[イベントレポート]

日本開催回で「アジアオープンデータ宣言」、ただし課題山積

オープンデータ国際イベント「2019 International Open Data Summit」

2019年10月11日(金)IT Leaders編集部

オープンデータの国際イベント「2019 International Open Data Summit」が2019年10月8日、東京大学本郷キャンパスの安田講堂で開催された。主催は内閣官房IT総合戦略室、東京大学大学院情報学環、Asia Open Data Partnership(AODP)。サミットでは、AODPの取り組みを世界へアピールする「Asia Open Data Charter(アジアオープンデータ宣言)」を11カ国22名が採択し、国際協力・協調のもとでの具体的な行動計画策定と実行にコミットした。

 Asia Open Data Partnership(AODP)は、アジアにおけるオープンデータ推進での国際交流や協力を目的に、2015年に発足した。2019年時点で日本、台湾、韓国、インド、インドネシア、マレーシア、ベトナム、カンボジア、ミャンマー、フィリピン、タイの11カ国/地域から、オープンデータを推進する各国政府や外郭団体、NGO、企業などの主要メンバーが参加している。

写真1:2019 International Open Data Summitには11カ国から代表者が参加し「アジアオープンデータ宣言」を採択した

 International Open Data Summitは2015年から台湾、タイ、台湾、韓国で毎年開催され、今年で5回目。日本がホストとなった今回は内閣官房・東京大学のほか総務省、東京都、一般社団法人オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構(VLED)が共催、経済産業省、気象庁に加えオープンデータを推進する官民の関係団体が後援として名を連ねた。

産官学のオープンデータプレイヤーが熱い議論

 東京大学総長の五神真(ごのかみ まこと)氏の挨拶では、「これまで切り捨てられてきた個別の多様性を尊重するインクルーシブな社会の創成におけるもっとも重要な要素」としてオープンデータを掲げる一方、データ寡占や格差拡大のリスクにも触れ、「有益な活用シナリオのために官民国際連携が不可欠である」と訴えた。

 続いて、内閣情報通信政策監(政府CIO)の三輪昭尚氏は「デジタル時代の新たなIT政策⼤綱」、「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」、「オープンデータ基本指針」(ともに2019年6月)といった政府の取り組みを紹介し、Society 5.0へ向けたオープンデータ推進を約束した。

 VLED理事長を務める坂村健氏(東洋大学教授・情報連携学部長)の基調講演では、社会的デジタルトランスフォーメーション(DX)の中核基盤として道路やインターネット同様のオープンさ(故に活用が進みやすい)に通じるデータを取り上げ、東京都で始まったSociety 5.0社会実装モデルの検討や、オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構(VLED)のオープンデータ表彰制度などを紹介した。他方、法律でキャッシュレスを義務付けたシンガポール版ETCの「ERP(Electronic Road Pricing)」と現金用レーンを残さざるを得ない日本のETCの対比を例に、技術革新を念頭にした法制度やルールのあり方について課題を示した。

 OECD(経済協力開発機構)のDigital Government LeadであるBarbara-Chiara Ubaldi氏は、動画による基調講演を行った。同氏は、OECDが取り組む再利用可能なデータ指標「OURdata Index」を紹介した。データバリューチェーンの成熟度を測るため、データの可用性(Availability)、アクセスしやすさ(Accessibility)、政府による再利用支援(Government support to Reuse)の枠組みで、プロジェクトに参加する34カ国のオープンデータを評価し公開している。「昨年に比べ殆どの参加国で指標の改善が見られた」という。

 スマートシティとデータ流通をテーマにしたパネルディスカッションでは、筑波大学教授の川島宏一氏がモデレーターを務めた。オランダのデジタル地図会社ヒア(HERE)やNECといったビジネスセクターを含む登壇者から、台湾、インドネシア、フィリピン、日本におけるデータ活用都市の事例が紹介された。データの相互運用性の重要性を確認する一方で、標準の乱立を懸念する意見も出された。各都市の多様性に根ざしたローカルでリアルな取り組みの積上げ、その結果のデータというエビデンスの共有が重要との認識が共有された。

 武蔵大学教授の庄司昌彦氏がモデレーターを務めたパネルディスカッションは、国連の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals :SDGs)とオープンデータをテーマに行われた。マレーシア、ミャンマー、ベトナム、日本の代表者が参加し、各国における取り組みを共有した。カンボジア、タイ、ラオス、ベトナム、ミャンマーが協働でメコン川流域のデータライブラリや水・エネルギー資源やインフラ地図などを公開するOpenDevelopment Mekongの事例などが紹介され、連携による取組みの加速やビジネス創造の可能性を議論した。

●Next:オープンデータ活用の8原則とは?

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日本開催回で「アジアオープンデータ宣言」、ただし課題山積オープンデータの国際イベント「2019 International Open Data Summit」が2019年10月8日、東京大学本郷キャンパスの安田講堂で開催された。主催は内閣官房IT総合戦略室、東京大学大学院情報学環、Asia Open Data Partnership(AODP)。サミットでは、AODPの取り組みを世界へアピールする「Asia Open Data Charter(アジアオープンデータ宣言)」を11カ国22名が採択し、国際協力・協調のもとでの具体的な行動計画策定と実行にコミットした。

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