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運転員の操作を学んだAIがプラントを自動運転─横河ソリューションサービス

2023年1月30日(月)日川 佳三(IT Leaders編集部)

横河ソリューションサービスは2023年1月30日、「AIプラント運転支援ソリューション」の新機能「オートパイロット」を発表した。運転員の操作を学習したAIを用いてプラントの自動運転を実現する。新機能の開発・保守・運用をNTTコミュニケーションズが担当し、同年2月から提供する。一般販売に先駆けて導入したJNC石油化学の市原製造所の事例では、従来技術では制御が難しかった工程の自動運転に成功し、運転員による手動操作を超える精度を確認した。

 横河ソリューションサービスの「AIプラント運転支援ソリューション」は、多品種少量生産、変種変量生産のプラントにおける制御操作をAIで支援するシステムである。プラントの各種センサーから取得した温度や圧力などのデータと、運転員の過去の操作履歴を基に、模倣学習によって運転員の操作を学ぶ。こうしてAIを生成する(図1)。

図1:AIプラント運転支援ソリューションの概要。ガイドで手動操作を支援するガイダンス機能と、自動運転のオートパイロットのいずれも可能(出典:横河ソリューションサービス、NTTコミュニケーションズ)
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 一般販売に先駆けて導入したJNC石油化学の市原製造所の事例では、従来技術では制御が難しかった工程の自動運転に成功し、運転員による手動操作を超える精度を確認した。

 これまで提供してきた「ガイダンス機能」は、運転員の操作を学んだAIが、適切な値をガイドする。運転員による手動制御操作における品質のバラつきを減らす。一方、今回追加した新機能「オートパイロット」は、運転員の操作を学んだAIがプラントを自動で運転する。

 オートパイロットによる自動運転時、AIの動作保証範囲から外れたことを検知した場合は、運転員に即時通知し、手動運転に切り替える運用が可能である。この後、運転員の判断の下でオートパイロットに戻す。人の判断と連携することで、安全性と継続性を担保した操業が可能である。

 蓄積したデータの中から現状に近い状況の操作履歴を抽出し、高頻度に自動で再学習する。新たな環境に沿ったルールをAIが自動で導き出し、生産量や設備の経年変化などの状況に応じた自動運転を実現する。

 導入効果として、化学プラントで新機能の実用性を評価したところ、運転員を超える精度を確認した。2022年12月15日から16日にかけての24時間、新機能による自動運転と運転員による手動操作を比較した。目標達成度(指標値と目標値の差の平均)は自動運転によって33%改善し、ばらつき(運転中の指標値のばらつき)は自動運転によって19%改善した(表1)。

表1:自動運転と運転員操作の比較(出典:横河ソリューションサービス、NTTコミュニケーションズ)
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