[市場動向]

カメラ映像の分析で、曖昧な外観属性情報から特定人物を検索する「あいまい検索技術」─NEC

商業施設における迷子捜索などに活用可能

2023年5月22日(月)IT Leaders編集部

NECは2023年5月19日、映像分析のための「あいまい検索技術」を開発したと発表した。カメラ映像を分析し、人物の性別、服・帽子・靴の色や形状など曖昧な外観属性情報から特定の人物を高速・高精度に検索可能な技術である。施設内で迅速に迷子を捜索するといった使い方ができる。提供中の「NEC 映像分析基盤」に実装し、2023年度中に実用化する予定。

 NECは、映像分析のための「あいまい検索技術」を開発した。カメラ映像を分析し、人物の性別、服・帽子・靴の色や形状など曖昧な外観属性情報から特定の人物を高速・高精度に検索可能な技術である。施設内で迅速に迷子を捜索するといった使い方ができる(図1)。

画面1:検索システムの画面(出典:NEC)
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 NECが実施した実証では、人の往来が激しい14カ所のエリアを撮影し、1000人以上が映る1時間程度のカメラ映像から、同技術を用いて平均2分で対象人物を発見できることを確認した。

 商業施設において迷子などの特定人物を捜索する手段として、カメラ映像から視覚的な特徴を分析する手法が注目されている。しかし、記憶を頼りに服装の色を誤ったまま検索してしまい抽出できない事案や、子供が多く集まる施設で多くの人物が該当して絞り込みが難しい事案などがあり、カメラ映像の有効活用には課題がある。

 また、顔認証技術を使った分析はプライバシへの配慮が必要であるほか、カメラの解像度が不足している場合には有効に活用できない可能性がある。このように、映像分析技術の導入には課題があることから、警備員などの人手による捜索が主な対処法となり、迷子の発見に数時間を要する場合もある。

 今回NECが開発した技術は、まずカメラに映っている人物の視覚的な特徴から、性別、上下それぞれの服や帽子、靴の色・形状、鞄などの持ち物の情報といった100以上の属性情報をAIによる推定の確信度とともに付与する。このうえで、特定人物を検索する際に、それぞれの検索条件について、記憶とAIによる推定、双方の曖昧さを考慮し、総合的に合致するかを判定し、検索結果を出力する。

 例えば、服装の色について記憶が誤っている場合や、光の加減によりAIによる推定が事実と異なる場合など、検索条件の一部に該当しないものがあっても、候補から排除することなく対象人物を見つけられる(図1)。さらに、顔画像を使わなくても外観の属性を推定できるので、プライバシーに配慮した運用も可能である。

図1:従来技術と「あいまい検索技術」技術の違い(出典:NEC)
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 今後NECは、提供中の「NEC 映像分析基盤」に同技術を実装し、2023年度中に実用化する予定。迷子の捜索に加え、来場客の属性情報を分析するマーケティング領域などへの適用を進めていく。さらに、アパレルなどのECサイトにおける検索体験の向上など、映像分析以外の領域にも応用することを検討する。

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