消費者のデジタルへの信頼度は低下傾向、日本のリスク意識は他国より低め─仏タレス調査

2022年12月16日(金)神幸葉（IT Leaders編集部）

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仏タレスグループ（Thales Group）のデジタルアイデンティティ＆セキュリティ事業日本法人のタレスDISジャパンは2022年12月8日、グローバル調査レポート「2022年タレス消費者デジタル信頼指数」の概要を発表した。11カ国2万1000人以上の消費者を対象に、デジタルサービスおよびそのセキュリティへの信頼度やデータ保護に関する意識を調査したもの。同日に説明会を開き、グローバル各国と日本の意識の違いや、企業が留意すべき点などを説明した。

　タレスDISジャパンが、「2022年タレス消費者デジタル信頼指数（2022 Thales Consumer Digital Trust Index）」の概要を発表した。同仏タレスの委託を受けて、米国・英国に本拠を置くOpinium Researchが英ウォーリック大学（University of Warwick）と共同で実施した、デジタルサービスのセキュリティへの信頼度やデータ保護に対する消費者の意識に関するグローバル調査レポートである。調査期間は2022年1月27日～2月3日で、調査対象はオーストラリア、ブラジル、フランス、ドイツ、香港、日本、メキシコ、シンガポール、アラブ首長国連邦、英国、米国の11カ国約2万1000人の消費者。日本からの回答参加は約2000人である。

消費者の信頼は低下傾向、国や地域で信頼度に差

　まず、「各業界が提供するデジタルサービスや自身の個人情報の安全性について、その業界をどの程度信頼しているか」を尋ねている。信頼度が低い回答者（10段階で0～2と回答）の割合が大きかったのは、ソーシャルメディア企業（18％）、政府機関（14％）、メディア&エンターテインメント企業（12％）である。

対照的に、信頼度が高い回答者（上記項目で8～10と回答）の割合が高かった業種は、銀行および金融機関（42％）、医療サービス機関（37％）、消費者向けテクノロジー企業（32％）である（図1）。

図1：業界別デジタルトラストの現状（出典：タレスDISジャパン）
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　また、レポートによると、個人データのセキュリティに関する消費者からの信頼度が国ごとに大きく異なることも明らかになった。

　「自身の個人情報の安全性について、ショッピング、ソーシャルメディア、旅行などのオンラインデジタルサービスをどの程度信頼しているか」を尋ねたところ、「まったく信頼していない」が多かったのはドイツが23％、オーストラリア、英国、フランスがそれぞれ20％だった。一方で、「完全に信頼している」または「ある程度信頼している」の割合はブラジル（95％）、メキシコ（92％）、アラブ首長国連邦（91％）が上位となった（図2）。

　タレスはこれらの結果について、「GDPR（General Data Protection Regulation：EU一般データ保護規則）をはじめとするデータ保護の法規制から、プライバシーの権利に関する認識が広まっているEUでは全般に信頼性の欠如が生じている。こうして、地域や国によって信頼度の差が生じているようだ」と分析している。