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【Special】

マイクロサービスアーキテクチャへの対応でDXを促進、進化を続ける超高速開発ツール「Wagby」の現在と未来

Wagby Developer Day 2019レポート

2019年12月12日(木)

今年で7回目を迎えた超高速開発ツール「Wagby」の年次イベント「Wagby Developer Day 2019」が2019年11月27日、東京・御茶ノ水ソラシティ カンファレンスセンターにて開催された。「デジタルトランスフォーメーション(DX)とアジャイルのその先へ!2030年代を生き延びるエンタープライズ経営を支えるためのIT基盤が備えるべきものとは?」というテーマのもとで行われた基調講演とユーザー企業の事例紹介の概要をレポートする。

DXの本質はビジネスプロセス・プログラミング

エークリッパー・インク 代表 羽生 章洋氏エークリッパー・インク 代表 羽生 章洋氏

 経済産業省が2018年のDXレポートで指摘した「2025年の崖」まであと5年余りとなり、企業はこれからの生き残りを掛けてデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むべしと、あちこちで声高に叫ばれている。

 だが、2025年までにDXを“完了”しなければならないとすれば、平均して毎年20%のシステムを刷新しなければならないことになる。これはかなりのハイペースだ。

 そもそもDXは、完了すればそれでよしとされる類のものではない。むしろそれからが本当の“始まり”なのだ。基調講演に登壇したITコンサルタントのエークリッパー・インク 代表 羽生 章洋氏は、「仮に2025年までにDXを完了するならば、さらにその先の10年後まで通用するITの土台を、今の段階から考えないといけないことになります。自社の業務をどのようにトランスフォームするのかという事後のイメージもないままDXに突き進むと、結局行き当たりばったりのシステムを量産してしまうことになります」と警鐘を鳴らした。

 ここであらためてDXの本質を考えてみる。羽生氏は、「リアルタイムの情報連携が極まっていくと、ボーダーレスのコラボレーションが実現されます。まさにそれがDXの世界であり、かつてマイケル・ハマー氏とジェイムズ・チャンピー氏が『リエンジニアリング革命』で提唱したBPR(Business Process Re-engineering)の正しい姿とも言えます」と語り、「DXの本質は、ビジネスプロセス・プログラミングにあります」と説いた。

 これまでの基幹システムのようにヒトが業務フローを動かすのではなく、プログラムに書いたとおりに業務フローが回るようにするわけだ。ビジネスはデジタル化された業務フローありきとなり、それを誰が動かすかは問題ではなくなる。そこで重要となるのは単なる変化への対応ではなく、「やりたいことをすぐにやれる」「やめたいことをすぐにやめられる」といった新陳代謝の加速である。「時代はマイクロサービスからマイクロカンパニーへと向かっています。この流れに対応するためにもシステムの操作、構造、機能を分離し、それぞれ独立したライフサイクル管理を実現する必要があります」と羽生氏は語る。

継続的なDXを可能とするには、操作、構造、機能を分離し、新陳代謝が容易なシステムにする必要がある継続的なDXを可能とするには、操作、構造、機能を分離し、新陳代謝が容易なシステムにする必要がある
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 そして核心的なポイントとなるのが、プログラミングのアマチュア化(民主化、コモディティ化)だ。一部のITの専門家やプロフェッショナルにシステム開発を丸投げする時代は終わり、たとえITの素人であっても、現場の誰もがビジネスプロセス・プログラミングを実践できるようになることが求められる。具体的には「IT要件定義(IT/マシンに何をやらせるかを決める)」「プロセス設計(その材料として、どんな業務を行うべきかを決める)」「ビジョン設計(なぜその業務をやる必要があるのかを定める)」といったスキルを身につけ、業務を行う人材から「業務を設計する人材」へと変わっていく必要がある。

