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次世代教育コンテンツ/サービスの創造を支えるクラウド基盤の実像

Microsoft Azure活用事例:ベネッセコーポレーション

2019年7月25日(木)

「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」などの通信教育講座で知られるベネッセコーポレーションは、教育サービスのデジタル化と事業のスピードアップ、グローバル展開の拡大などを目指してIT基盤の刷新に乗り出した。自社データセンターで運用してきた約2,500の仮想サーバーを、推奨パブリッククラウドとして選定した「Microsoft Azure」へ段階的に移行するもので、2020年度までに既存の仮想サーバーの70%の移行を完了する計画だ。PaaSを積極的に活用した自動化のアプローチが利用部門のマインドセットを変えることにもつながり、グループ全体のデジタル変革を加速させている。

教育に関する商品やサービスのデジタル化を加速

 日本の教育産業は、少子化の流れを受けた構造的な市場縮小が避けられない状況にあるとの指摘がある。もっとも、経済産業省が2018年1月に発表した資料によると、ここ数年における民間教育産業の市場規模は毎年約2兆5,000億円前後で推移(注:資料中の出典は矢野経済研究所「教育産業⽩書2016年版」)。横ばいとはいえ、決して急速に落ち込んでいる状況にはない。

 背景には何があるのだろうか。例えば、現行のセンター試験に代わって2021年1月から導入される大学入学共通テストでは、民間の英語検定試験を活用した英語4技能(聞く/話す/読む/書く)の総合評価の導入が予定されている。また、小学校で2020年度より完全実施される次期学習指導要領では、英語教育やプログラミング教育が必修となる見込みだ。こうした「戦後最大」ともいわれる教育改革が、民間の新たな教育市場を生み出しているのだ。

 これを大きなビジネスチャンスと捉え、いち早く取り組みを開始したのが、「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」などの通信教育で知られるベネッセコーポレーションである。その戦略を端的に言い表せば、「教育に関する商品やサービスのさらなるデジタル化の推進」であり、企画部門と開発部門を一つの組織にしたスピーディーな市場展開などを併せて、事業特性に合わせた新しいビジネスの創出と確立に一層の力を注いでいる。

情報システム本部の本部長を務める大橋泰弘氏

 「2014年4月に進研ゼミに専用タブレットを導入するなど当社は学習のIT化を積極的に進めてきました。ここで重要となる視点は、従来の紙を中心とした教材をデジタル化するだけでは通用しないということです。英語4技能といった新たな入試制度や教育カリキュラムに対応するには、オンラインによる外国人講師のレッスン受講など、より高度かつ多様な形態でのIT活用が求められています」。こう語るのは情報システム本部の本部長を務める大橋泰弘氏だ。また、当然のことながら、それを支えるインフラの準備や整備に何カ月もかけていたのでは話にならない。「新しいサービスに必要なITリソースを素早く調達し、アプリケーションをタイムリーに展開していくスピード感こそが、競争力の源泉になるのです」と大橋氏は強調する。

 その文脈において、必然的に着目することとなったのがパブリッククラウドの活用だ。同社は2016年に社内の推奨パブリッククラウドとしてMicrosoft Azureを選定。現在、既存システムの移行を進めつつ適用領域を拡大している真っ最中だ。

短期的な機能比較ではなく長期的に見たサポートで評価

 Microsoft Azureを選定するに至った理由を読み解くにあたり、まずは同社がこれまで長年にわたりオンプレミスのデータセンターで運用してきたITインフラについて触れておこう。

 もともとIT活用に意欲的な同社は、サーバー仮想化への取り組みも早かった。2008年頃からVMware vSphereを導入してオンプレミスのITインフラを続々と仮想化し、ベネッセグループの各コーポレートに対してさまざまなITサービスを一元的に提供するプライベートクラウド環境を整備。ここで本番稼働している仮想サーバーの台数は、2016年時点で約2,500台にも達していた。これらの運用負荷をできるだけ軽減する必要が出てきたのが、そもそも同社がパブリッククラウドに注目することになった背景にある。

 情報システム部 クラウドインフラ課の課長を務める松本崇氏は、「仮想化によって必要なサーバーの調達や立ち上げはかなり素早いものとなりました。しかし、OSのパッチ当てなどのメンテナンス作業は従来と同様の手間がかかりますし、さらに近年の大きな負担となっていたのが、ホスト(物理サーバー)のEOL(ライフサイクル終了)対応なのです。2008年から仮想化に取り組んできた当社のデータセンター内では、リプレースせざるをえないホストが続々と出てきました。情報システム子会社のベネッセインフォシェルの協力も得ていますが、ざっくりいうとサーバーの対応に約70名、それに伴うネットワークの対応に約40名の体制をつくって業務を回していている状況です。こうした人海戦術の運用体制を合理化することが喫緊の課題として浮上してきたのです」と明かす。

 同社はパブリッククラウドへの移行の検討を本格的に開始することとなる。そこで懸念されたのが、先に述べた2,500台もの仮想サーバーの数である。これほどの規模ともなると、移行の完遂は一筋縄にいかないことが容易に予想された。2016年当時、リファレンスとなる事例も見当たらなかった。

 そこで同社は要件をRFPにまとめ、パブリッククラウドの主要なプロバイダーから提案を募ることにした。その内容を比較検討して、最終的にはMicrosoft Azureを選定する決断を下したのである。

情報システム部 クラウドインフラ課の課長を務める松本崇氏

 「最も重視したのがエンタープライズシステムとしてのサポート面です。もちろん、各社の技術的な違いも目には入りましたが安易な○×表で評価することの意味は薄いと考えていました。何しろ、パブリッククラウドの分野における技術革新のスピードには目を見張るものがあり、仮にその時点で差があったとしても3~6カ月もすると形勢逆転しているといったことが頻繁に起こります。そんな枝葉末節よりも、我々が次々と直面するであろう課題に対して、どれだけ親身に対応してもらえそうかという点が気になりました。各社と対話を重ねる中で、サポート面で最も期待が持てたこと、先行導入していたOffice 365との親和性も高いと思われたことが決め手となってMicrosoft Azureを選ぶのが最善と判断しました」(松本氏)。

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