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[市場動向]

液浸冷却でデータセンターの冷却電力を94%減、PUE値1.05を実現─KDDI、三菱重工、NECネッツエスアイ

2023年度中に液浸データセンターの提供を開始

2023年3月7日(火)クラウド&データセンター完全ガイド編集部

KDDI、三菱重工業、NECネッツエスアイの3社は2023年3月6日、データセンターにおける冷却電力の削減を目的に、液浸冷却装置の実証実験を行ったと発表した。従来型データセンターと比較してサーバー冷却電力を94%削減し、データセンターの電力使用効率を示すPUE値1.05を実現した。3社は大規模データセンターやコンテナ型データセンターなどの幅広い活用を想定し、2023年度中に液浸データセンターの提供を開始する計画である。

 KDDI、三菱重工業、NECネッツエスアイの3社は、データセンターにおける冷却電力の削減を目的に、液体でCPUや機器を冷却する液浸冷却装置の実証実験を行った。3社は、大規模データセンターからコンテナ型データセンターまで幅広い活用を想定し、2023年度中に液浸データセンターの提供を開始する。

図1:液浸冷却装置およびフリークーリング装置の構成(出典:KDDI、三菱重工業、NECネッツエスアイ)
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 実証は、KDDI小山ネットワークセンター(KDDI小山NC)で2022年4月1日からスタート。外気空冷を行うフリークーリング装置を含む液浸システムを開発し、100kVA相当のサーバーなどのIT機器と液浸冷却装置をデータセンター内に収容して行った。

 データセンターでの実装を想定した排熱処理能力の向上と省電力化により、従来型データセンターと比較し、サーバー冷却に消費する電力を94%削減し、データセンターの電力使用効率を示すPUE値1.05を実現した(図1)。

 高可用性に関してえ、液浸冷却装置とフリークーリング装置に高い可用性を持たせ、ティア4レベルの液浸データセンターでの実装設計を行い、安定稼働の成立性を実証した。加えて、IT機器が発する騒音を抑制し、空冷方式に比べて約35dBの低減を図った。3社は国内での商用利用を見据え、保守体制の検討、保守マニュアルの整備も含めた実践的な運用を行った。

 実証実験を行う背景として3社は、クラウドサービスやデータセンターの需要が急速に拡大している一方で、IT機器の高性能化・高密度化により、IT機器による発熱がこれまで以上に大きくなってきていることを挙げる。「データセンターでの排熱処理が課題になっている。サーバーが発する熱を高効率の冷却装置で冷却することで消費電力量を抑制し、環境に与える影響を最小限に留めることが求められている」(3社)。

 実証実験における3社の役割は以下のとおり。

KDDI
本実証の円滑な管理推進
可用性を考慮したデータセンターへの液浸システム導入におけるシステム設計
IT機器の導入、保守、運用体制の課題解決に向けた取り組みとフィールドトライアル
三菱重工
フリークーリング(外気空冷)装置の開発および試作
液浸システムの設計、構築
液浸システムの制御および運用試験
フリークーリング(外気空冷)装置の保守・運用設計
NECネッツエスアイ
液浸データセンター向けの設備導入設計と課題抽出および改善
液浸装置、電源設備などの調達、設計、施工を通して課題抽出と改善
統合監視システムの SI設計構築を通して監視、管理、制御手法の検証
最適な保守設計、運用、保守スキームの確立
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