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フェデックス、シンガポールの空港ハブ施設にAI仕分けロボットを導入

2023年1月10日(火)神 幸葉(IT Leaders編集部)

米フェデックスコーポレーション(FedEx Corporation)傘下の貨物航空会社、米フェデックス・エクスプレス(FedEx Express)は2023年1月6日、シンガポールの南太平洋地区空港ハブに、AI搭載の貨物仕分けロボットを導入したと発表した。輸送業務のデジタル化とスマートな物流ネットワークの構築を目的とした継続的な取り組みの一環という。

 新型コロナウイルスのパンデミックをきっかけに、物流業界では倉庫管理からラストマイル配送までの業務効率の最適化が進んでいる。ドイツの市場データサービス会社のスタティスタ(Statista)によれば、世界の倉庫自動化市場は2030年までに510億米ドル(約6兆8500億円)を超える見通で、2030年まで年平均成長率14.8%で成長を続けるという。

 また、インドの市場調査会社UnivDatos Market Insightsは、新興国におけるECやヘルスケア関連の物流の成長がドライバーとなって、アジア太平洋地域の倉庫自動化産業の市場シェアが大幅に拡大していくと予測している。

 そうした中、米フェデックス・エクスプレス(FedEx Express)は、広範な業界のトレンドに対応するため、仕分け業務の自動化に注力している。今回、フェデックスがシンガポールの南太平洋地区ハブに導入したのは、AIを搭載した貨物仕分けロボット「DoraSorte」である。中国の物流向けロボットスタートアップであるドラボット(Dorabot)が開発し、2022年1月には中国・広州のフェデックス中国南部EC貨物仕分けセンターにも導入している。

 同ロボットは1時間に最大1000個の荷物を選別し、1回につき最大5kgを運搬して最大100の仕向地の荷物を取り扱う。ロボットは貨物をスキャンして目的地情報を取得するバーコードリーダーを搭載し、その精度は98.5%を超えるという。「同ロボットで同施設での24時間体制の選別作業の実現を後押しする」(同社)という(写真1)。

写真1:シンガポールの南太平洋地区空港ハブに導入したAI搭載貨物仕分けロボット「DoraSorte」(出典:フェデックス エクスプレス)
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 今回のシンガポールでのプロジェクトは、航空産業の発展と成長を推し進めるシンガポール民間航空局(CAAS)の主要な取り組みの1つであり、航空開発基金の支援を受けている。CAASの航空業界担当ディレクター、アンジェラ・ウン(Angela Ng)氏は次のように取り組みを説明する。

 「CAASは業務効率の向上と雇用の変革をもたらす技術・自動化・デジタル化の見極め・試行・導入を行い、航空輸送会社と積極的に協業している。フェデックスの仕分けロボットにより、航空貨物処理の生産性が大幅に向上し、マンパワーを付加価値の高い業務に振り向けるような職務の再設計が可能となった」。

 フェデックス・エクスプレス シンガポールのマネージング ディレクター、エリック・タン(Eric Tan)氏は、「当社は倉庫の自動化に投資することでよりオペレーションの拡張性を高めてきた。「CAASからのサポートにより、現地政府機関とのさらなる協力関係が構築され、顧客へのより良いサービス提供を目指すスマート物流インフラ構築に向けた当社の継続的な取り組みを前進する」と、プロジェクトのさらなる推進への意気込みを語っている。

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