DX時代に必要となる人材は「業務を設計できる人」、そのために必要なスキルは、IT要件定義、プロセス設計、ビジョン設計の3つのスキルDX時代に必要となる人材は「業務を設計できる人」、そのために必要なスキルは、IT要件定義、プロセス設計、ビジョン設計の3つのスキル
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 DXを推進することで、自分たちはどうなるのか、どうなりたいのか。あるいは誰に、何を提供するのか。それはなぜか――。そうした議論を繰り返す中で忘れてはならないのは、顧客から求められる企業であり続けることである。

 「顧客が求めているのはイノベーションではありません。イノベーションは結果論に過ぎず、顧客や社会に対して自分たちがどうありたいかというビジョンこそが大切なのです。また、ビジョンにもライフサイクルがあります。顧客が求めるものも変わっていくため、ビジョンに対してもマネジメントを行い、新陳代謝させていく必要があります」と羽生氏は訴えた。非効率なレガシーシステムの刷新もさることながら、まだ存在しない新しい面白い未来を創るという発想でDXに臨むことが重要だ。

Wagbyが指向するマイクロサービスアーキテクチャの特徴

ジャスミンソフト 代表取締役 贄良則氏ジャスミンソフト 代表取締役 贄良則氏

 ジャスミンソフト 代表取締役の贄良則氏は、現場主導のビジネスプロセス・プログラミングを実現する上での鍵を握るWagbyについて、今後のロードマップを示した。

 まもなくリリース予定のWagby R8.4では、OpenID Connectの対応が実現する。これにより、たとえばOffice 365やGoogleのIDをそのまま使ってWagbyでの認証を行えるようになる。

 さらに2020年4月にリリースを予定しているWagby R8.5では、満を持してマイクロサービスアーキテクチャに対応。「主要なパブリッククラウドが提供しているフルマネージドサービスを積極的に利用することが可能となります」と贄氏は語った。アプリケーションのコアとなる部分をDockerコンテナとして開発し、Kubernetesで管理。データベースやRedis、ログ、ファイアウォール、ロードバランサ、監視サービス、メッセージキューなど、パブリッククラウドのフルマネージドサービスを組み合わせて利用することで、開発者はよりアプリケーションに集中できるようになる。

 一般的なマイクロサービスアーキテクチャとは異なるWagbyならではの特徴もある。最大の違いはデータベースだ。マイクロサービスごとにデータベース(NoSQL)をもつのではなく、Wagbyは1つのデータベース(RDB)を共有することにこだわっているのである。データベースへの更新トランザクションが完結する処理を1つの業務ドメインとして捉え、その単位での入れ替えを可能とすることを目的とするものだ。このあたりは、業務システムでの利用が多いWagbyならではの配慮と言えよう。

Wagby R8.5におけるマイクロサービスアーキテクチャの特徴Wagby R8.5におけるマイクロサービスアーキテクチャの特徴
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 なお、24時間365日のノンストップ運用が求められるシステムでアプリケーションの入れ替えを行う場合、許容されるテーブル定義への変更は、項目追加またはテーブル追加のみといった制限があるものの、ユーザーはログアウトすることなくシステムを使い続けられるというメリットもある。Redisに格納されている値を維持することでログオンセッションが保たれるのだ。「これによりユーザーに意識させることなく、アプリケーションを入れ替えることが可能となります。パブリッククラウドでオートスケールさせながら業務アプリケーションを運用し、今までより早いサイクルで、なおかつ心理的負担も軽減して入れ替えを行える環境を提供します」と贄氏は強調した。

 これをもってWagby R8系のエンハンスは一応のゴールとなるが、贄氏は2020年11月19日開催の「Wagby Developer Day 2020」でWagby R9を発表すると宣言した。Wagby R9のテーマは「上流工程の強化」で、従来からのモデル設計やUI設計に加え、プロセス設計とAPI設計もサポートするという。「1つのWagby Designerの中でこの一連の設計が管理されることで、徹底した影響分析を行えるようになります」(贄氏)。

