[調査・レポート]

IaaS/PaaS、プライベートクラウド、コンテナの世界利用動向から見えてくるもの─State of the Cloud Report 2019解説[後編]

RightScale State of the Cloud Report 2019 from Flexera

2019年6月18日(火)西浦 詳二(SoftwareONE Japan シニア・ダイレクター/FinOps Certified Practitioner)

米RightScaleの年次クラウドサービス調査レポート「State of the Cloud Report」は、世界各国の企業・組織におけるクラウドサービス/技術の利用動向をまとめた有用なレポートだ。前編・後編の2回にわたって、最新レポートである2019年版のポイントを、所見を加えながら解説している。後編となる本稿では、コンテナ技術、クラウド構成管理、パブリッククラウド、PaaSに関するポイントを取り上げる。

●前編はこちら「パブリック」優先で「マルチ」がクラウド活用の趨勢─State of the Cloud Report 2019解説[前編]

パブリッククラウドIaaSで、2強AWSとAzureの差が縮小

 今日では、パブリッククラウドのIaaS(Infrastructure as a Service)が企業・組織のITインフラの選択肢として必ず候補に挙がり、多くのユーザーに選ばれるようになっている。AWS(Amazon Web Services)がトップベンダーであり続けることで知られる分野だが、年次レポート「RightScale State of the Cloud Report 2019 from Flexera」の最新調査ではどうなっているのか。

 図1は、調査の回答者に利用中のパブリッククラウドについて尋ねた結果で、図2は2018年調査との比較だ。依然、AWSが高い比率を示しているが伸び悩みの傾向がある。一方、Microsoft Azureが前年に比べて伸びており、「AWSの背中が見えた」格好だ。

図1:パブリッククラウド(IaaS)の利用状況(出典:RightScale State of the Cloud Report 2019 from Flexera)
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図2:パブリッククラウド(IaaS)の利用状況・2018年比較(出典:RightScale State of the Cloud Report 2019 from Flexera)
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 ただし、この結果への評価には注意が必要だ。調査は「利用中か、利用する予定があるか」という尋ね方をしていて、その規模や用途などの詳細についての情報はない。例えば、1つのクラウドではプロダクションシステムを大規模に展開していて、別のクラウドでは小規模な1部門だけの非クリティカル用途で使われるといったケースでも、双方とも同じ「利用中」としてカウントされる。

 どんなワークロードをどのぐらいの規模で稼働させているかといった、利用中のパブリッククラウドに関する、より詳細で完全な調査は他でも行われており、この項目の結果については参考程度にとらえるほうがよいだろう。

迅速なアプリ開発ニーズの増大からPaaSの拡大が続く

 コンピュート、ストレージ、ネットワークのITインフラをクラウド化したIaaSに対し、その上のOS/プラットフォームレイヤをクラウドとして調達可能にするのがPaaS(Platform as a Service)だ。

 図3は、パブリッククラウドPaaSの利用状況を尋ねた結果だ。例えば、DBaaS (Database as a Service)のように市場に投入されてからかなりの時間が経ち成熟しつつあるサービスと、マシンラーニングやIoTのように、ここ数年で市場が立ち上がったサービスが混在しているにもかかわらず、すべてのサービスで2018年調査から例外なく増加している。

図3:パブリッククラウド(PaaS)の利用状況(出典:RightScale State of the Cloud Report 2019 from Flexera)
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 調査の結果に見るPaaSの伸長には、一般的な企業にも、IT企業のようなシステム/アプリケーションの迅速・頻繁な開発・デプロイが求められているという近年の傾向が反映されていることも推察される。今後は、新しいサービスの登場・成長や、カテゴリーでの競合(例えば、IaaSのワークロードのPaaSへの移行など)といった動向にも注目が必要になりそうだ。

 図4は、2019年調査で伸びの大きかったPaaSのカテゴリーを成長率順に並べたものだ。サーバーレスとストリーミング処理が同率1位、続いてマシンラーニング、CaaS(Container as a Service)、IoT、データウェアハウス、バッチ処理の順になっている。ストリーミング処理、マシンラーニングやIoTなどは用途上、導入する企業が限られる。一方で、サーバーレス、データウェアハウス、バッチ処理などの裾野は広いだろう。

図4:伸びの大きかったPaaSのカテゴリー(出典:RightScale State of the Cloud Report 2019 from Flexera)
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●Next:プライベートクラウドやコンテナ、構成管理の動向は?

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