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グループ内外4社のRPA導入プロジェクトの成果と“見えた課題”─ヤマトシステム開発

2019年7月5日(金)杉田 悟(IT Leaders編集部)

ヤマトグループのIT子会社であるヤマトシステム開発。同社がRPAを駆使してヤマトグループの業務効率化を推し進めている。ヤマトシステム開発 ITオペレーティングカンパニー事業推進グループ マネージャーの杉原洋氏が、ヤマト運輸をはじめとしたグループ内外4社のRPA導入プロジェクトの詳細を語った。2019年7月2日開催のNTTデータのプレス向けセミナーに登壇した杉原氏の講演内容からお伝えする。

働き方改革の一環としてRPAを検討

写真1:社内外へのRPAの取り組みを説明するヤマトシステム開発 ITオペレーティングカンパニー 事業推進グループ マネージャーの杉原洋氏

 ヤマトシステム開発は、ヤマトグループのIT子会社。宅急便システムの開発・運用を行い、年間18億個もの宅急便事業をIT基盤で支えている。グループ内の売上げは全体の5割弱程度。外販比率が高く、外販の顧客数は1万3000社に上る。

 ヤマトグループでは、中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」の最優先課題として「働き方改革」を挙げている。新たな働き方の実現、「個の力」の最大化、徹底的なオペレーションの効率化がテーマとなっている。

 宅配便事業は、労働集約的な部分があり、全国11の支社、88の主管支店、7012のセンターでは、似通った業務が多数行われている。RPAツールを導入すれば、1つのシナリオを横展開しやすく、オペレーションの効率化が見込めると判断した。そこでヤマトシステム開発が、RPAによるグループのオペレーション改善に取り組むことになった。

 複数のRPAツールを検討した結果、「純国産で操作性がよく、導入事例も多い」「全国をカバーするサポート体制の充実」「世界各国の支店でも活用できる」「バージョンアップを含めてサービスラインアップの展開が充実している」といった理由から、NTTデータが販売する「WinActor」を選定したという。

図1:ヤマトシステム開発がWinActorを選択した理由
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グループ内外で手がけた4つの事例

 現在はグループ内の複数の業務にWinActorを適用させている。ヤマト運輸本社および支社、グループ会社、グループ外での4つの事例を、ヤマトシステム開発の杉原洋氏が紹介した。

事例1: ヤマト運輸本社では、月次分析資料を毎月決まった日に作成している。これは、財務上の経営指標などを集計するためのものだ。100以上のデータをExcelへ転記する作業が必要で、完成までに2日掛かっていた。作業中にどうしてもミスが発生することがあり、担当者の負担になっていたという。WinActorを導入した結果、作業は約2時間で完了するようになった。ロボットが作業を行うので、資料の精度も向上した。

事例2:ヤマト運輸の全国に11ある支社や、支社管下の主管支店では、月1度の勤怠状況の会議報告のために、労務管理関連の資料を作成していた。多種多様なデータを駆使するため、作成に8時間かかっていたという。この作業をロボットに任せた結果、作業時間は約3時間に短縮した。時間帯を問わず毎日作成することが可能になったため、報告に使うだけでなく日頃の労務管理を補うツールとしても活用できるようになった。

事例3:トラック・バスのリースを行っているヤマトリースでは、営業用資料としてトラックなどの中古車両情報のデータベースを作成している。以前は、社員がWebの情報と自社独自の情報を組み合わせて集計していた。朝出社してからの作業だったため、午前中の営業活動には間に合っていなかった。WinActorの導入により、社員が出社する前にロボットがデータベース化作業を完了させるようになった。営業時間前に最新のデータベースを配布してくれるので、社員は出社と同時に本来業務を始められている。

事例4:ある玩具製造会社では、ECの受注データが深夜3時に委託先から届けられている。社員は出社後にそのデータを取得、変換作業を行い、午後から出荷作業を行っていた。そのため、出荷は翌日となっていた。WinActor導入後は、ロボットがデータの取得、変換作業を行うようになった。社員が出社する前に作業が完了しているので、午前中に出荷作業を行え、当日出荷することが可能になった。

●Next:「RPA導入の価値が最大限に発揮できない」その原因は?

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