[市場動向]

量子鍵配送ネットワーク技術がITU-T勧告Y.3800に、NICT、NEC、東芝がドラフトを作成

2019年7月2日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、NEC、東芝の3組織は2019年7月2日、共同で開発した量子鍵配送ネットワーク技術の成果がITU-T勧告になったと発表した。2019年6月28日にジュネーブで開催したITU-T SG13会合において、Y.3800(量子鍵配送をサポートするネットワークのフレームワーク)勧告として承認された。量子鍵配送ネットワークの要求条件、および基本構成と機能などを規定している。

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、NEC、東芝の3組織は、共同で開発した量子鍵配送ネットワーク技術の成果がITU-T勧告になったと発表した。今回のITU-T勧告の背景について、「大手通信会社が量子鍵配送ベンチャーに巨額の投資をするなど、量子鍵配送の市場拡大に向けた機運が高まっており、量子鍵配送ネットワークの標準化が求められていた」と説明している。

 量子鍵配送(Quantum Key Distribution:QKD)は、光の量子力学的性質を用いることにより、理論上いかなる計算能力を持つ第三者(盗聴者)にも情報を漏らすことなく、暗号鍵を離れた2地点間で共有する方法である。

 国内では、NICT、NEC、東芝が中心となって、量子鍵配送(QKD)装置を開発した。さらに、2010年に構築した実証テストベッド「Tokyo QKD Network」上で、ネットワーク技術の開発、長期運用試験、セキュリティアプリケーションの開発に取り組んできた(図1)。

図1:東京QKDネットワークの構成と鍵管理のためのレイヤー構成(出典:国立研究開発法人情報通信研究機構、NEC、東芝)図1:東京QKDネットワークの構成と鍵管理のためのレイヤー構成(出典:国立研究開発法人情報通信研究機構、NEC、東芝)
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 NICT、NEC、東芝の3者は、これらの成果をQKDネットワークの基本構成と機能、サービス手順などに関する勧告草案としてまとめ、2018年9月に寄書を提出した。その後、この寄書を基準文書として、標準化活動を主導してきた。2019年5月には、NICT本部(小金井)にて、QKDネットワークを集中的に議論する中間会合を開催し、議長として参加国の意見を取りまとめ、Y.3800の完成に貢献した。

 こうした活動を受けて、2019年6月28日にジュネーブで開催したITU-T SG13会合において、Y.3800がITU-T勧告として承認された。日本のQKDネットワーク技術が、ITU-TのQKDに関する国際標準の骨格を形成する形となった。

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量子鍵配送ネットワーク技術がITU-T勧告Y.3800に、NICT、NEC、東芝がドラフトを作成国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)、NEC、東芝の3組織は2019年7月2日、共同で開発した量子鍵配送ネットワーク技術の成果がITU-T勧告になったと発表した。2019年6月28日にジュネーブで開催したITU-T SG13会合において、Y.3800(量子鍵配送をサポートするネットワークのフレームワーク)勧告として承認された。量子鍵配送ネットワークの要求条件、および基本構成と機能などを規定している。

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