[インタビュー]

プロセスマイニングツール「Signavio」はコストやCXを改善するためのプラットフォーム

NTTデータ イントラマート 代表取締役社長 中山義人氏/独Signavio APACセールス担当VP Daniel Furtwaengler氏

2019年10月11日(金)齋藤 公二(インサイト合同会社 代表)

現在、働き方改革、業務効率化の特効薬のような扱いで日本企業へのRPA導入が進んでいる。一方で、RPAの課題が多く表面化してきている。ビジネスプロセスの側面から、RPA活用も含めた業務効率化を支援するツールとして注目を集め始めているのが「プロセスマイニング」だ。そのプロセスマイニングの有力ツールである独Signavioとパートナー契約を結び、国内企業のDXや業務変革の支援を強化しているのがNTTデータ イントラマートである。同社 代表取締役社長の中山義人氏と、Signavio APACセールス担当バイスプレジデントのダニエル・フルトヴェングラー(Daniel Furtwaengler)氏に、協業の狙いやビジョン、ユーザーに提供できるメリットを尋ねた。

 二人のインタビューに入る前に、RPAとプロセスマイニング(Process Mining)がどのような関係にあるのか説明しておく。

「RPA導入=DX」という誤解が生む個別最適とサイロ化

 働き方改革やデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが進む中、RPAなどの技術を使って業務を自動化、効率化する動きが活発化している。ただ、当然のことながらRPAは万能ツールではない。RPAは、紙の帳票に記載された数字や文字列をデータ化したり、Webサイト上に記載されたデータを収集したりといった、これまで現場担当者がマニュアルで行わざるをえなかった定型作業の自動化には高い効果を発揮する。

 しかし、そもそもなぜその作業が必要なのか、基幹システムで部分的に巻き取ることも可能ではないか、必要なくなったら作業そのものをなくせばいいのではないか、といった判断をRPAが行うことはできない。

 むしろ、近年は、効率化のために導入したRPAの変更管理が不十分になった結果誤動作したり、管理がいきとどかないまま「野良ロボット化」したりといった問題が懸念されるようになっている。技術の進歩が早いため、今RPAにAIを組み込んでも、数年後に新しいAIが登場したら迅速に更新できない可能性が高い。

 こうしたITガバナンスや変更管理の問題は、デスクトップ型RPAからサーバー型RPAへの移行や、ガバナンスのための集中管理ツールの導入などである程度解消することができる。しかし、RPAが判断できないような業務プロセスそのものの改善はどうするのか──。

 そんな中、注目を集め始めたのがプロセスマイニングだ。組織の業務全体を深掘りして、業務のどこにボトルネックがあり、そのボトルネックを取り除くことでどのような業務改善効果が得られるのかを提示する。

 例えば、RPAで言えば、手作業とロボットの作業で構築された業務プロセスのワークフローの中で、どのプロセスをロボット化すればどのくらいの時間削減が可能なのか、あるいは、既存のロボットを基幹業務システムに巻き取ることで業務全体はどのくらい生産性が向上するのかなどを分析、可視化する。

 DXにおけるRPAというと、ともすると、RPA導入=DXといった間違った理解の下での取り組みになりやすい。その結果もたらされるのは、個別最適とサイロ化だ。多くの企業は間違ったIT導入が、業務を効率化するどころか業務の足かせになる本末転倒な事態を幾度となく経験してきたはずだ。プロセスマイニングは、RPAを正しく運用し、組織としてDXを推進していくためのツールとしても有効なのだ。

プロセスマイニングが解決する課題とは

──DXの取り組みの中で、企業はどのような課題を抱えているのでしょうか。

中山氏:よく相談を受けるのが個別最適の問題です。特に、RPAの導入が現場主導で進む中で、組織として業務の全体最適を図ることがより難しくなってきたという声が増えています。RPA自体は現場主導のボトムアップのアプローチです。一方、全体最適にはトップダウンの視点がかかせません。さらに近年は「とにかくできるところから」という現場の業務改善から入るアプローチ(ミドル)も増えてきました。それらのバランスをどうとるかに悩んでいらっしゃいます。

写真1:NTTデータイントラマート 代表取締役社長の中山義人氏

──NTTデータ イントラマートは「intra-mart」のBPM機能を活用したBPMの構築支援も展開しています。そうしたツールではうまく対応できないということでしょうか。