2020年秋に発表予定のWagby R9のコンセプトは「上流工程の強化」2020年秋に発表予定のWagby R9のコンセプトは「上流工程の強化」
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 加えて贄氏は「テストデータの自動生成もできるようにしたい」という意向も示しており、アプリケーション開発の民主化を通じてDXを推進していく基盤として、Wagbyはさらに大きく進化していくことになる。

ロボット任せにしない業務改善を追求

積水化学工業 経営戦略部情報システムグループ 堀 平良氏積水化学工業 経営戦略部情報システムグループ 堀 平良氏

 今回のWagby Developer Dayでも、午後は多数のユーザー事例セッションが設けられていた。ここでは、その中から積水化学工業の事例を紹介しよう。積水化学工業 経営戦略部情報システムグループの堀 平良氏は、「Wagbyによる期末決算報告業務の刷新事例 ~ ロボット任せにしない業務改善の取り組み~」と題し、Wagbyの導入事例を発表した。

 住宅、高機能プラスチックス、環境・ライフラインを主要事業とする同社は、国内の基幹システムはERPパッケージを導入せず、会計・販売ともにすべて手作り、メールやグループウェアもパッケージではなく手作りと、社内の情報システムはほぼ内製化しているという。

 そうした中で経理部門の業務改善企画と連携し、Wagbyを用いた業務アプケーションのトライアル開発に乗り出したのが、「LINKS」と呼ぶ期末決算報告業務システムである。

 同社の経理部門では年2回(上期/下期)の期末に決算や税務報告に必要な情報を集めるため、社内の各部署に対して17種類の文書報告を依頼している。しかし、そこでやりとりしているのは帳票形式のExcelシートによるアナログ報告で、「報告部門の担当者が毎回変わり、資料と手順だけが継承される」「経理部門は決算繁忙期にも関わらず、資料の回収と集計作業に追われる」など、多くの課題を抱えていた。

 要するにこの業務の抜本的な見直しを行うことがLINKS開発の目的である。「Wagbyにより報告業務をデータベース化し、プロトタイプ画面を通じて業務要件を再整理することで必要業務を見定めるとともに、 回収状況見える化や集計自動化などで経理部門の作業工数を削減したいと考えました」と堀氏は語った。結果として同社は17種類あった業務を9種類まで削減し、わずか3か月で開発を完了することができた。

積水化学工業ではLINKS開発にあたり、現場業務を棚卸しし、期末決算報告に必要な業務数を17から9に削減した積水化学工業ではLINKS開発にあたり、現場業務を棚卸しし、期末決算報告に必要な業務数を17から9に削減した
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LINKSの開発は要件定義を含めて約3か月で完了。開発工数も3人月と低く抑えることができたLINKSの開発は要件定義を含めて約3か月で完了。開発工数も3人月と低く抑えることができた
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 「業務を約半分にまで絞り込むことができたのは、ロボットに頼らずにシステムを開発したことの最大の成果です。Wagbyはモデリングさえしっかりできていればシステムを作ることができ、特にデータの出し入れだけの画面であれば抜群の生産性を発揮します。スクラッチ開発に比べ、開発工数は4分の1程度に削減されています」と堀氏。また、各部署へのアンケート結果でも約7割のユーザーが「改善された」と感じており、経理部門の集計作業は9割削減(83時間→5時間)という大幅な省力化を実現したという。

 もっとも、今後も業務現場で次々に発生する小規模案件のすべてを本社の情報システムグループが拾い上げていくのは困難だ。「現場自身で完結できるように、各部署のIT担当者でもアプリケーション開発ができる環境を整えていきます」と堀氏は語り、今後もロボットは使わずに社内の業務改善をWagbyで推進していく考えを示した。


●お問い合わせ先

株式会社ジャスミンソフト
http://www.jasminesoft.co.jp/

Wagbyについて
http://wagby.com/

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