリックククラウドを選んではいけない」改めて考える価値と戦略のポイント

米ガートナーのディステングイッシュトアナリスト、トーマス・ビットマン氏に聞く

2019年5月15日(水)田口 潤(IT Leaders編集部)

次世代ITインフラと言えばクラウドが常識になった。いわゆるクラウドファーストである。安さはもちろん、機能の先進性や充実も大きい。だが、クラウド一辺倒は本当に正しい選択なのか、つまりAWSやMicrosoft Azureなどの主要パブリッククラウド頼みでよいのか? 米ガートナー(Gartner)でこの領域を追うトーマス・ビットマン(Thomas Bittman)氏に聞いた。

クラウドファースト花盛りだが…

 レガシーモダナイゼーションであれ、新規システム(サービス)構築であれ、何らかのシステムを構築するに際して、クラウドファーストのアプローチをとる企業が増えている。商社や一部の製造業、金融では三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)がそうだ。

 ここでクラウドファーストとは、オンプレミスに置くべき特段の理由がないかぎり、新旧のシステムをパブリッククラウドに移行させることを指す。例えばMUFGの場合、どうしても移行できないシステムを除き、パブリッククラウドのAWSにシフトする方針を打ち出している(関連リンクMUFGにおけるクラウドへの取組み)。

 となると気になるのが、プライベートクラウドあるいはハイブリッドクラウドの今後の動向だ。2017年12月、市場調査会社のMM総研は2021年のパブリッククラウド市場は1兆556億円、プライベートクラウド市場は2.5倍の2兆5147億円とする予測を発表している(図1)。別の市場調査会社であるIDC Japanは、2022年にそれぞれ1兆4655億円、2兆851億円。差は縮まるが、「プライベートクラウド>パブリッククラウド」という予測は変わらない。

図1: 国内クラウドサービス市場規模(MM総研による、2017年12月)
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 パブリックとプライベート、どちらが本当のクラウドの姿なのか? 言い換えれば、企業はプライベートクラウドに投資するべきか、それともパブリッククラウドに向かうべきなのか?──そんな疑問がある中、米ガートナー(Gartner)のディステングイッシュトバイスプレジデント /アナリストでITインフラ領域を専門にしているトーマス・ビットマン(Thomas Bittman)氏)にインタビューする機会があった(写真1)。同氏は「プライベートクラウドは(一時の期待に比べて)縮小傾向にある。しかしパブリッククラウド一辺倒になるのは正しくない」という。以下、一問一答形式でレポートする。

写真1:米ガートナーのディステングイッシュトバイスプレジデント/アナリスト、トーマス・ビットマン氏

プライベートクラウドへの投資は減速傾向に

――日本でも、ここへ来てクラウドへのシフトが加速しつつあります。話題になるのはパブリッククラウドであり、プライベートクラウドはそうでもありません。欧米も含めたグローバルな動きをどう見ていますか。

 率直に私の見解を述べさせていただくと、プライベートクラウドは縮小傾向にあります。理由はいくつかあり、第1は、非常に難しいということ。企業が自ら構築するには技術的に難度が高く、初期投資も大きくなりがちです。第2に、クラウドに関連する技術のイノベーションが進む中で追随しなければならないことです。構築した後の技術的なサービス能力をキープアップするのは大変です。

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