中山氏:BPMツールは企業のAs Isを分析してTo-Beを描き、それを具体的な業務に落とし込んで実行していくためのツールです。実行するためには業務プロセスを分析することが欠かせませんが、多くの場合、それが専門家の作業に頼ることになります。例えば、コンサルティングファームによる業務分析などです。ご存知のように、この作業には、業務部門へのヒアリングや業務の稼働時間の計測など数多くの工数がかかります。全体最適を描くためには不可欠な作業なのですが、費用もかかり、多くの企業にとってのハードルとなっているのです。そんななかで出会ったのがプロセスマイニングでした。

──プロセスマイニングとは何なのか、課題をどう解決してくれるのか教えてください。

中山氏:業務にかかわるログデータを収集して、業務がどのように構成されているかを分析し、BPMに必要なモデル図(BPMN:ビジネスプロセスモデリング表記)を自動生成します。プロセスマイニングツールを使うことで、コンサルタントが行っていた業務分析やAs-Isの把握が簡単にできるようになります。

 それだけでなく、プロセスマイニングツールとBPMツールを連携することで、業務を改善することによってどのような効果が得られるのかをシミュレーションし、To-Beを描くことができます。例えば、ある作業からある作業までに何人で何分かかっているか、その流れを変えることでどのくらいの工数が削減できるかをさまざまな角度から把握できるようになります。

全体最適への道筋を自分たちで考えられる

──コンサルタントに作成してもらった分厚い業務計画書を前にして「さあ実際にはどうしようか」と固まってしまうというケースがあるとよく聞きます。プロセスマイニングツールを使うことで、実際にどう改善できるかまでシミュレーションできるのですね。

中山氏:一番のポイントは、全体最適への道筋を自分たち自身で考え、実行できるようになることです。全体最適には組織のさまざまな部門が関与することが欠かせません。プロセスマイニングツールを使って、業務を可視化し、取り組みの成果を確認することで、部門を超えたコラボレーションが促されます。

 例えば、「ロボットを入れたけど、ここで業務が詰まっている」「この詰まりを解消するにはこの部署とこの部署の協力が必要だ」といったことを各部門のコンセンサスを得ながら、実施していくことができるのです。

──RPAブームは日本特有だとも言われます。一方で、プロセスマイニングは世界的に見てどのような状況なのでしょうか。

フルトヴェングラー氏:製品自体は10年ほど前からありましたが、ここ2〜3年で急成長しています。コンサルタントがストップウォッチを持って実際の稼働時間を測るのではなく、業務プロセスの問題点を自動的に抽出できるようにしたいということは世界的なニーズです。またデジタル化の流れの中で、業務の問題点をすばやく見つけ、プロセスを改善することで顧客に価値を届ける必要性も高まっています。

 実際、われわれもシリーズCで1億7700万ドルの出資を受けるなど、市場からの期待も大きい。NTTデータイントラマートをはじめ、世界のパートナーと連携して、ニーズに応えようとしています。

写真2:独Signavio APACセールス担当VPのダニエル・フルトヴェングラー(Daniel Furtwaengler)氏

──Signavioは、どのような製品で、何が強みなのでしょうか。

フルトヴェングラー氏:我々はプロセスマイニングのことをPI(Process Intelligence」プロセスインテリジェンス)と呼んでいます。コンサルタントの力を借りずに業務プロセスのなかから素早くインサイトを得ることができます。製品として「Signavio Process Manager」を提供していて、SAPやDHLなど、世界中で1300を超える組織、100万人を超えるユーザーに利用されています。

 Process Managerの強みは、単なる分析ツールではなく、運用コスト(OPEX:Operating Expense)や顧客体験(CX:Customer Experience)を一貫して改善するためのプラットフォームであることです。機能的には、BPMN(ビジネスプロセスモデリング表記)を簡易に記述するクイックモデルや多様なモデリング表記に対応していること、リポジトリ機能で一貫したビジネスオブジェクトの管理が可能なことなどがあります。複数ケースのシナリオに基づきプロセスを分析、コスト、サイクルタイム、リソース、ボトルネックに関する情報を使ってシミュレーションすることも可能です。

●Next:プロセスマイニングツールはだれが使う

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