[市場動向]

実証実験に必要なすべてが揃うプラットフォーム「イノベーションフィールド柏の葉」

学究資源豊富な柏の葉地区に専門家・パートナーが集結

2019年5月16日(木)杉田 悟(IT Leaders編集部)

デジタル社会の実現に向けて現在、先進テクノロジーの活用と効果を図る数多くの実証実験が行われている。政府や自治体が主導するもの、民間企業によるものなどさまざまなスキームの実証実験が存在するが、千葉県柏市の柏の葉(かしわのは)には、実証実験に必要な技術パートナーや実証フィールドなどがあらかじめ用意された「イノベーションフィールド柏の葉」というプラットフォームがある。同所で2017年からIoTの実証実験を行う三井共同建設コンサルタントの弘中真央氏と、プラットフォームを提供する柏の葉アーバンデザインセンターの後藤良子氏に取り組みの詳細を聞いた。

 千葉県の北西部に位置する柏市、その柏市の北西部にあるのが柏の葉(かしわのは)地区だ。東京・秋葉原と茨城県の学園都市つくば市をつなぐ、つくばエクスプレスの柏の葉キャンパス駅が最寄りとなる同地区は、もともとはゴルフ場だった広大な土地に東京大学柏キャンパス、千葉大学園芸学部、国立がん研究センター、産業技術総合研究所(産総研)柏センターなどが点在する学究の地だ。

図1:柏の葉の実証フィールドを構成する機関、施設(出典:柏の葉アーバンデザインセンター)
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 その柏の葉を舞台にIoT関連の実証実験に取り組んでいるのが、三井共同建設コンサルタント(MCC)だ。同社は、公共事業など大規模工事の計画・調査・設計などの上流工程を請け負う、三井グループの建設コンサルタント会社である。柏の葉では2018年から、スマートシティの観点からセンサー/ネットワークを活用したIoTの実証実験プロジェクトを行っている。

環境に合わせてクールスポットを創出

写真1:環境・温湿度センサーが設置された休憩所(上)と設置されたセンサー(下)

 実験は、ここのところ毎年話題となる記録的猛暑対策を住民サービスとして提供するというもの。柏の葉キャンパス駅周辺の歩道や休憩所、広場など数カ所に環境・温湿度センサーを設置し、温度や湿度のデータを、LPWA(Low Power Wide Area:省電力広域ネットワーク)技術のLoRaWANゲートウェイ/サーバーを介してクラウドに収集、リアルタイムに複数の場所の温度や湿度を分析して、熱中症対策につなげる。温度や湿度が一定の基準値を超えると、自動でミストが歩道や休憩所などで発動し、クールスポットを創出する、というものだ。

 MCC研究所 インフラシステム開発室の弘中真央氏(写真2は「MCCが多く手掛ける大規模な土木事業では、以前からセンシング技術を取り入れてきた。そのノウハウを活用した新規ビジネスとしてIoTを検討しており、本業にシナジーの高いスマートシティにIoT技術をもって参加したいと考えた。なかでもLoRaWANやSigfoxなど、IoT向けのLPWAに関心があり、まずはそのハッカソンに参加してみた」という。「LoRaWANがどういうものか、文書ではわかっていても体験したことがなかった」(同氏)からだ。

 2017年、弘中氏は柏の葉アーバンデザインセンター主催のIoTハッカソンに参加したことがきっかけで、MCCの親会社である三井不動産や柏市、東京大学、日本マイクロソフトなどが参加する「柏の葉IoTビジネス共創ラボ」を紹介された。IoTビジネス共創ラボは、日本マイクロソフトのクラウドプラットフォームであるMicrosoft Azureをベースに、IoTやビッグデータ関連の共同検証を行う全国的なコミュニティで、その柏の葉支部となるのが柏の葉IoTビジネス共創ラボだ。

 柏の葉アーバンデザインセンターが運営するイノベーションフィールド柏は、AI/IoTと、ライフサイエンス/メディカルの2分野にフォーカスして実証実験プロジェクトの受け入れを行っている実装プラットフォームで、IoT分野の実証プロジェクトを担っているのが、柏の葉IoTビジネス共創ラボということになる。

 2017年、ラボの参画企業の1社で、LoRaWAN関連ビジネスを展開するセンスウェイの協力で、柏の葉という街の一角を使ったスマートシティの知見を得るための実証実験プロジェクトを行うことになったという。プロジェクトメンバーには、柏の葉の街づくりに尽力してきた三井不動産も参画している。

●Next:IoTプラットフォームの詳細

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