[市場動向]

悪条件下でもスマホカメラでバーコードを読み取れるSDK「Scandit」が日本法人を設立

イオンリテールが2019年5月からスマホによるセルフレジを運用

2020年11月19日(木)日川 佳三(IT Leaders編集部)

スマートフォンのカメラでバーコードを読み取るSDK(ソフトウェア開発キット)を提供するスイスのScanditは2020年11月19日、日本法人のスキャンディット合同会社(所在地:東京都渋谷区)を設立すると発表した。日本市場における販売拡大を図る。2020年11月末を目途に設立する。現在の販売代理店は日立ソリューションズ。今後、小売や物流など対象とする業種セグメントごとにパートナーシップを築きたいとしている。

 Scanditは、スマートフォンのカメラでバーコードやQRコードを読み取るSDK(ソフトウェア開発キット)を提供するスイスのベンダーである(関連記事日立ソリューションズ、悪条件下でもスマホカメラでバーコードやQRコードを読み取るSDK「Scandit」を販売)。このSDKを組み込むことで、バーコードを読むアプリケーションを構築できる。Android、iOS、Windows、Linuxの環境で利用できる(写真1)。

写真1:Scanditによる複数バーコード読み取りとARオーバーレイのイメージ(出典:スキャンディット)写真1:Scanditによる複数バーコード読み取りとARオーバーレイのイメージ(出典:スキャンディット)

 同社がアピールするSDKの特徴は、AIのマシンラーニング(機械学習)を使うことで、悪条件の下でもバーコードを正確に素早く読み取れること。照明が暗い場所、バーコードから距離が離れた場所、バーコードの破損や歪み、斜めから見た角度といった条件でも、カメラに写った複数のバーコード画像を瞬時に認識し、正確に素早く読み取れるとしている。また、カメラ撮影画面に情報を表示して作業を支援するAR(拡張現実)機能も備える。

 今回、日本法人のスキャンディットを設立する。これを機に、スキャンディット自社での営業活動やパートナー戦略の拡充を図る。マーケティング活動も含めて、小売、流通、運輸、製造などの業界を中心に、日本市場における企業認知度向上、および製品の拡販を図る。業界セグメントごとに、その業界に強いパートナーを作りたいとしている。

イオンリテールが2019年5月からスマホによるセルフレジを運用

 説明会では、国内事例の1つであるイオンリテール(本社:千葉県千葉市)が登壇した。同社は、2019年5月からイオンの店舗とイオンスタイルの店舗において、Scanditを搭載したスマートフォンによるセルフレジシステム「レジゴー」を運営している。記事執筆現在19店舗が導入済みで、2020年11月末時点で1店舗増えて20店舗になる。

 レジゴーは、店舗に置いてある専用のスマートフォンを手にとって買い物をする(図1)。購入する商品をスマートフォンのカメラで写すと、Scanditを組み込んだアプリがバーコードを読み取って購入リストに追加する。買い物が終わったら、QRコードを生成して専用のレジにかざして会計する。1店舗あたりのレンタルスマホの数は60台、90台、120台のいずれかで、店舗の規模によって異なる。

図1:2019年5月からイオンモールにおいて、Scanditを搭載したスマートフォンによるセルフレジシステム「レジゴー」を運営している。店舗に置いてある専用のスマートフォンを手にとって買い物ができる(出典:イオンリテール)図1:2019年5月からイオンモールにおいて、Scanditを搭載したスマートフォンによるセルフレジシステム「レジゴー」を運営している。店舗に置いてある専用のスマートフォンを手にとって買い物ができる(出典:イオンリテール)
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 イオンリテールで執行役員システム企画本部長を務める山本実氏は、悪条件でも素早く読み取れる点を評価している。「従来のセルフレジはプロでも全商品を素早くスキャンするのは難しかった。ワインなどの曲面を読み取ることが難しかったり、店内の照明の問題でうまく読み取れなかったりした。Scanditでは、読み取る性能が良すぎて、あらゆるバーコードを一瞬で読み取ってしまうので、むしろ読み取り範囲を狭めようかと考えている」(山本氏)。

 同社のデータによると、レジゴーを利用した人の平均購入点数は、通常のレジを使って買い物をする人よりも2点(約500円)多い。買い物のしやすさによって「調味料などの買い忘れをフォローできている」(山本氏)と同社は分析している。

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