[調査・レポート]

生成AIとの組み合わせが有効なデジタル/IT施策は?─ノークリサーチ

2023年8月8日(火)日川 佳三(IT Leaders編集部)

ノークリサーチは2023年8月7日、中堅・中小企業が生成AIと共に利用している製品・サービスを調査し、生成AIの導入につながる取り組みや、生成AIとの組み合わせが有効な業務デジタル化施策について考察した結果を発表した。

 ノークリサーチは、中堅・中小企業が生成AIと共に利用している製品・サービスを調査し、生成AIの導入につながる取り組みや、生成AIとの組み合わせが有効な業務デジタル化施策について考察した結果を発表した。

 調査対象は、中堅・中小(年商500億円未満)のユーザー企業(有効回答件数700社)。生成AIや自動化など12分野・50項目(表1)の製品・サービスの導入状況を尋ねた。導入している製品・サービス(50項目)の関係を分析し、同時に導入している製品・サービスや、これらの間の因果関係をベイジアンネットワーク図で示している(図1)。

図1:製品・サービス50項目の関係性を図示したベイジアンネットワーク図(出典:ノークリサーチ)
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 図2は、生成AI分野の代表的な取り組みである、S5_3.「チャット指示による業務の効率化」について、互いの影響度合いが大きい他の項目との関係性を示したものである。

図2:生成AI「チャット指示による業務の効率化」と他の項目との関係性を示したベイジアンネットワーク図(一部抜粋)(出典:ノークリサーチ)
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 図2にあるように、「チャット指示による業務の効率化」に向かうのは、S2_2.の「Web会議サービスを利用した人事面接」、S6_3.の「従業員を対象としたセンサ+AI活用」、S8_3.の「SalesTech(営業活動のDX)」。これら3つを導入しているユーザーは、「チャット指示による業務の効率化」に意欲的であることを示している。「これら4つの項目は、データを活用することで、従業員の採用や業務効率の向上を図るという観点で共通している」(ノークリサーチ)。

 また、図2は、「チャット指示による業務の効率化」の取り組みによって、S3_1.の「契約/取引のペーパレス化」やS8_4.の「LegalTech(法務関連のDX)」の取り組みが活発になることを表している。「チャットの利用を通じ、生成AIによる文書作成能力の高さを実感する。これにより、契約/取引や法務関連の定型文作成へと生成AIの適用範囲が拡大していく状況を示している」(同社)。

 図3は、項目間の影響がどのくらいあるかを示したグラフである。「チャット指示による業務の効率化」の導入率は全体で5.8%にとどまるが、S2_2.の「Web会議サービスを利用した人事面接」を導入している企業では12.0%まで上昇し、「従業員を対象としたセンサ+AI活用」や「SalesTech」を導入した場合は3割を超える。

図3:生成AI「チャット指示による業務の効率化」に対する他の項目の影響がどのくらいあるかを示したグラフ(出典:ノークリサーチ)
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表1:導入状況を調査した12分野50項目の製品・サービス(出典:ノークリサーチ)
分野(12種) 項目(50種)
自動化/システム連携/開発ツール S1_1.RPAによる手作業の自動化
S1_2.APIによるシステムの連携
S1_3.ノーコード/ローコード開発
コミュニケーション改善/データ共有 S2_1.Web会議サービスを利用した顧客獲得
S2_2.Web会議サービスを利用した人事面接
S2_3.会議における議事録の作成や要約
S2_4.社内外に散在する文書の集約と管理
ペーパレス化 S3_1.契約/取引のペーパレス化
S3_2.現場業務のペーパレス化
S3_3.販促媒体のペーパレス化
販売/マーケティングの改善や刷新 S4_1.顧客と対面せずに個別ニーズを把握する
S4_2.顧客の意見や問い合わせを有効活用する
S4_3.ライブコマース(生配信のオンライン販売)
S4_4.アプリが不要なSNS上の企業独自サービス
S4_5.SNSで顧客と直接繋がった製造直売(D2C)
S4_6.eコマースサイト構築基盤サービス
S4_7.キャッシュレス決済サービス
S4_8.電子商取引基盤サービス
ジェネレーティブAI(生成AI) S5_1.チャットボットによる知識共有やQ&A対応
S5_2.構想や設計における試行の自動化
S5_3.チャット指示による業務の効率化
S5_4.文書やデザインの自動作成
センサ+AIによるデータ分析 S6_1.複数拠点を連動させるためのセンサ+AI活用
S6_2.業務プロセスを対象としたセンサ+AI活用
S6_3.従業員を対象としたセンサ+AI活用
S6_4.顧客を対象としたセンサ+AI活用
S6_5.商材を対象としたセンサ+AI活用
S6_6.設備を対象としたセンサ+AI活用
S6_7.技能継承のためのセンサ+AI活用
クラウド活用/レガシー移行 S7_1.クラウド移行支援サービス
S7_2.レガシー資産移行サービス
S7_3.業務特化型(バーティカル)SaaS
既存の業務システムにおけるDX S8_1.FinTech(会計システムのDX)
S8_2.HRTech(人事システムのDX)
S8_3.SalesTech(営業活動のDX)
S8_4.LegalTech(法務関連のDX)
S8_5.AdTech(広告関連のDX)
S8_6.物流DX
ドローンの活用 S9_1.遠隔カメラとしてのドローン活用
S9_2.測定手段としてのドローン活用
S9_3.配送手段としてのドローン活用
VR/AR/デジタルサイネージ S10_1.補助/支援の手段としてのAR
S10_2.再現/分析の手段としてのVR
S10_3.デジタルサイネージの活用
S10_4.メタバースの活用
3Dプリンタの活用 S11_1.3Dプリンタを用いた新たな製造手法の確立
S11_2.3Dプリンタを用いた新たなサービスの創出
ロボットの活用 S12_1.自走ロボットや自動運転による業務の自動化
S12_2.ロボットとヒトの協働作業による業務の効率化
S12_3.ロボットやバーチャルヒューマンによる接客
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