[調査・レポート]

IT企業からユーザー企業へ「IT人材の流動化」が徐々に─IT人材白書2019

国内IT人材に新たな傾向が現れるも、人材獲得競争は全般により激化

2019年5月30日(木)杉田 悟(IT Leaders編集部)

IT企業からユーザー企業へのIT人材の流動化が、日本でも徐々にではあるが高まっている──情報処理推進機構(IPA)が2019年5月10日に公開した「IT人材白書2019」からそんな傾向がうかがえる。IT企業やユーザー企業のIT部門への応募は減少傾向にあるものの、5年前の調査と比較してそのような兆しが見られるという。同年5月27日にIPAが開いた説明会の内容から、調査結果のハイライトを紹介する。

IT企業に偏った日本のIT人材

 デジタルトランスフォーメーション(DX)は、企業のビジネスモデルにメスを入れる改革であり、その推進にあたってはユーザー企業自身が主導することが望ましいとされている。いわゆるIT人材、もしくはその中のDX人材がその任にあたるわけだが、日本は世界的に見てIT人材がIT企業側に偏っているとされ、これが日本企業のDX推進を遅らせる遠因となっていると考えられる。

 今から2年前に刊行された「IT人材白書2017」では、IT企業とそれ以外の企業(ユーザー企業)に所属する情報処理・通信に携わる人材の割合の、日本を含む6カ国比較が掲載されている。日、米、英、独、仏は2015年、カナダは2014年の調査がベースとなっている。図1を見て明らかなように、日本はIT企業のIT人材の割合が72%に対しユーザー企業が28%で、他国に比べてIT企業の比率が飛び抜けて高い。

図1:IT企業とユーザー企業に所属する情報処理・通信に携わる人材の割合(出典:IPA「IT人材白書2017」)
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 ユーザー企業の割合が最も高い米国で、IT企業34.6%に対しユーザー企業65.4%。カナダ、英国、ドイツ、フランスでも軒並みユーザー企業の比率が5割を超えており、いかに日本のIT人材がIT企業に偏っているかがわかる数値となっている。

 IPAでは、この日本の偏った状況を受け「IT企業・ユーザー企業間でIT人材の流動性を高め、適材適所で能力を発揮できるようになることが必要だ」として、2019年5月10日に公開したIT人材白書2019では、第2部・第1章を「IT人材の流動性」に充てている。

 IT人材白書2019は、2018年10月1日から11月5日にかけて、IT企業、ユーザー企業各3000社を対象にWebアンケートを行い、それぞれ1206社、967社からの回答をまとめたもの。回収率はそれぞれ40.2%、32.2%となっている。

中途採用者の前勤務先はIT企業が6割

 人材の流動性を示す最も分かりやすい指標が、中途採用となるが、ユーザー企業に中途採用者の直前の勤務先を聞いたところ、IT企業が59.6%と最も多かった(図2)。2013年度に同様の調査を行った際は51.5%だったので、5年間で8.1%増えている。このことから、IT企業からユーザー企業へのIT人材の流動化は、徐々にではあるが進んでいることが推測される。

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